ブライアン・コカールのゴールスプリント2連勝に沸く傍ら、なかなか勝ちたくても、そこに届かない選手も多い。スプリント勝利を狙う愛三工業レーシングチームと、チームのエース、フランチェスコ・キッキの勝利をめざす佐野淳哉(ヴィーニファンティーニ)に訊いた。

ブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)がステージ2連勝、福田は12位でゴールブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)がステージ2連勝、福田は12位でゴール photo:Sonoko.Tanakaアジア最高峰の舞台でスプリント勝利をめざす愛三工業

愛三工業レーシングはステージ優勝を目標に掲げ、4回目のツール・ド・ランカウイに挑んでいる。チームの若いスプリンター福田真平は第8、第9ステージともにゴールラインから姿が確認できるものの、なかなか一桁、世界のトップスプリンターたちに届かない。

もっとも、もしそれで勝てるなら、グアルディーニやキッキ、コカールなどとやりあえるなら、今すぐにプロツアーで通用するのだから、まだ若いアジア人選手にとっては、とてもハードルの高い戦いとなっている。しかし、そんな世界のトップの選手と戦えるチャンスがここにはある。
レースのスタートを待つ盛一大(愛三工業レーシング)レースのスタートを待つ盛一大(愛三工業レーシング) photo : Sonoko Tanaka
第8ステージで福田は15位でゴール。愛三工業は綾部ー西谷ー盛ー福田とゴールスプリントに向けてトレインを組むも、ペースが合わず、福田が遅れてしまった。レース後に福田は「もっと脚があれば、加速に付いていけるんですが、そこまでで脚をけっこう使ってしまっていて、加速についていったら、そのままタレてしまうと思い、一瞬遅らせて踏もうと思ったんでしたけど、埋もれてしまってダメでした。スプリントの前に風を受けながら前に上がってしまったので、風よけをうまく使って、もっと最後まで脚を貯めないといけなかったですね」とコメントする。

落車に巻き込まれた西谷泰治(愛三工業レーシング)落車に巻き込まれた西谷泰治(愛三工業レーシング) photo : Sonoko Tanakaそして翌日の第9ステージでは、ラスト1kmの地点で集団の中央で落車が発生。落車を避けた前にいた選手とサイドのラインを使っていた選手たちでのゴールスプリントとなった。愛三工業は、西谷が落車に巻き込まれ、その後ろにいた盛も急ブレーキ。しかし、福田は横のラインにいたため、うまく避けることができて、単独でスプリントに挑み、結果は12位。

福田は「感触としては悪くはありませんが、やっぱり8位以内に入れていないので……。明日が最後なので、またチャレンジするだけです。レース中の落車でのケガも全然大したことないし大丈夫です」と話す。

第9ステージ、12位でレースを終えた福田真平(愛三工業レーシング、右)と伊藤雅一(左)第9ステージ、12位でレースを終えた福田真平(愛三工業レーシング、右)と伊藤雅一(左) photo : Sonoko Tanaka「もうどのチームもいっぱいいっぱいで最初と比べてスピードが遅くなっていているので、その分ちゃんとチームの人数がいてうまく連携できれば、そこでタイミングがうまく合えば、いけると思います。昨日もちゃんと前に出れているので、チャンスはあるハズです」と盛。

チームの強力なアシストとして勝利をめざす佐野淳哉

一方、フランチェスコ・キッキ(イタリア、ヴィーニ・ファンティーニ)のステージ2勝目を狙う佐野淳哉は、第9ステージでも強力に集団を牽引。逃げの吸収に貢献し、レースが始まった頃よりもコンディションが良いのが伺える。

佐野は「今日のスプリントでは、うちの発射台がこけてしまって、連携がうまくいかなくて、また2位という結果だったので、明日はぜったいに勝ちたいですよね。1人選手がリタイアしてしまっているんですが、チームの連携がうまくいけば勝てると思います。現に、チームが勝った日はよく連携できていました」

「自分のコンディションは疲れはあるんですが、カタール、オマーンに比べて良くなってきています。チームの役割分担もできてきていて、無理にスプリントに加わってほしいとは言われない。与えられた自分の役割のところで、ちゃんと走れているんで良いですね」と話す。

集団を牽引し、逃げとのタイム差を詰める佐野淳哉(ヴィーニファンティーニ)集団を牽引し、逃げとのタイム差を詰める佐野淳哉(ヴィーニファンティーニ) photo : Sonoko Tanaka
リラックスした表情を見せるジュリアン・アレドンド(コロンビア、チームNIPPO・デローザ)リラックスした表情を見せるジュリアン・アレドンド(コロンビア、チームNIPPO・デローザ) photo:Sonoko.Tanakaクアラトレンガヌでの周回コースでフィナーレを迎える

長かった10日間ノンストップのレースもいよいよ最終ステージを迎える。さらに勝ち星を上げたいブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)を中心に最後まで激しい戦いが繰り広げられるだろう。さらに現在アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)がポイント賞ジャージを着るが、フランチェスコ・キッキ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)とのポイントは僅差。体調不良が伝えられるグアルディーニに対して、キッキの逆転はあるのか。

また日本チーム初となるジュリアン・アレドンド(コロンビア、チームNIPPO・デローザ)の総合優勝にも王手がかかった状態。最終ステージは周回コースを使ったレイアウトのため、ゴールスプリントの展開になると予測されているが、最後まで何がおこるかわからない。注目のステージは現地時間の13時にスタートする。


photo & text : Sonoko Tanaka

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