6月28日、広島県中央森林公園サイクリングロード 196.8km(12.3km×16周)で開催された 全日本選手権ロードレース2009エリート男子

このレースで引退する岡崎和也このレースで引退する岡崎和也 photo:Cyclisme Japon/Chiho曇りのち雨の天気予報だったが、当日は快晴に恵まれ、炎天下の中でのレースとなった。この日の作戦は、清水都貴を全日本チャンピオンにするべくチーム一丸となって戦うことだ。

スタート前には、岡崎和也の引退セレモニーが行われ花束が贈られた。歓声の中、岡崎にとって地元広島で最後のレースがスタートした。

1,2周は集団のままレースは進み、3周目で菊池誠晃がアタックを試み、単独先頭に立つ。岡崎は最後のレースを楽しむかのように、集団の先頭をコントロールしながら走る。数周は菊池が単独で先頭を走り続けたが、途中で畑中勇介(シマノレーシング)が追いつき、2人となる。差は3分ほど開き、集団はゆっくりペースで淡々と進む。昼を過ぎて日差しはますます激しくなり、選手たちの体力を消耗させていく。

独走を決めた菊池誠晃独走を決めた菊池誠晃 photo:Cyclisme Japon/Chiho11周目で先頭の菊池は一緒に走っていた畑中を振り切り、再び独走となった。集団も愛三レーシングがコントロールしペースを上げ始め、ラスト4周で本格的な追走が始まった。

ヨーロッパで活躍する新城幸也(Bboxブイグテレコム)や土井雪広(スキル・シマノ)がアタックを仕掛け、集団のペースは一気に上がる。先頭の菊池も吸収され、ラスト3周で集団は31人ほどになる。

増田成幸が集団の前方で、福島晋一、中島康晴、清水都貴など快調に走る。しかし、この周で最悪の事態が起きる。集団前方で走っていた増田が落車し、エースの清水も各チームエース達によるアタック合戦に破れこの周で戦列から離れてしまった。

エースとしての責任を果たせなかった清水は涙を見せ、一人深く沈みこんだ。現役最後のレースをエースのために最後までアシストに徹した岡崎も涙した。

中島康晴、福島晋一、菊池誠晃が完走したものの、EQA・梅丹本舗・グラファイトデザインは、最後の勝負所で先頭グループに誰も送り込めず、今回の「全日本自転車競技選手権大会ロードレース」は惨敗に終わった。

集団で走るエース清水都貴集団で走るエース清水都貴 photo:Cyclisme Japon/Chihoエースの清水はこの惨敗に終わった大一番のあと「最初は自分でもなぜ遅れたのかよく分からなかった。今シーズン一番良いくらい調子は良かったけれど、大きなプレッシャーで自分が他人のようでした。しかしこの経験は今後の大きな糧になると思う。夏のフランスのレース(パリ-コレーズ等)では、この経験を活かしエースとしての責任を果たします」と、誓いを立てた。

浅田顕総監督のコメント
今回の走りについて、大勢の方のご期待を大きく裏切る結果になり非常に残念に思う。
後半まで大きな動きが無く流れたレースだったが、大切な勝負どころで何が起きたのか把握できず現実を疑った。

岡崎、チームメイトたちとの別れ岡崎、チームメイトたちとの別れ photo:Cyclisme Japon/Chiho最大敗因としては今シーズンまだ1勝も出来ていないチームにおいて、単一エースの清水にかけた過剰なプレッシャーだと思う。私はシーズン始めに清水に全日本ロード優勝することを命じた。しかしチームとしては清水をほぼ全レースでエースとしてのストレスを与え続けてきたが、プレッシャーをかけるだけでそれを緩めることが出来ないチームになってしまっていた。今回の惨敗はチーム体制全体を根本的に見直せという警告であると思う。緊急にチームを作り直し最強チームの名を奪回したい。清水もこの経験で更に大きなレースで勝利する選手へ成長できると思う。


【レース結果】
18.中島康晴:+6m04s
24.福島晋一:+9m16s
39.菊池誠晃:+12m33s
リタイア:岡崎和也、清水都貴、増田成幸

■チームメンバー
監督:浅田顕 コーチ:水谷壮宏
5.増田成幸
22.清水都貴
45.中島康晴
81.菊池誠晃
99.福島晋一
103.岡崎和也

photo&text:Cyclisme Japon/Chiho