2018/02/23(金) - 18:11
2018年1月、東京のJR両国駅と千葉県の房総半島各地を結ぶサイクルトレイン「B.B.BASE」が運行を開始。サイクリストのためだけに専用設計された次世代サイクルトレインだ。モデルでサイクリストの日向涼子とスポーツジャーナリストのハシケンの“坂バカ夫婦”が、今注目のB.B.BASEの魅力と楽しみ方を体験レポートします。
年間を通じて温暖な気候の中で、南房総のシーサイドラインや半島内陸の丘陵地帯を楽しめる風光明媚な房総半島。
Boso(房総)・Bicycle(バイシクル)・Base(基地)。略して、B.B.BASEと名付けられたサイクルトレインは、サイクリストへ新たな週末ロングライドの楽しみ方をプロデュースする。近年、電車に輪行なしでスポーツバイクを乗せられるサイクルトレインが、ローカル線を中心に運行されている。しかし、どれも期間限定の列車であったり、あくまで一般車両に自転車を乗せられるだけのものだった。
今回のB.B.BASEは一味もふた味も違う。毎週土日に1日1ダイヤ(往復)が組まれ、両国と房総各地を結ぶ。そして、単に目的地まで自転車を楽に運べる電車というだけでなく、B.B.BASEに乗車している時間もイベントの一部にしてしまう魅力が盛りだくさんだ。愛車を固定する専用バイクラックが一体となった座席に座り、愛車と仲間たちと専用車両の中で過ごす時間は特別だ。バイシクルベース(自転車基地)の名の通り、まさに動く自転車基地は、サイクリストの新しい週末ライドのスタイルだ。
房総ライドへの玄関口となるのは、東京都墨田区にあるJR両国駅だ。東京スカイツリーのお膝元にあり、そばには隅田川が流れる。東京駅からは距離3kmの地点。 僕らがJR両国駅に到着したのは7時30分前。発車時刻の7時39分が迫っていた。普段ならここから輪行をして電車に乗り込むまで慌ただしい時間を過ごすけれど、今回は自転車をそのまま乗せられるので、輪行の必要がない。
ところで、この日の行き先は太平洋が目と鼻の先の南房総の和田浦駅だ。B.B.BASEは房総半島の魅力を感じられるコースが複数用意されている。内房コース、外房コース、銚子コース、佐原コースの4つだ。第一土日が内房コース、第二土日が外房コース、という具合に週ごとに行き先が変更される。行き先に応じて発着時刻も異なるので、詳しくは公式ホームページを確認したい。
さて、B.B.BASEは専用ホームから発車するため、通常の改札口は通らない。駅舎前の路面にペイントされたB.B.BASEまでの案内マークに従い、両国国技館の横を通り、専用ゲートへ。
「電車に乗せるのに輪行をしなくてもよいのは、本当に気軽。普段の輪行旅とは違う新鮮さが味わえる。この日専用ゲート前では駅員さんやB.B.BASEのスタッフがお出迎えしてくれたことが嬉しかった」と笑顔の日向さん。
まさにその通りで、便利さだけでない非日常感がそこにはある。専用ホームに入るところから、ドキドキワクワク感があり、いつもの週末ロングライドとは違う楽しみが待っていることを期待させてくれた。
B.B.BASEは快速の全車指定席(禁煙)の全6両編成だ。切符はびゅう旅行商品として事前に申し込みを行う。日帰りプランだけでなく、週末を使った宿泊プランも用意されている。自身のスタイルにあったプランで房総半島を気軽に楽しむことができる。
ロゴが大胆にデザインされた車両外装。車内に入れば、バイクラックと座席が一体化した専用シートがズラリと並ぶ。その光景は壮観だ。全99席あり、4号車はバイクラックのないフリースペースになっている。
「全席指定なので、自分専用のシートラックにバイクをセットできます。セッティングはとてもスムーズです。これなら女性ひとりでも簡単にできます。そして、愛車と一緒に座って旅を楽しめる感覚が嬉しいですね」と、愛車をそばに置ける専用シートに満足げな日向さん。
また、統一されたデザインとクールなメタリカルな車内空間がカッコイイ。バイクラックは重厚感があり、電車の揺れにもビクともせず安定感抜群。愛車を安心してセットすることができる。
とにかく、このB.B.BASEはサイクリスト専用設計だ。「実は構想当初、乗客と自転車の車両を別けたり、バイクを立てずに横に設置する案なども検討しました。最終的に、愛車や仲間と時間を共有することをコンセプトにして設計されました」と、開発秘話を話してくれたJR東日本の担当者。
