今大会初の頂上ゴールを迎えたジロ・デル・トレンティーノ第2ステージ。登坂距離14kmに渡るヴェトリオーロ・テルメで、カンスタンティン・シフトソフ(ベラルーシ、スカイプロサイクリング)が飛翔した。第1ステージの勝者ブエがリーダージャージの獲得に成功している。

雪の残る山岳路を行くプロトン雪の残る山岳路を行くプロトン photo:Giro del Trentino4月17日に行われたジロ・デル・トレンティーノ(UCI2.HC)の舞台となったのは、オーストリアに近い北イタリアの山岳地域。コースはオーストリアの街シリアンをスタートしてからイタリアに入国し、224.8km先のカテゴリー1級山岳ヴェトリオーロ・テルメを目指して南下する。

雪化粧の山岳を横目に走るメイン集団雪化粧の山岳を横目に走るメイン集団 photo:Giro del Trentinoピエール・ローラン(フランス)のアシストとして走る新城幸也(ユーロップカー)ピエール・ローラン(フランス)のアシストとして走る新城幸也(ユーロップカー) photo:Riccardo.Scanferlaコース中盤には登坂距離24kmを誇る1級山岳パッソ・ラヴァッゼが控え、標高1500m地点に頂上ゴールが用意されるヴェトリオーロ・テルメのスペックは登坂距離14.3km、平均勾配7.6%を誇る。この峠を舞台に、有力勢による激しい山岳バトルが繰り広げられた。

カンスタンティン・シフトソフ(ベラルーシ、スカイプロサイクリング)を追うマウロ・サンタンブロジオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)カンスタンティン・シフトソフ(ベラルーシ、スカイプロサイクリング)を追うマウロ・サンタンブロジオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ) photo:Riccardo.Scanferlaこの日はスタート直後から激しいアタック合戦が続いたものの、緩斜面の下りでは抜け出しが決まらず。およそ50km地点でエキップアサダに所属していたグレゴール・ガズヴォダ(スロベニア、チャンピシステム・プロサイクリング)を含む5名が逃げを決めた。

エスケープグループが獲得した最大タイム差は6分半ほど。リーダージャージのヨーゼフ・チェルニー(チェコ)擁するCCCポルサットらが中心に率いるメイン集団は、およそ5分ほどの差で逃げとのタイム差をコントロールしていく。タイム差を徐々に縮めつつ、逃げを残した状態で最初のパッソ・ラヴァッゼを通過した。

レースが慌ただしくなったのは、ヴェトリオーロ・テルメの麓にたどり着いてから。ピエール・ローラン(フランス)の勝利を狙うユーロップカーや、チームネットアップ・エンデューラが先頭に立ち、ハイペースを刻んでいく。新城幸也もこの動きの中でエースの位置取りをサポートした。

本格的な上りが始まり、逃げを全て吸収すると、急速に集団の人数が減少する中で総合リーダーのチェルニーが脱落。

イヴァン・バッソ(イタリア、キャノンデール・プロサイクリング)やミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・メリダ)らも送れる一方、アスタナは6名を残しヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア)有利な展開を作り上げていく。

そして残り8km地点から、ローランとステファノ・ピラッツィ(イタリア、バルディーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)を引き連れてシフトソフがアタック。やがて共に逃げる2名を振り切ると、ここからシフトソフの独走が始まった。


独走でゴールに飛び込むカンスタンティン・シフトソフ(ベラルーシ、スカイプロサイクリング)独走でゴールに飛び込むカンスタンティン・シフトソフ(ベラルーシ、スカイプロサイクリング) photo:Riccardo.Scanferla

並んでゴールラインを切るブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング)とヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)並んでゴールラインを切るブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング)とヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:Riccardo.Scanferla先頭シフトソフを追うのは、ニーバリ、ウィギンズ、マウロ・サンタンブロジオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)、ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼル)ら。積極的に牽くニーバリは要所でアタックを繰り出すも、人数を絞り込むのみで独走体制には持ち込めない。アタックと牽制を繰り返したことでペースが上がらず、一定シフトソフのリードは次第に決定的なものとなっていく。

