台風による降雨予報から一転、気温30℃以上の残暑に見舞われた伊豆CSCで行われた東日本ロードクラシックは完走7名というサバイバルレースになった。そんな中、レース中盤以降の展開を完全掌握したブリヂストン・アンカーが1・2フィニッシュ。ダミアン・モニエが第6戦に次ぐ2勝目を飾った。

第1戦からJプロツアーリーダーをキープし続けるホセ・ビセンテ(チーム右京)第1戦からJプロツアーリーダーをキープし続けるホセ・ビセンテ(チーム右京) photo:Yuya.Yamamoto9月1日(日)に開催されたJプロツアー第11戦は47回目の開催となる東日本ロードクラシック。今年はアップダウンのみで構成された伊豆CSCの5kmコースを24周する120kmで争われた。グレードが上から2番目に高いAAに位置付けられる今大会は、愛三工業レーシング勢を除くほぼ全JPTチームが揃い、19チーム109名がスタートラインに並んだ。

序盤に形成された14人の先頭集団序盤に形成された14人の先頭集団 photo:Yuya.Yamamoto週半ばには台風による荒天が予想され中止を危惧する声も上がっていたが、蓋を開けてみれば気温30℃以上の快晴。コースの難易度と相まって厳しいレース展開が予想された。また、水に濡らしたジャージや保冷ボトルを使用したり、背中に氷嚢を入れるなどチーム毎に暑さ対策に工夫が見られた。

人数を減らしながらレースを進めるメイン集団人数を減らしながらレースを進めるメイン集団 photo:Yuya.Yamamotoレースは定刻通り12時10分にスタート。スタート後は管洋介(Peugeot Neilpryde Lacasse Pro)らが集団から飛び出しを試みる中、大久保陣(チーム右京)が単独で抜け出し、この動きに中村誠(宇都宮ブリッツェン)らが反応。一時14名まで膨れあがったものの最終的には12名の強力な先頭集団が形成され、メイン集団とのタイム差を開いていく。

1人飛び出したダミアン・モニエ(ブリヂストン・アンカー)1人飛び出したダミアン・モニエ(ブリヂストン・アンカー) photo:Yuya.Yamamoto先頭集団に入ったのは清水都貴、初山翔、伊丹健治(ブリヂストン・アンカー)、大久保、狩野智也、阿部嵩之(チーム右京)、普久原奨、中村(宇都宮ブリッツェン)、岡篤志、森本誠(cannondale championsystem)池部壮太(マトリックスパワータグ)、雨澤毅明(那須ブラーゼン)。

モニエを追う追走集団は主に普久原(先頭)が牽引したモニエを追う追走集団は主に普久原(先頭)が牽引した photo:Yuya.Yamamoto一方、メイン集団からは逃げに選手を送り込めなかったシマノレーシングの入部正太朗と、湘南ベルマーレの頓所哲郎らが10名が飛び出し、追走集団を形成。しかし、先頭集団で数をそろえるアンカーとブリッツェンがこの集団に2名ずつ選手を送りこんだだため、思うように追走のペースが上がらない。危機感を抱いた入部と頓所、中村文武(FIETS GROEN)らがスピードを上げようとするも、結局先頭集団に追いつくことはかなわなかった。

4周に渡って逃げた初山翔(ブリヂストン・アンカー)4周に渡って逃げた初山翔(ブリヂストン・アンカー) photo:Yuya.Yamamoto中盤までは先頭集団と追走集団、メイン集団の3つの集団でレースが進んでいく。先頭集団は順調にローテーションを回しながら脱落者を出さず、メイン集団に3分40秒を稼ぎ出す。メイン集団はシマノ勢を中心にベルマーレ、マトリックス、右京が集団前方を固めメイン集団との差を縮めつつ、20名程度まで人数を減らした。

10周目にはメイン集団が4名の追走集団を吸収。そして、メイン集団で体力を温存していた土井雪広(チーム右京)、ダミアン・モニエ、飯野智行(宇都宮ブリッツェン)、西村大輝(シマノレーシング)の強力な4名が新たな追走集団を形成し先頭集団を追う。中でもモニエは、ホームストレート後の坂で3名を引き離すなど好調さを伺わせる走りを見せる。

この追走集団は12周目で先頭に合流。先頭集団形成のきっかけを作った大久保と中村誠、上り区間で強力な牽引を見せた岡と森本、そして池部と雨澤が脱落し、先頭集団は10名に絞られる。4人を送り込んで最も有利となったアンカーはここからセオリー通りの攻撃に出る。

まずはモニエが先頭グループへの追いつきざまにアタックし、追走した右京の阿部、狩野の脚を削り集団から脱落させることに成功する。その後も人数が減る中でブリヂストン・アンカーは3名を残し、俄然有利な状況を作り上げた。暫く先頭を走ったモニエが吸収されると、次いで初山がアタック。宇都宮ブリッツェンは普久原を追走に費やしたため、徐々に不利な展開へとなってしまう。

初山は14周目から18周目まで逃げ続け、そして集団に吸収。するとモニエが再度アタックを敢行。僅かな間に30秒まで差を拡大すると、その後もタイム差は1度も縮まることが無かった。22周目にはここまで献身的な働きを見せた清水が集団から抜け出すことに成功。ブリヂストン・アンカーは単独ワン・ツー体勢を敷くこととなる。

