昨年同様、ゴール手前の登りで強烈なアタック。最大勾配16%のサルヴィアーティでアタックを成功させたマリアンヌ・フォス(オランダ)が、追いすがるエマ・ヨハンソン(スウェーデン)とロッセッラ・ラット(イタリア)を振り切った。



出走サインを済ませた與那嶺恵理(チームフォルツァ!)と上野みなみ(鹿屋体育大学)出走サインを済ませた與那嶺恵理(チームフォルツァ!)と上野みなみ(鹿屋体育大学) photo:Riccardo Scanferla女子ナンバーワンを決めるエリート女子ロードレースが、9月28日、モンテカティーニ・テルメ発フィレンツェ着の140.0kmで行なわれた。コースはジュニア男子と共通で、後半にかけてフィレンツェ周回コースを5周する。

フィエーゾレ頂上を通過し、ダウンヒルへフィエーゾレ頂上を通過し、ダウンヒルへ photo:Kei Tsujiレース前半は、イタリアやロシア、アメリカといった強豪国が先頭を固めながら、逃げを一つも許さずに進行する。フィエーゾレとサルヴィアーティの登りを含む周回コースで、141名の選手たちによるサバイバルレースが繰り広げられた。

オランダとイタリアが人数を揃えて最終周回へオランダとイタリアが人数を揃えて最終周回へ photo:TDWsport/Kei Tsuji単発的なアタックはどれも決まらず、3周目に開催国イタリアのペースアップによる攻撃がスタート。イタリアとオランダが作る強力なペースによって集団の人数は見る見るうちに減り、4周目に先頭グループは8名まで絞られる。

先頭グループを形成したのは、グデルツォとロンゴボルギーニとラット(イタリア)、フォスとファンデルブレッヘン(オランダ)、ヨハンソン(スウェーデン)、スティーヴンス(アメリカ)、クロムウェル(オーストラリア)という精鋭メンバー。

最終周回のフィエーゾレでここからセレクションがかかり、フォス、ファンデルブレッヘン、ヨハンソン、ラット、スティーヴンスの5名に。そして迎えたサルヴィアーティの登りで、満を持したフォスが強烈なアタックを仕掛けた。

急勾配の登りを突き進んだフォスは、ヨハンソンとラットを5秒引き離して頂上をクリア。

協力体制を築けない後続2人をよそに、ダウンヒルと平坦路で踏み続けたフォスが最終ストレートに差し掛かる。後続2人の牽制する姿を確認したフォスが、そのままフィニッシュラインまで独走した。



ロッセッラ・ラット(イタリア)が先頭グループのペースを上げるロッセッラ・ラット(イタリア)が先頭グループのペースを上げる photo:Riccardo Scanferlaゴール5km手前のサルヴィアーティ通りでアタックを成功させたマリアンヌ・フォス(オランダ)ゴール5km手前のサルヴィアーティ通りでアタックを成功させたマリアンヌ・フォス(オランダ) photo:Riccardo Scanferla
大会連覇を達成したマリアンヌ・フォス(オランダ)大会連覇を達成したマリアンヌ・フォス(オランダ) photo:TDWsport/Kei Tsuji

2年連続アルカンシェルを獲得したマリアンヌ・フォス(オランダ)2年連続アルカンシェルを獲得したマリアンヌ・フォス(オランダ) photo:TDWsport/Kei Tsuji2年連続、3度目のアルカンシェル獲得。フォスはロードレース以外にもシクロクロスで5回、トラックレースで2回世界チャンピオンに輝いている。大会連覇についてフォスは「イタリア勢が積極的に攻撃を仕掛けたので、今年は昨年よりもずっと厳しいレースだった」とコメントする。

ダウンヒルをこなす與那嶺恵理(チームフォルツァ!)ダウンヒルをこなす與那嶺恵理(チームフォルツァ!) photo:Riccardo Scanferla世界トップに君臨する女王はまだ26歳。今後もフォスの旋風は継続するだろう。「最終周回に入った時点で、フィエーゾレではなく、サルヴィアーティでアタックすると心に決めていた。アンナ(ファンデルブレッヘン)がいなかったらこの勝利は無かったと思う。この1年間レインボージャージで走ってみて、絶対にまた着たいと思っていた」。

日本から参戦した與那嶺恵理(チームフォルツァ!)と上野みなみ(鹿屋体育大学)は、それぞれ40位とDNF。2人ともフィレンツェ周回コースの1周目でメイン集団から遅れてしまった。上野は「(周回コースまで)上手く集団の中で走っていたつもりでしたが、身体は休まっていなかった。それが登りに影響してしまいました。ただでさえ登りが強くないので、ペースに着いていけなかった。力不足でした」と敗因を語る。

12分遅れでフィニッシュラインを切った與那嶺は「(優勝した)フォスの走りを目の前で見たかった!」と悔やむ。結果には満足していないが、初挑戦の世界選手権で得るものは多かった様子。「1周目の登りで集団が40人ぐらいに絞られて、そこに入れなかった。前から落ちてくる選手を縫いながら前に上がれませんでした。今回走らせていただいて色んなことが見えました。来年は今年よりももっと良い成績で走れるようにしたいです」。

世界選手権は残り1日。最終日の9月29日にはエリート男子ロードレースが開催される。28日の時点で、29日の降水確率は90%。雷を伴う降雨の予報が出ている。

メイン集団から3分遅れで3周目のサルヴィアーティ通りを登る與那嶺恵理(チームフォルツァ!)メイン集団から3分遅れで3周目のサルヴィアーティ通りを登る與那嶺恵理(チームフォルツァ!) photo:Kei Tsujiサルヴィアーティの登りをこなす上野みなみ(鹿屋体育大学)サルヴィアーティの登りをこなす上野みなみ(鹿屋体育大学) photo:Riccardo Scanferla




ロード世界選手権2013エリート女子ロードレース結果
1位 マリアンヌ・フォス(オランダ)              3h44'00"
2位 エマ・ヨハンソン(スウェーデン)               +15"
3位 ロッセッラ・ラット(イタリア)
4位 アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ)           +33"
5位 イヴリン・スティーヴンス(アメリカ)             +46"
6位 リンダ・ヴィルムセン(ニュージーランド)           +50"
7位 タティアナ・グデルツォ(イタリア)              +52"
8位 エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア)
9位 ティファニー・クロムウェル(オーストラリア)        +1'40"
10位 タティアナ・アントシナ(ロシア)
40位 與那嶺恵理(チームフォルツァ!)             +12'09"
DNF 上野みなみ(鹿屋体育大学)

text&photo:Kei Tsuji in Firenze, Italy
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