脳性マヒをもちながら、2008年にハンドサイクルで日本縦断1200km走破を達成した障害者の永野明さんが、4月24日から九州一周にチャレンジする。

ハンドサイクルで走る永野明さんハンドサイクルで走る永野明さん 2008年に東京-福岡間1,200km、2009年に広島-長崎間470kmをハンドサイクルで走った永野明さんが、4月に九州一周1,000kmを12日間で走る計画を進めている。 ”TE-DEマラソン”とは、もちろん「手でマラソン」という意味。人力で、しかも腕だけの力が原動力のハンドサイクルで連日走る過酷な旅だ。

ハンドサイクル(手漕ぎ自転車)とは、自転車の前輪部分を車椅子に取り付け、足の代わりに両手でハンドルを漕いで進む自転車のこと。ほとんどの車椅子に着脱ができるため、移乗の必要がない。上肢が機能していれば駆動・操作をすることができるため、下肢に障害があっても乗ることができる。ちなみに2004年のアテネ・パラリンピックより、ハンドサイクル競技がパラリンピックでの公式種目となっている。

永野さんが計画している九州一周のルートは、4月24日に長崎を出発し、佐賀、福岡、熊本、鹿児島、宮崎、大分各県を経て5月5日に福岡県博多駅前にゴールする全行程約1000km。

脳性マヒで身体障害者手帳1級をもつ永野さんは、自らがチャレンジャーとして走る中で、ユニバーサル社会実現に向けて、それぞれの地域で見たことや身体に感じたことを、完走後、各自治体に訴えていくという。

永野明さんのハンドサイクル永野明さんのハンドサイクル 永野さんの考える"ユニバーサル社会"とは、障害の有無や種類、度合いにかかわらず、誰もが気軽にスポーツやビジネスをしたりすることで、個人の可能性を追求し、いろいろな立場から社会に対しての責任を果たせる社会のことだ。

永野さんは次のように訴える。「障害の有無や種類、度合いにかかわらず、誰もが楽しく気軽にスポーツができる環境や、ビジネスができる社会の実現を目指して、自らの身体を使って地元九州を走り抜くつもり。みなさん、その証人になって下さい!!」


九州一周 TE-DE マラソン2010 日程 

1日目 4月24日(土) 長崎・長崎駅前~佐賀・嬉野市(和多屋別荘) 65.3km
2日目 4月25日(日) 佐賀・嬉野市(和多屋別荘)~福岡・久留米市駅前 80km
3日目 4月26日(月) 福岡・久留米市駅前~熊本・熊本駅前 84.0km
4日目 4月27日(火) 熊本・熊本駅前~熊本・水俣駅前 96.2km
5日目 4月28日(水) 熊本・水俣駅前~鹿児島・鹿児島駅前 119.2km
6日目 4月29日(木) 鹿児島・鹿児島駅前 宮崎・都城駅前 72.2km
7日目 4月30日(金) 休息日
8日目 5月1日(土) 宮崎・都城駅前~宮崎・新富町役場前 72.8km
9日目 5月2日(日) 宮崎・新富町役場前~宮崎・延岡駅前 70.0km
10日目5月3日(月) 宮崎・延岡駅前~大分・別府駅前 126.5km
11日目5月4日(火) 大分・別府駅前~福岡・小倉駅前 117.4km
12日目5月5日(水) 福岡・小倉駅前~福岡・博多駅(紀伊國屋書店福岡本店)66.9km

永野さん自身による計画書のなかから、この冒険を通じて永野さんが目指す「ユニバーサル社会」
について紹介しよう。

【永野明のユニバーサル社会的活動の内容】

・障害者が実際に活用できるバリアフリーインフラの訴求
日本各地で街中のバリアフリーインフラ整備が盛んに行われています。しかし、果たしてどれく
らいの障害者・高齢者のニーズに合っているのでしょうか? ハンドサイクルで1,200kmを走る
永野が、バリアフリーインフラの再整備、そして必要な場所への整備に向けた提案を各地方自治
体に致します。
 
・ハンドサイクル競技およびハンドサイクル普及拡大
「ハンドサイクル」は、障害者の方でも高齢者の方でもスポーツを楽しむことができるすばらし
いアイテムです。いろんな方に乗っていただけるよう、走る途中の休憩・宿泊地では希望者に試
乗していただき、その良さと利便性を伝えていきたいと思います。
 
・障害者スポーツの裾野拡大
障害者スポーツは、車椅子バスケやチェアスキーなどの障害者特有のスポーツからブラインドサッ
カーなどの健常者・障害者混合の競技などがあります。いろんな競技を知っていただきたいと思
い、まずハンドサイクルで走っている姿を見てもらい、その他の障害者スポーツにも興味をもっ
ていただきたいと考えています。

ハンドサイクルのエンジンは「腕」だハンドサイクルのエンジンは「腕」だ 永野明さんプロフィール
1975年6月生まれ。福岡県出身、東京在住。脳性まひで身体障害者手帳1級。
1997年障害者プロレス団体「ドッグレックス」に入団。
選手として約4年の活動を経て、2000年1月に九州・福岡を拠点とした障害者プロレス団体「FORCE」を設立。現在は両団体で選手として活躍しており、「FORCE」では代表も務める。
2008年に東京ー福岡間をハンドサイクルで走り「実際活用できるバリアフリー」の訴求を今後も続けていくと決意。

永野さんのホームページでは現在支援金を募集している。詳しくは下記リンク先のTE-DE マラソン official web site まで。

TE-DE マラソン official web site
http://five-force.com/

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