結果モニエが独走でゴールに飛び込み、第6戦栂池高原ヒルクライムに続くシリーズ2勝目を飾った。2位には終盤に飛び出した清水が入り、アンカーが1・2フィニッシュを達成した。次いで19歳の西村が集団から抜け出して単独ゴールを果たし、自身初の表彰台を獲得した。7位に入った土井までが完走扱いとなり、完走率は僅かに7.63%をマークした。

再び先頭集団から飛び出したダミアン・モニエ(ブリヂストン・アンカー)再び先頭集団から飛び出したダミアン・モニエ(ブリヂストン・アンカー) photo:Yuya.Yamamoto
Jプロツアー2勝目を飾ったダミアン・モニエ(ブリヂストン・アンカー)Jプロツアー2勝目を飾ったダミアン・モニエ(ブリヂストン・アンカー) photo:Yuya.Yamamoto2位は献身的な走りを見せた清水都貴(ブリヂストン・アンカー)2位は献身的な走りを見せた清水都貴(ブリヂストン・アンカー) photo:Yuya.Yamamoto


有力選手のみに絞られたメイン集団有力選手のみに絞られたメイン集団 photo:Yuya.Yamamoto第11戦を終えてJプロツアーリーダーはホセ・ビセンテ(チーム右京)がキープ。優勝したダミアン・モニエ(ブリヂストン・アンカー)は4位にジャンプアップし、上位を独占していたチーム右京勢に割って入る形となった。U23リーダーは堀孝明(宇都宮ブリッツェン)がキープしている。

F表彰台F表彰台 photo:Yuya.Yamamoto女子は西加南子がスプリントを制す

22名が出走したFクラスタ。序盤は智野真央(MUUR zero Velofutur)が積極的な走りを見せ、メイン集団は2周目で早くも11人に絞られる。中盤にかけて、上りでは針谷千紗子(BLITZCHILAGE)と西加南子(LUMINARIA)、下りでは下澤千亜紀(Team anterior)と豊岡英子(パナソニックレディース)が集団のペースを上げる。

2周目で坂口聖香(パナソニックレディース)と西が一緒に抜け出すも、すぐに吸収。5週目で再び坂口聖香が下りを利用してアタックして一時15秒程度の差をつけたものの集団に吸収。最後はスプリント勝負となり西が智野、坂口聖香を下して優勝。第16戦石川に次ぐ今シーズン3勝目を飾った。Jフェミニンツアーリーダーは5位に入った豊岡英子(パナソニックレディース)がキープしている。

E1 4人の強力な逃げ集団(左から若松達人、石上優大、品川真寛、西谷雅史)E1 4人の強力な逃げ集団(左から若松達人、石上優大、品川真寛、西谷雅史) text&photo:Yuya.YamamotoE1を制した若松達人(GRUPPO ACQUA TAMA)E1を制した若松達人(GRUPPO ACQUA TAMA) photo:Yuya.Yamamoto

E2を制した樋口峻明(横浜高校自転車競技部)E2を制した樋口峻明(横浜高校自転車競技部) photo:Yuya.YamamotoE3表彰台E3表彰台 photo:Yuya.Yamamoto


Jプロツアー第11戦東日本ロードクラシック結果
P1 120km
1位 ダミアン・モニエ(ブリヂストン・アンカー) 3h28'27"
2位 清水都貴(ブリヂストン・アンカー) +1'20"
3位 西村大輝(シマノレーシング) +1'55"
4位 飯野智行(宇都宮ブリッツェン) +2'16"
5位 初山 翔(ブリヂストン・アンカー)+3'08"
6位 普久原奨(宇都宮ブリッツェン) +4'42"
7位 土井雪広(チーム右京) +5'58"

Jプロツアーリーダー ホセ・ビセンテ(チーム右京)
U23リーダー 堀孝明(宇都宮ブリッツェン)

F 30km
1位 西加南子(LUMINARIA) 1h02'22"
2位 智野真央(MUUR zero Velofutur)
3位 坂口聖香(パナソニックレディース)

Jフェミニンツアーリーダー 豊岡英子(パナソニックレディース)

E1 50km
1位 若松達人(GRUPPO ACQUA TAMA) 1h25'25"
2位 品川真寛(TEAM YOU CAN) +0'38"
3位 石上優大(横浜高校自転車競技部) +0'39"
4位 西谷雅史(チーム オーベスト) +2'06"
5位 梶田 歩(Pinazou Test Team) +2'24"
6位 山根理史(チーム スキップ) +2'36"

E2 40km
1位 樋口峻明(横浜高校自転車競技部) 1h10'03"
2位 永瀬勝彬(イナーメ信濃山形-EFT) +0'02"
3位 遠藤庫央(チームCB+) +0'17"
4位 福永景行(OYAMA STARPLEX)
5位 雨澤弘機(ブラウ・ブリッツェン) +2'24"
6位 小野寺玲(ブラウ・ブリッツェン) +2'26"

E3 30km
1位 根本 侑(AQULS内房レーシング) 52'11"
2位 富樫紀隆(チーム スキップ) +0'03"
3位 逢坂弘紀(Champion System) +0'22"
4位 迫 悠己(中央大学サイクリング同好会) +0'31"
5位 五十嵐誠人(Racing CUBE) +0'33"
6位 内山雅貴(ボンシャンス) +0'37"


text&photo:Yuya.Yamamoto
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