愛三工業レーシングの4人の選手たちに訊いてみた

今季からFP7を決戦バイクとして採用した愛三工業レーシングチーム。採用前のオフ期には乗り込みテストを行ったうえで採用を決定したという。ご存知のように、前季はチームの主要メンバーはプリンスカーボンに乗ってレースを戦った。バランス、扱いやすさ、コストパフォーマンス、そして遠征時のトラブルの少なさなど、総合的な面を考慮しての採用だったようだ。西谷泰治、盛一大、綾部勇成、別府匠のエース級4選手に、FP7のインプレッションを訊いた。



西谷 泰治

プリンスカーボンとは似て非なるモノ

プロフィール

西谷 泰治
にしたに たいじ
1980年2月1日生まれ。身長167cm、体重63kg。フレームサイズは50mm(トップチューブ長は525mm)。脚質はオールラウンダー。スプリンターとしての実力はアジアでもトップクラスだ。ジェラジャ・マレーシア2009(UCI2.2)第6ステージのゴールスプリントを制し優勝を飾る。

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FP7に対して改めて乗って思ったのは「バランスの良さ」。いかようにも走らせる事ができ、変幻自在ともいえる感触は、これまでのバイクに無いものです。ライダーのリクエストに的確に応えてくれる万能バイクと言っても過言ではないと思います。ここ一発のスプリントではプリンスが絶対的な性能を持っているのですが、多少脚が言うことを利かなくなった状態でもスプリントできるし、ロングスパートに向くのもFP7のメリットです。

サイズの豊富さもピナレロの良い所で、自分に適切なサイズのフレームをチョイスすれば、あっという間に乗りこなす事ができるでしょう。これまでのような「バイクにライダーが合わせる」という事は皆無で、大げさに言うと、たとえばライディングポジションは適当でも、バイクが乗り手に合わせてくれるという印象です。

現在所有しているバイクで「なんだか乗っていて疲れる」「ポジションが出難い」と感じているライダーは、ピナレロに、そしてFP7に一度乗ってみれば分かるでしょう。完成されたジオメトリー、卓越した伝達効率。「どこまででも走れるような快適性を併せもっている、嘘のようなバイクが存在する」と。 そんなバイクだけに、セットしたホイールの特徴が手に取るように分かるのが良い所でもあります。つまり、自分に最も合ったホイールを探す事さえも手助けしてくれるという、まさに至れり尽くせりなフレームなのです。

本来ならば山岳区間や平坦路での特徴を述べるべきではありますが、FP7でどんなコースを走っても、走り方を変えてみても、素直に言う事を聞いてくれるので、逆に拍子抜けしてしまったというのが正直なところです。「際立った特徴が欲しい」という方には少々物足らないかもしれませんが、自転車の根本的な楽しさがFP7にはあるので、ファンライダーからプロライダーまで様々な要望に応えてくれる事は間違いないでしょう。

FP7についての第一印象についてはピナレロジャパンに対してファーストインプレッションレポートとしてプリンスとFP7の比較を交えて書かせていただきました。そちらも参考にしてください。

盛 一大

長距離でより脚が残せる点がメリット

プロフィール

盛 一大
もり かずひろ
1982年9月17日生まれ。身長176cm、体重70kg。フレームサイズは530mm(トップチューブ長は545mm)。脚質はスピードマン。最終局面の独走や、少人数のスプリントを得意とする。トラックレースで培ったスピードが武器だ。トラックワールドカップ2009第5戦コペンハーゲン大会スクラッチにおいて優勝を飾る。

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正直なところ、自分はあまりバイク器材に関しては詳しくなく、あまり違いに敏感なほうでもないので、他の選手とは意見が違うかもしれませんが、自分なりに感じたこと話してみます。

まず新しいFP7に乗り込んでの第一印象は、前年度のプリンスカーボンに比べてマイルドということ。けれど、自分にとってはちょうど良い硬さなんじゃないかな? と思いました。特に気に入っているところは、プリンスと比べて違和感なく乗り出すことが出来た点です。スケルトンはまったく変わっていないので、硬さが自分に合っているようです。

デザインについてはピナレロのバイクすべてに言える事ですが、やはり斬新。ぱっと見て、誰しもの目に止まる自転車なのは間違いないでしょう。

自分がバイク全般に求める性能とは、乗り心地。僕にとってはこれが一番です。格好良いポジション・フォームには憧れますが、乗り心地の良さは譲れません。やはり、楽に・速く走るのが1番です。その点でもカーボンは自分にとって良く、ショック吸収性能に優れ、乗り心地の良さを演出するには欠かない素材なのでしょう。
そして自分のタイプとして踏み込んだときのBB周辺の「跳ね返り」がないとダメです。そこが気に入っているポイントです。もちろんプリンスの高い剛性感や反応性の良さを武器にするタイプの選手も多いのでしょうが、その点がプリンスよりFP7の許容範囲が広いと感じる要素なのでしょう。

綾部 勇成

オールラウンドな乗りやすさが光る

プロフィール

綾部 勇成
あやべ たけあき
2009年度はキャプテンをつとめるチームのまとめ役。スピードがあり、テクニックとセンスに優れたライディングでプロトンの中でチームを導く。ゴール前のさばきに定評があり、エース西谷をスプリントのベストポジションに誘導する役割を果たす。
FP7を乗って一番に感じたのは「違和感のなさ」です。自然に身体に馴染むというのが一番の印象。特に癖もなく、素直な乗り心地がお気に入りです。
ロードマンにとって、バイクに癖があるとその癖をつかむまでが大変。FP7にはそういったことがないので、非常に乗りやすいです。

