アタックに次ぐアタックを封印した集団は、一つのままドレモンの市街地へ。トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)強烈な牽きから解き放たれたマッテオ・トレンティン(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)がスプリント勝利を飾った。



ビューレン・アン・デア・アーレの街中をスタートしていくビューレン・アン・デア・アーレの街中をスタートしていく photo:Cor.Vos


ツール・ド・スイス2014第6ステージツール・ド・スイス2014第6ステージ image:www.tourdesuisse.ch逃げたミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)ら逃げたミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)ら photo:Cor.Vos前日のゴール地点となったビューレン・アン・デア・アーレから縫うように北上し、ドレモンへと至る192.8kmで開催されたツール・ド・スイス(UCIワールドツアー)第6ステージ。コース全体の難易度はそれほど高くないものの、中盤以降1級、2級、2級、3級と小刻みにカテゴリー山岳が登場し、最後のル・ロンプレ峠(標高779m)の頂上はゴールまで10kmほどの場所にある。終盤はアタッカーとスプリンターチームによる攻防戦が繰り広げられるものと予想された。

この日逃げに打って出たのは、第3ステージでサガンの後塵を拝したミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)やロシアナショナルチャンピオンのウラディミール・イサイチェフ(カチューシャ)、ジャコポ・グアルニエーリ(イタリア、アスタナ)、ヤコ・ヴェンター(南アフリカ、MTNキュベカ)という4名。

丘陵地帯を行くエスケープグループ丘陵地帯を行くエスケープグループ photo:Cor.Vosしかしこの日もリーダーのトニ・マルティン(ドイツ)擁するオメガファーマ・クイックステップに加え、キャノンデールやチームスカイが鉄壁の集団コントロールを見せ、タイム差は最大でも4分以下止まり。後半にFDJ.frやティンコフ・サクソがペースアップに加わった頃にはタイム差も縮小し、ゴールまで37kmを残したところで集団は一つに。

集団を牽引するトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)集団を牽引するトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Cor.Vos後半の山岳ではベン・スウィフト(イギリス)を勝たせたいチームスカイがハイテンポを刻むと、その目論見通り最大のライバルであるマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)が脱落。一時はワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・シマノ)が飛び出したものの、集団を振り切ることはなく吸収された。

FDJ.frやジャイアント・シマノが登りでペースメイクFDJ.frやジャイアント・シマノが登りでペースメイク photo:Cor.Vosすると最後のル・ロンプレ峠では地元の期待を背負うマティアス・フランク(スイス、IAMサイクリング)がアタック。この動きをきっかけにポイント賞リーダーのペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)が猛然と仕掛けたものの成功せず。集団は高い緊張感を保ったまま、一列棒状で下りへと突入した。

75〜80km/hをコンスタントに刻む高速ダウンヒルでは、クラウチングポジションを崩さないサガンが一人抜け出し、勾配が緩くなってからマークス・ブルグハート(ドイツ、BMCレーシング)らが合流。数秒のリードを稼いだが、スプリントに持ち込みたい集団から逃れることはできなかった。

そしてドレモンの街中に入ると、リーダージャージのマルティン自らマッテオ・トレンティン(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)のために発進。先頭付近で中切れが起こるほどの強烈なペースで引き倒し、そのまま残り200mでトレンティンをスタートさせた。

絶好の位置から掛けたトレンティンに対し、マルティンにアシストを崩壊させられた他のスプリンターは追い上げ叶わず。ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、ティンコフ・サクソ)を下したトレンティンが勝利し、登りで遅れたカヴの代役を見事に務めきった。



ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、ティンコフ・サクソ)を下したマッテオ・トレンティン(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、ティンコフ・サクソ)を下したマッテオ・トレンティン(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Cor.Vos


表彰式で喜ぶマッテオ・トレンティン(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)表彰式で喜ぶマッテオ・トレンティン(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Cor.Vos「トニの働きはアンビリーバブルだった!彼のエンジンは集団を分断し、僕を残ろ200mで発射した。僅かな上り勾配が付いていて、上手いスプリントができた。」と喜ぶトレンティン。ツール・ド・フランスの暫定メンバー入りをしており、この勝利で昨年に続く出場のチャンスを引き寄せた。

「今日は後半に道路工事で道幅が狭くなっているところがあり、集団の後ろにいた僕は足止めを食らってチャンスを失いかけた。追いついた後、残り4kmでトニが"スプリントをしよう"と言った。その時点で彼のリーダージャージは安泰だったから"よし、やってやろう"と決めたんだ。素晴らしいチームの勝利だ。」と加えている。

集団を牽き切ったマルティンはステージ16位でゴール。他の有力勢も集団内でフィニッシュしたため、総合順位に大きな変動は無かった。翌第7ステージは全長24.5kmのアップダウンコースで行われる個人タイムトライアル。高いパフォーマンスを披露したマルティンの走りに期待がかかる。



ツール・ド・スイス2014第6ステージ結果
1位 マッテオ・トレンティン(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)       4h43'19"
2位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、ティンコフ・サクソ)
3位 フランチェスコ・ガバッツィ(イタリア、アスタナ)
4位 ベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)
5位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)
6位 サーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ)
7位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
8位 シルヴァン・ディリエル(スイス、BMCレーシング)
9位 セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ)
10位 トッシュ・ファンデルサンド(ベルギー、ロット・ベリソル)

個人総合成績
1位 トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)
2位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・シマノ)
3位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)
4位 バウク・モレマ(オランダ、ベルキン)
5位 トムイェルテ・スラグテル(オランダ、ガーミン・シャープ)
6位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール)
7位 ヨン・イサギーレ(スペイン、モビスター)
8位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、ティンコフ・サクソ)
9位 マティアス・フランク(スイス、IAMサイクリング)
10位 マティア・カッターネオ(イタリア、ランプレ・メリダ)
23h11'06"
+06"
+10"
+17"
+23"
+27"

+28"
+29"


ポイント賞
ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)

山岳賞
ビョルン・トゥラウ(ドイツ、ユーロップカー)

チーム総合成績
ジャイアント・シマノ

text:So.Isobe
photo:So.Isobe

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