バイクラック自体の設計はもちろん、ラック周辺や座席間の通路などの空間にも余裕を持たせている。床面には滑り止めが施され、ビンディングシューズでも安心だ。また、各テーブルには、AC電源コンセントがあり、スマホの充電などが可能。さらに、新幹線と同タイプのトイレが設置。サイクリストが快適に過ごせる車内設備が各所に散りばめられる。
「電源は嬉しいですね。ロングライドで1日中使っているとよく電源が落ちてしまいますから。ACアダプタは持っておきたいです」と、普段からロングライドで現地の写真をたくさん撮る日向さん。B.B.BASEのスタッフから防寒用にブランケットのサービスもあるなど、サイクリストの快適な旅をフルサポートしてくれる。
また、サイクリスト同士でコミュニケーションを取りやすいように、6車両のうち4号車だけはフリースペースとなっている。今後、ショップイベントやメーカーの試乗イベントなどが開催されると面白そうだ。
電車の揺れにもびくともせず、確実に固定された愛車に安心感を抱きながら、車窓からの眺めを楽しむ二人。終着駅の和田浦駅到着時刻は10時50分。途中の館山駅での停車を含め、約3時間15分のサイクルトレイン旅だ。房総内陸ののどかな風景から、次第に太平洋を望む海岸線へとロケーションは変化する。
「車内で過ごす時間は十分にあります。普段、ただ走ってばかりだと意外と話すタイミングがなかったりしますけど、気が置けない仲間と色々と話ができるのは魅力ですね。今回、館山駅の売店で停車中に軽食を買いましたが、両国駅で乗車する前に何か飲食物を買っておくとサイクルトレインの旅気分が高まると思います」と、単なる移動手段であった既存のサイクルトレインとは異なり、楽しみに広がりがあるB.B.BASEを満喫する日向さん。
愛車を並べた座席に座りながら、この日のコースと立ち寄りたいスポットを最終チェック。そうこうしている間に、クジラの捕鯨基地として知られる和田町の和田浦駅に到着。長いようで短かったB.B.BASEの自転車旅を終えて、自転車とともにホームへと出ると、そこには菜の花が咲く春らしい景色がお出迎えしてくれた。そして、ホームから駅舎をくぐって、自転車にまたがる。いよいよ、房総半島と海と山のいいとこ取りをする全長70kmほどのロングライドへ出発だ!
房総を自転車の基地にするスペシャルなサイクルトレイン B.B.BASE
年間を通じて温暖な気候の中で、南房総のシーサイドラインや半島内陸の丘陵地帯を楽しめる風光明媚な房総半島。
Boso(房総)・Bicycle(バイシクル)・Base(基地)。略して、B.B.BASEと名付けられたサイクルトレインは、サイクリストへ新たな週末ロングライドの楽しみ方をプロデュースする。近年、電車に輪行なしでスポーツバイクを乗せられるサイクルトレインが、ローカル線を中心に運行されている。しかし、どれも期間限定の列車であったり、あくまで一般車両に自転車を乗せられるだけのものだった。
今回のB.B.BASEは一味もふた味も違う。毎週土日に1日1ダイヤ(往復)が組まれ、両国と房総各地を結ぶ。そして、単に目的地まで自転車を楽に運べる電車というだけでなく、B.B.BASEに乗車している時間もイベントの一部にしてしまう魅力が盛りだくさんだ。愛車を固定する専用バイクラックが一体となった座席に座り、愛車と仲間たちと専用車両の中で過ごす時間は特別だ。バイシクルベース(自転車基地)の名の通り、まさに動く自転車基地は、サイクリストの新しい週末ライドのスタイルだ。
房総ライドへの玄関口となるのは、東京都墨田区にあるJR両国駅だ。東京スカイツリーのお膝元にあり、そばには隅田川が流れる。東京駅からは距離3kmの地点。 僕らがJR両国駅に到着したのは7時30分前。発車時刻の7時39分が迫っていた。普段ならここから輪行をして電車に乗り込むまで慌ただしい時間を過ごすけれど、今回は自転車をそのまま乗せられるので、輪行の必要がない。
ところで、この日の行き先は太平洋が目と鼻の先の南房総の和田浦駅だ。B.B.BASEは房総半島の魅力を感じられるコースが複数用意されている。内房コース、外房コース、銚子コース、佐原コースの4つだ。第一土日が内房コース、第二土日が外房コース、という具合に週ごとに行き先が変更される。行き先に応じて発着時刻も異なるので、詳しくは公式ホームページを確認したい。
さて、B.B.BASEは専用ホームから発車するため、通常の改札口は通らない。駅舎前の路面にペイントされたB.B.BASEまでの案内マークに従い、両国国技館の横を通り、専用ゲートへ。
