アレッツォの旧市街を駆け上がるゴールスプリント。ティレーノ〜アドリアティコ(UCIワールドツアー)第3ステージで、スプリンターとクライマーがスプリントバトルを繰り広げた。石畳の登りでペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)が勝利している。



アレッツォの周回コースをこなす新城幸也(ユーロップカー)アレッツォの周回コースをこなす新城幸也(ユーロップカー) photo:Riccardo Scanferla


第3ステージ コース高低図第3ステージ コース高低図 image:RCS Sportカッシーナからアレッツォまで、トスカーナ州を横断する210kmで行なわれた第3ステージ。フィニッシュ地点はダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、ティンコフ・サクソ)の生まれ故郷アレッツォだ。終盤にかけてアレッツォを起点にした大小2つの周回コースを周回。残り1kmから登りが始まり、最大勾配11%/平均勾配5%の石畳を駆け上がってフィニッシュを迎える。

出走サインする新城幸也(ユーロップカー)出走サインする新城幸也(ユーロップカー) photo:Riccardo Scanferla前日に落車したユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル)とジャコポ・グアルニエーリ(イタリア、アスタナ)がこの日はDNS。レース中にダリオ・カタルド(イタリア、チームスカイ)やセルヒオ・パルディージャ(スペイン、MTNキュベカ)もバイクを降りた。

レース序盤に形成された逃げグループがアレッツォに到着レース序盤に形成された逃げグループがアレッツォに到着 photo:Riccardo Scanferlaレース序盤から逃げたのは5名。前日に引き続きマルコ・カノーラ(イタリア、バルディアーニCSF)が逃げに加わり、山岳賞ジャージのリードを広げるべく山岳ポイントを連取する。これをオメガファーマ・クイックステップ主導の大集団が追う展開に。

メイン集団をコントロールするオメガファーマ・クイックステップメイン集団をコントロールするオメガファーマ・クイックステップ photo:Riccardo Scanferlaアレッツォの周回コースに差し掛かる頃にはランプレ・メリダも集団ローテーションに合流し、タイム差は縮小する。先頭ではビョルン・トゥラウ(ドイツ、ユーロップカー)が独走に持ち込んだものの、ティンコフ・サクソやトレックファクトリーレーシング率いるメイン集団に残り6kmで吸収された。

残り6kmまで逃げ続けたビョルン・トゥラウ(ドイツ、ユーロップカー)残り6kmまで逃げ続けたビョルン・トゥラウ(ドイツ、ユーロップカー) photo:Riccardo Scanferlaロット・ベリソルやオメガファーマ・クイックステップ、BMCレーシングがトレインを組んでアレッツォの旧市街へ。熾烈なポジション争いを繰り広げながら残り1kmを切り、連続コーナー&登り勾配に差し掛かった。

登りスプリントを制したペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)登りスプリントを制したペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール) photo:Riccardo Scanferlaトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)によるクヴィアトコウスキーのための強力なリードアウトでメイン集団は一列棒状に。残り400mを切ると、先にフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)が仕掛けた。

総合首位に立ったミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)総合首位に立ったミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Riccardo Scanferla石畳の登りを先頭で突き進むジルベールを、サガンやクヴィアトコウスキーが追撃する。徐々にジルベールが失速するとサガンが先頭に。クヴィアトコウスキーを振り切って、サガンが数メートルのリードで勝利した。

ストラーデビアンケで優勝を争ったクヴィアトコウスキーとサガンが、再びトスカーナの旧市街石畳でバトル。今回はサガンに軍配が上がった。クヴィアトコウスキーは敗れながらもマリアアッズーラ(総合リーダージャージ)を手にしている。

「開幕前から、このステージが完全に自分向きだとチェックしていた」というサガンが今シーズン2勝目。「最後は4〜5名の選手に絞られて、そこからジルベールが早めに仕掛けたんだ。おそらくフィニッシュラインまで350〜400mを残していた。でも彼のアタックのタイミングは早すぎた。結果的に彼のアタックが自分のリードアウトになったので良かったよ」と、落ち着いて掴んだ勝利を振り返る。

クラシックシーズンに向けて良い仕上がりを見せているサガン。やはりイタリア国内で注目が集まるのはミラノ〜サンレモでの走りだ。「調子が上向きであることを確認出来てよかった。目標はミラノ〜サンレモで良い走りをすること。勝っても負けても、全力を出し切りたい。とにかく今はこの勝利で幸せな気持ちに包まれているよ」。

マリアアッズーラをカヴェンディッシュから引き継いだクヴィアトコウスキーは「昨年総合4位だったので、モチベーション高く挑んでいるし、初日から良い走りが出来ている。まだまだ厳しいステージが残っているけど、このポールポジションは何事にも代え難い。昨年の同時期よりも調子は良いよ」と語る。初日のチームTTで得たリードとこの日のボーナスタイムにより、すでにライバルたちから数十秒のリードを得ている。

新城幸也(ユーロップカー)はステージ116位。狙っていたステージで勝負出来なかったことについて「最終周回に入る位置取りができずにそのまま後退してしまった」と悔やむが、同時に「身体も良く動いているし、調子は悪くない!」とも語っている。標高1535mの山頂フィニッシュが設定された第4ステージに向けて「明日の240kmは最後の山岳勝負だろう。自分は逃げてレースを動かしたい」と意気込んでいる。

選手コメントはレース公式リリースならびにTeamユキヤ通信より。



ティレーノ〜アドリアティコ2014第3ステージ結果
1位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)
2位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)
3位 サイモン・クラーク(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
4位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)
5位 ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ)
6位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、ティンコフ・サクソ)
7位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)
8位 サイモン・ゲシュケ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)
9位 リナルド・ノチェンティーニ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
10位 ロイド・モンドリー(フランス、AG2Rラモンディアール)
116位 新城幸也(日本、ユーロップカー)
5h10'17"







+04"

+49"



個人総合成績
1位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)
2位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファーマ・クイックステップ)
3位 サイモン・クラーク(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
4位 トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)
5位 ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ)
6位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)
7位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)
8位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、ティンコフ・サクソ)
9位 ルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、グリーンエッジ)
10位 キャメロン・マイヤー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
9h26'36"
+10"
+13"
+15"
+17"
+22"
+30"

+31"


山岳賞
マルコ・カノーラ(イタリア、バルディアーニCSF)

ポイント賞
ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)

ヤングライダー賞
ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)

チーム総合成績
オメガファーマ・クイックステップ

text:Kei Tsuji
photo:Riccardo Scanferla