ゴールが近くなるとサンタンブロジオが抜け出しに成功し、シフトソフとの差を急速に詰めたものの、頂上付近の緩斜面では追いきれず。サンタンブロジオの4秒前で、シフトソフのガッツポーズが決まった。

祝福を受けるカンスタンティン・シフトソフ(ベラルーシ、スカイプロサイクリング)祝福を受けるカンスタンティン・シフトソフ(ベラルーシ、スカイプロサイクリング) photo:Giro del Trentinoその後ろではニーバリとウィギンズが並んでゴール。ローランやカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)はニーバリらから26秒遅れてゴールラインを切った。

総合首位に返り咲いたマキシム・ブエ(フランス、アージェードゥーゼル)総合首位に返り咲いたマキシム・ブエ(フランス、アージェードゥーゼル) photo:Riccardo.Scanferla優勝したシフトソフは「上りが始まってからチームで先頭に立ち、集団のリードを奪おうとした。アタックできると思った。アタックして、回りがどんな反応をするか確認したかったんだ。2人が着いてきたけれど、一緒に走りたくはなかったから、パワーをコントロールしつつ攻め続けた。勝てて嬉しいよ」とコメント。

一方でリーダージャージは、第1aステージで大きなリードを奪ってゴールし、今ステージ2分23秒遅れの20位に入ったブエに渡った。

西薗良太(チャンピシステム・プロサイクリング)は15分22秒遅れの93位、新城幸也は16分43秒遅れの97位でそれぞれゴールしている。

新城幸也
―「チームのオーダー通りの走りだったよ。最後は明日に向けて温存した。明日は、逃げ切る可能性があるからね!頑張るのは明日!そして、山岳で無理をしないのは、リエージュを視野に入れて走っているから、まだまだ出し切っていないよ。」

西薗良太
―「トレンティーノ第2ステージ。山頂ゴールまで、順調に試合を進めたものの、最後の坂は半端なかったです。というか入りが2分走か?という速さでした。ラスト8キロぐらいは死体でした。」(自身のTwitterより)


ジロ・デル・トレンティーノ2013第2ステージ結果
1位 カンスタンティン・シフトソフ(ベラルーシ、スカイプロサイクリング) 5h48′07″
2位 マウロ・サンタンブロジオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ) +04″
3位 ヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) +19″
4位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング)
5位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼル)+28″
6位 ステファノ・ピラッツィ(イタリア、バルディーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス) +34″
7位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) +37″
8位 アレクサンドル・ディアチェンコ(カザフスタン、アスタナ)+38″
9位 ピエール・ローラン(フランス、ユーロップカー) +45″
10位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) 
93位 西薗良太(チャンピシステム・プロサイクリング)    +15′22″   
97位 新城幸也(ユーロップカー)+16′43″

個人総合成績
1位 マキシム・ブエ(フランス、アージェードゥーゼル) 8h55′48″
2位 カンスタンティン・シフトソフ(ベラルーシ、スカイプロサイクリング) +3′19″
3位 パヴェル・コチェトコフ(ロシア、ラスヴェロ) +3′35″
4位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング) +3′48″
5位 ヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) +3′57″
6位 マイケル・ロドリゲス(コロンビア、チームコロンビア) +4′02″
7位 マウロ・サンタンブロジオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ) +4′06″
8位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) +4′19″
9位 アレクサンドル・ディアチェンコ(カザフスタン、アスタナ) +4′20″
10位 ステファノ・ピラッツィ(イタリア、バルディーニヴァルヴォーレ・SCFイノックス) +4′38″
 
山岳賞
カンスタンティン・シフトソフ(ベラルーシ、スカイプロサイクリング)

新人賞
マイケル・ロドリゲス(コロンビア、チームコロンビア)

チーム総合成績
カハルーラル


text:So.Isobe
photo:Riccardo.Scanferla、Giro del Trentino
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