「電車に乗せるのに輪行をしなくてもよいのは、本当に気軽。普段の輪行旅とは違う新鮮さが味わえる。この日専用ゲート前では駅員さんやB.B.BASEのスタッフがお出迎えしてくれたことが嬉しかった」と笑顔の日向さん。
まさにその通りで、便利さだけでない非日常感がそこにはある。専用ホームに入るところから、ドキドキワクワク感があり、いつもの週末ロングライドとは違う楽しみが待っていることを期待させてくれた。
B.B.BASEは快速の全車指定席(禁煙)の全6両編成だ。切符はびゅう旅行商品として事前に申し込みを行う。日帰りプランだけでなく、週末を使った宿泊プランも用意されている。自身のスタイルにあったプランで房総半島を気軽に楽しむことができる。
専用ラックに充実装備が演出する安心で快適な電車の旅
ロゴが大胆にデザインされた車両外装。車内に入れば、バイクラックと座席が一体化した専用シートがズラリと並ぶ。その光景は壮観だ。全99席あり、4号車はバイクラックのないフリースペースになっている。
「全席指定なので、自分専用のシートラックにバイクをセットできます。セッティングはとてもスムーズです。これなら女性ひとりでも簡単にできます。そして、愛車と一緒に座って旅を楽しめる感覚が嬉しいですね」と、愛車をそばに置ける専用シートに満足げな日向さん。
また、統一されたデザインとクールなメタリカルな車内空間がカッコイイ。バイクラックは重厚感があり、電車の揺れにもビクともせず安定感抜群。愛車を安心してセットすることができる。
とにかく、このB.B.BASEはサイクリスト専用設計だ。「実は構想当初、乗客と自転車の車両を別けたり、バイクを立てずに横に設置する案なども検討しました。最終的に、愛車や仲間と時間を共有することをコンセプトにして設計されました」と、開発秘話を話してくれたJR東日本の担当者。
バイクラック自体の設計はもちろん、ラック周辺や座席間の通路などの空間にも余裕を持たせている。床面には滑り止めが施され、ビンディングシューズでも安心だ。また、各テーブルには、AC電源コンセントがあり、スマホの充電などが可能。さらに、新幹線と同タイプのトイレが設置。サイクリストが快適に過ごせる車内設備が各所に散りばめられる。
「電源は嬉しいですね。ロングライドで1日中使っているとよく電源が落ちてしまいますから。ACアダプタは持っておきたいです」と、普段からロングライドで現地の写真をたくさん撮る日向さん。B.B.BASEのスタッフから防寒用にブランケットのサービスもあるなど、サイクリストの快適な旅をフルサポートしてくれる。
また、サイクリスト同士でコミュニケーションを取りやすいように、6車両のうち4号車だけはフリースペースとなっている。今後、ショップイベントやメーカーの試乗イベントなどが開催されると面白そうだ。
しっかり守られた愛車と共に、あっという間に南房総へ!
電車の揺れにもびくともせず、確実に固定された愛車に安心感を抱きながら、車窓からの眺めを楽しむ二人。終着駅の和田浦駅到着時刻は10時50分。途中の館山駅での停車を含め、約3時間15分のサイクルトレイン旅だ。房総内陸ののどかな風景から、次第に太平洋を望む海岸線へとロケーションは変化する。
「車内で過ごす時間は十分にあります。普段、ただ走ってばかりだと意外と話すタイミングがなかったりしますけど、気が置けない仲間と色々と話ができるのは魅力ですね。今回、館山駅の売店で停車中に軽食を買いましたが、両国駅で乗車する前に何か飲食物を買っておくとサイクルトレインの旅気分が高まると思います」と、単なる移動手段であった既存のサイクルトレインとは異なり、楽しみに広がりがあるB.B.BASEを満喫する日向さん。
愛車を並べた座席に座りながら、この日のコースと立ち寄りたいスポットを最終チェック。そうこうしている間に、クジラの捕鯨基地として知られる和田町の和田浦駅に到着。長いようで短かったB.B.BASEの自転車旅を終えて、自転車とともにホームへと出ると、そこには菜の花が咲く春らしい景色がお出迎えしてくれた。そして、ホームから駅舎をくぐって、自転車にまたがる。いよいよ、房総半島と海と山のいいとこ取りをする全長70kmほどのロングライドへ出発だ!
提供:JR東日本 text&photo:Kenji.Hashimoto photo:Naoki.Yasuoka