ウインドサーフィンのカーボン製マストやセイルの製造メーカーとしてその名の知られているニールプライド社。そのニールプライドが得意のカーボン加工技術やテクノロジーを活かしてロードバイク業界に2010年より進出を始めた。自動車やヨット、飛行機などのデザインで有名なBMWデザインワークスUSAによるデザインと、ニールプライドのカーボン加工のノウハウを融合して生まれたのが、ニールプライドバイクス2種類のラインナップ、"アリーゼ"と"ディアブロ"だ。

ウィンドサーフィンから生まれたニールプライドのブランドヒストリー

ニールプライドの歴史はマリンスポーツから始まったニールプライドの歴史はマリンスポーツから始まった ニールプライド社の設立は1970年。ヨットのニュージーランド代表選手であったニール・プライド氏が、ヨットのセイル(帆)をつくるために興した会社だった。
当時出始めていたグラスファイバー素材を使ってセイルを作成したことで、同社は設立後すぐに世界最大のセイル供給メーカーとなる。

その後、当時登場したウィンドサーフィンに対しても早くから着目し、その分野のリードメーカーとして全世界にその名を轟かせることに成功したのだった。

80年代からは、当時まだ希少素材だったカーボンファイバーを使用した製品の開発を始め、カーボン製品の一大サプライヤーの地位を確立する。また、ボード作成のノウハウを活かしてスノーボードなどウインタースポーツの分野にも進出を始めた。さらにニールプライドはセイルやボードなどの生産に留まらず、ウエットスーツなどウェア類の開発にも着手する。そして扱うジャンルが増えたことでプライド・グループと名称を変更し、ウェア部門などそれぞれ分野の違うブランドを派生させた。

マリンスポーツの世界で次々と速度記録を更新してきたマリンスポーツの世界で次々と速度記録を更新してきた ボード加工技術を活かしてウインタースポーツにも進出を果たすボード加工技術を活かしてウインタースポーツにも進出を果たす


ニールプライドのチャレンジは留まるところを知らない。常にワールドクラスアスリートへ最先端機材の提供を行い、ウインドサーフィンとカイトサーフィンの世界最高速度記録の達成を成功させた。これはプライドグループの持つ高い技術の証明と言っても過言ではないだろう。そしてそれを象徴するように、2012年ロンドンオリンピックではウインドサーフィン機材の公式サプライヤーをつとめることが決定している。

現在プライド・グループは世界40ヶ国に展開し、従業員は2500人以上。7つのブランドと、幅広い用途に合わせたマリンスポーツ用アイテムを幅広く展開し、様々な大手ブランドのOEM生産を担っている。プライド・グループは常に最新のスポーツ、素材、テクノロジーに着目して機材を開発し、トップアスリートからのフィードバックを得ることでマリンスポーツ、アドベンチャースポーツの分野においてワールドクラスの大手企業まで上りつめたのだ。
設立から42年が経った今も、創業者ニール・プライド氏は同社で意欲的に働いている。

BMWデザインワークスUSAと協力して研究が進められたBMWデザインワークスUSAと協力して研究が進められた ウインドトンネルテストを繰り返すことでエアロダイナミックスを向上させたウインドトンネルテストを繰り返すことでエアロダイナミックスを向上させた


そうした背景を持つプライド・グループの新しいブランドとして2010年に誕生したのが、ニールプライド・バイクスだ。「プライド・グループにとって、サイクリングへの飛躍は自然な成り行きだった」と語るのは、創業者ニールの息子、同社マネージャーのマイク・プライド氏だ。マイク氏はもともと熱心なサイクリストで、現役のアマチュアロード選手。サイクルスポーツを心から愛し、しかも非常にハイレベルなアスリートである。

水陸の如何を問わずベストでありたいとするグループの方針や、マリンスポーツで培ってきたカーボン加工技術やテクノロジー、ウインドサーフィンやカイトサーフィンで養われた空気力学、そしてマイク氏のサイクリングに対する情熱が、ニールプライド・バイクス設立のきっかけとなったのである。

風洞実験から生まれたエアロバイク、アリーゼ風洞実験から生まれたエアロバイク、アリーゼ BMWショーに出品されたニールプライド・バイクスBMWショーに出品されたニールプライド・バイクス


2010年に設立されたニールプライド・バイクスは、ブランドの方針である"ベスト"なバイクづくりをするための開発を始めた。ニールプライド・バイクスが目指したバイクは、1000分の1秒のタイム差を争うプロフェッショナルライダーから、ホビーレースやトレーニングライドを楽しむアマチュアライダーに至るまでが満足できる高性能バイク。これを満たすため、ヨットや飛行機などのデザインを行うBMWグループ・デザインワークスUSAと連携し、バイクに求める高い運動性能はもちろんのこと、眺めても美しいフォルムとの両立を目指すべく度重なる試作や風洞実験を繰り返していった。

マリンスポーツで培った技術を凝縮した高性能バイク ニールプライドマリンスポーツで培った技術を凝縮した高性能バイク ニールプライド
そうしてマテリアルに関する複合技術やエアロダイナミック、そしてロードバイクへの情熱から生まれたのが、2011年にデビューを飾ったアリーゼとディアブロという、違ったアプローチから生み出された2台のバイクだ。

アリーゼとディアブロ 違った視点から最高を目指した2台のバイク

開発途中でのアリーゼのイラスト開発途中でのアリーゼのイラスト 「アリーゼ」は、ニールプライドの持つウインドサーフィンに代表される空気力学テクノロジーを結集して作られたエアロバイクだ。通常エアロ効果を意識したバイクというと、できるだけ前面投影面積をを小さくするために薄いチュービングを採用するものだが、アリーゼはあえて幅の広い大口径ダウンチューブを採用する。

ダウンチューブに非常に複雑な造形を施すことで空気を切り裂き、シートチューブ部分で発生する空気抵抗を最小限に抑えるという、今までとは全く新しいアプローチで空気抵抗削減を図っている。

対して「ディアブロ」は、剛性を高めて反応の良さとクライミング能力を高めたピュアレーシングマシンとして開発された。フレームのメイン三角を構成する各チューブ内部にリブを設けることで、トップレーサーさえも満足するレベルの高い剛性を確保することに成功しているという。

アリーゼとディアブロ どちらもそれぞれがニールプライドの誇るフラッグシップモデルだアリーゼとディアブロ どちらもそれぞれがニールプライドの誇るフラッグシップモデルだ

ニールプライドが展開するアリーゼとディアブロの2台のバイクは、全く違うアプローチから最高レベルのバイクを目指して開発がなされた結果のラインナップだ。つまりどちらのモデルもそれぞれが、ニールプライドの誇る"フラッグシップモデル"なのである。
提供:トライスポーツ 編集:シクロワイアード編集部