性能的には平坦、登り、下りともにバランスがとれていると思います。ダッシュの反応という面ではプリンスに若干劣る感じがあります。ですが巡航性能は非常に高いと感じました。登りもキレで登るというよりペースで登る方が向いていると思います。そして下りではフォークの剛性感が抜群なので、ブレーキしてもブレることもないので自然に速く下れます。急制動でも自然に停まれます。

昨年乗ったプリンスと比べると「トゲトゲしさがない」と感じました。プリンスはF1マシンのイメージですが、FP7はスポーツカーといったイメージです。誰でも特に気を使わなくても速く走れるでしょう。プリンスはかなりシビアにポジションやペダリングが要求されますが、FP7はありのままでOKです。それくらい乗りやすいと感じました。

イタリアンデザインはとにかくカッコいいです。この点、流石はイタリア人って感じですね。色づかいも爽やかイメージで、色でも軽さをイメージさせてくれます。

僕がバイクに求めるのは、軽さよりも全体的なトータルバランスです。フォークとヘッド周りはかなりバイクの印象を決める部分だと思います。ブレーキ性能や、ダッシュするときなどに剛性感がないと止まらなかったり、進まなかったりします。この部分はしっかりと剛性がないとだめですね。ですが、ただ硬ければいいわけではありません。リアのステーやBB周りは推進力に非常に関係しています。リアステーとBB周りが柔らかいとせっかく力強くペダリングしてもパワーがロスしてしまいます。

クランクのパワーがしっかり支えてくれるBB周りは硬すぎても足にきてしまうし、柔らかすぎたら進まなくなるので非常に難しい部分です。リアステーも硬いと乗り心地が悪くなってしまうし、振動を吸収できずに跳ねてしまうと推進力がロスしてしまいます。

そして重量。ここはだれもが気になる部分だと思います。僕自身は重量はそこまで気にしていません。ですが、やはり許容範囲はあります。軽いにこしたことはありませんが、前後のバランス、剛性と振動吸収性が噛み合ってこそいいバイクです。そんな自転車がFP7ではないかと僕は思います。

他社の自転車にはないデザイン性と性能を兼ね備えたピナレロのバイクは、選手にとっても非常に魅力的な自転車です。

別府 匠

レースからグランフォンドにまでお勧めできる

プロフィール

別府 匠
べっぷ たくみ
1979年9月29日生まれ。身長168cm、体重60kg。フレームサイズは465mm(トップチューブ長は515mm)。脚質はクライマーかつルーラー。少人数の逃げと上りを得意としている。レースの流れを読む能力、レースを組み立てる戦略に秀でているため、レースではチームの司令塔としてメンバーに指示を出す。
FP7の第1印象は、とても「踏みやすい」ということ。以前に乗っていたプリンスと比べると、その踏みやすさは顕著です。プリンスはその高い剛性から、どちらかというと踏み込めない分ペダルを回すことで推進力に変えていたのですが、FP7はマイルドな踏み心地なので、ギヤをかけて走ることができます。

しかし一般にマイルドと言われるカーボンフレームのような柔らかい感じではなく、マイルドの中にしっかりと力を支える「コシ」があります。そのため、ダッシュをかけるときなどはしっかりとペダルを踏み込めて、それが推進力に変わっていくのがわかります。確かにプリンスに比べると「かかり」と言われるキレ味は悪いのは否めないのですが、僕のような軽量でパワーのない選手の場合は、プリンスではかかりはよくてもその後踏み続けられないので、最初はキレがなくてもずっと踏み込んでいけるFP7のほうが結果的によりよい加速を生み出すことができます。

そのためFP7はヒルクライムを一定のペースで走るような、継続的に力を出すような走りのほうが向いていると思います。そしてペースをあげるときは一気にギヤをかけていくような走りができるバイクだと思います。

フロントフォークやバックフォークも46HM3Kのカーボンを使用されていますが、それがしっかりと地面をつかむイメージで、下りでもグリップを利かせて走ることができます。

全体的に自分がペダルに入力した分そのまま進む感じなので、身体とバイクに一体感を感じることのできるバイクだと思います。僕はあまりパワーがないので、力でねじ伏せるタイプのフレームより、FP7のように力を入れた分素直に進む自転車の方が好みですね。

ピナレロのカラーリングは以前から好きなのですが、また一段と綺麗になりました。僕らの乗っているFP7もかなりカッコいい色遣いです。ピナレロのカラーリングは他のブランドにはない色が出ていて、乗るたびにピナレロという自転車に乗るプライド、そしてそれを所有する喜びを感じます。

ピナレロのバイクはカラーリングの自由度が高いので、どんどんカッコよくなりますね。この点さすがイタリアと言ったところです。特にFP7のトップチューブに使われているブルーには心癒されます。デザインもプリンス、FP7、FP3とグレードにとらわれないデザインになっているので、すべてのカテゴリーの方々にピナレロのバイクに乗るスピリットを感じてもらうことができると思います。


ピナレロ FP7 ディティールとテクノロジー
 

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