登りコースで行なわれたUSAプロチャレンジ(UCI2.HC)第5ステージ・個人タイムトライアル。標高による空気の薄さに苦しめられながらも、リーダージャージのティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)がコースレコードを叩き出した。



USAプロチャレンジ2013第5ステージUSAプロチャレンジ2013第5ステージ image:USA Pro ChallengeUSAプロチャレンジ第5ステージは、山間の街ヴェールを舞台にした個人タイムトライアル。全長16.1kmのコースは登りっぱなしで、標高差510mほどを駆け上がる。後半にかけて勾配が増し、ゴール手前で最も厳しい勾配が登場する難コースだ。

惜しくもステージ優勝に4秒届かなかったアンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)惜しくもステージ優勝に4秒届かなかったアンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ) photo:Cor Vosレース中盤に圧倒的な暫定トップタイムをマークしたのは、総合48位につけていたアンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)。これまでも登りを含む個人TTで結果を残し、昨年ツール・ド・ロマンディ総合2位、今年パリ〜ニース総合2位という成績を残す24歳が後続の走りを待つ。

1分02秒遅れのステージ3位に入ったトム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・シャープ)1分02秒遅れのステージ3位に入ったトム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・シャープ) photo:Cor Vosタランスキーのチームメイトで、総合逆転が懸かった総合4位のトム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・シャープ)は58秒遅れ。すると、リーダージャージのヴァンガーデレンが中間計測ポイントでタランスキーのタイムを32秒塗り替えた。

前半に大きなリードを稼いだヴァンガーデレンは、苦しい表情を見せながら後半の登りをこなす。タランスキーから奪ったリードは徐々に減り、終わってみればリードは僅か4秒に。苦しみながら、ヴァンガーデレンがステージ優勝を飾った。

ヴァンガーデレンがマークした25分02秒のトップタイムは、2011年に同じコースでリーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ)がマークしたコースレコードを46秒塗り替えるもの。タランスキーに苦しめられながらも、総合のライバルたちを引き離すことに成功した。

総合リードを広げたヴァンガーデレンは「力を尽くしたよ。どうやって表現したらいいのか分からないぐらい追い込んだ。薄い空気の中で、肺が焼き付くかと思った。テレビで見たら分かると思うけど、後半はケイデンスが落ちて、ラスト2kmは瀕死の状態だった。だからステージ優勝したと聞いて驚いたよ。前半の追い込みが勝利に繋がったんだと思う」と自身の走りを振り返る。チームメイトのマティアス・フランク(スイス、BMCレーシングチーム)は総合2位をキープし、BMCレーシングチームは総合ワンツー体制を維持。1分42秒遅れで直接的なライバルであるダニエルソンが続いている。

西薗良太(チャンピオンシステム)は2分57秒遅れのステージ48位。「基本的にダミアーノ(カルーゾ)以外は休養日なのですが…。自分は、ほぼノーマル装備で走ったからタイムオーバーが心配で、あまり休み過ぎないように少し踏みました」と語る増田成幸(キャノンデールプロサイクリング)は3分50秒遅れのステージ64位で終えている。

コースレコードを叩き出したリーダージャージのティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)コースレコードを叩き出したリーダージャージのティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム) photo:Cor Vos

選手コメントはチーム公式サイトと各選手Twitterより。




USAプロチャレンジ2013第5ステージ結果
1位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)      25'02"
2位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)          +04"
3位 トム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・シャープ)             +1'02"
4位 スティーブ・クミングス(イギリス、BMCレーシングチーム)          +1'04"
5位 ローレンス・ワーバス(アメリカ、BMCレーシングチーム)           +1'12"
6位 トビアス・ルドヴィグソン(スウェーデン、アルゴス・シマノ)         +1'16"
7位 カンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、スカイプロサイクリング)
8位 ラクラン・モートン(オーストラリア、ガーミン・シャープ)          +1'17"
9位 クリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン・シャープ)      +1'24"
10位 マティアス・フランク(スイス、BMCレーシングチーム)           +1'26"
48位 西薗良太(日本、チャンピオンシステム)                  +2'57"
64位 増田成幸(日本、キャノンデールプロサイクリング)             +3'50"

個人総合成績
1位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)    16h10'00"
2位 マティアス・フランク(スイス、BMCレーシングチーム)            +1'30"
3位 トム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・シャープ)             +1'42"
4位 ハニエル・アセベドカーイェ(コロンビア、ジェイミス・ハーゲンズベルマン)  +2'10"
5位 ラクラン・モートン(オーストラリア、ガーミン・シャープ)          +2'34"
6位 グレゴリー・オバンドブレネス(コスタリカ、チャンピオンシステム)      +3'25"
7位 ローソン・クラドック(アメリカ、ボントレガーサイクリング)         +3'42"
8位 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、レディオシャック・レオパード)    +3'58"
9位 ロリー・スザーランド(オーストラリア、サクソ・ティンコフ)         +4'11"
10位 フィリップ・ダイグナン(アイルランド、ユナイテッドヘルスケア)      +4'12"

ポイント賞
ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)

山岳賞
マシュー・クック(アメリカ、ジェイミス・ハーゲンズベルマン)

新人賞
ラクラン・モートン(オーストラリア、ガーミン・シャープ)

チーム総合成績
BMCレーシングチーム

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos

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