2017/11/27(月) - 09:10
山梨県南西部にある富士川エリアで行われた南アルプスロングライド。今年も紅葉に山々が色づく11月18日から19日にかけて行われたロングライドイベントの中でも初日に行われた白洲・韮崎ステージの様子をレポートしよう。
秋もそろそろ終わりを迎える11月18日。山梨県の南西部に位置する富士川エリアを舞台に、首都圏では今年最後となるであろうロングライドイベント「南アルプスロングライド」が開催された。2日間通して行われるこのイベントは1日目が35kmのプチ南アルプスステージと80kmの白洲・韮崎ステージに分かれており、どちらも翌日の108kmツール・ド・富士川ステージに向けての肩慣らしとして胃も脚も程よく楽しめる内容となっている。
編集部・カマタが今回レポートをお届けするのは初日に行われた80kmの白洲・韮崎ステージ。2日間のスタート&ゴール地点である道の駅富士川から北上し、南アルプス市、韮崎市を通過し、北杜市の大武川を越えたところで折り返し。北風に乗りながら道の駅富士川に帰還するというルートだ。距離こそ80kmと足慣らしとしては長めのコースだが、大きな登りはなく、全体を通してじわじわ登り、じわじわ下って帰るというレイアウトだ。最高標高地点は第2エイド前の685mとなる。
今年1番の寒波がやってくるという大会当日。スタート地点の空の様子は今にも泣き出しそうな曇り空である。天気予報ではイベント中にひと雨来る可能性も高いということで、念入りに雨対策を施して取材に向かう。雨のイベントはこの準備でどれだけ楽しめるかが変わってくるというのが私の持論だ。雨対策を怠ると苦い思い出が大半になってしまうかもしれないが、ちゃんと準備すれば(出走者率も低くなりがちなので)エイドのグルメも食べ放題だし、「エクストリームな状況でも80km走れる俺ってカンチェラーラみたいかも!?」とナルシズムに浸ることも出来る。
スタート地点及び大会本部では受付を済ませると”チャリたぬ”のストラップとステッカーが貰える。このチャリたぬは「サイクル天国やまなし」のマスコットキャラクターだ。今年の夏にお披露目されたサイクルゆるキャラで、着ているジャージとヘルメットの色違いで7体いるという。普段は自転車乗りが集まるスポットに配置されており、この南アルプスロングライドでもところどころのエイドステーションで登場してくれるのだとか。ワクワク。
また、このスタート地点では第0エイドと称し、ねじりがしとコーヒーが頂けるのがありがたいところ。眠い朝には温かいコーヒーとほんのりあまいねじりがしの組み合わせがグッドだ。ここで大会の企画や運営にも携わり、当日はサポートライダーもこなすバイシクルショップYOU CAN 山梨店店長の高野さんに南アルプスロングライドの見所を聞いた。
「参加者の方々にはやっぱり紅葉が美しいのでそこを堪能して頂きたいですね。エイドステーションでは地域の特産の美味しい食べ物が魅力的なステージとなっていますし、武田信玄ゆかりの地を巡るのでそういった歴史的背景を鑑みながら走るとより楽しめると思います。去年のコースより登りの難易度は低く設定してありますし、帰路は北風に上手く乗ることができればゴールまで気持ちよく走れるようになっています。明日への足慣らしとしてのんびり走れるコースになっています」。ということで、初日にふさわしいコース設定になっているようだ。
韮崎工業高校太鼓部による力強い演奏が鳴り響くとほどなく開会式が始まる。やまなしサイクルプロジェクトの青木理事長の挨拶に始まり、ゲストライダーが続々と登壇していく。実は今回の南アルプスロングライドはNHKBSで放送されている人気自転車番組「チャリダー」が完全取材。番組に登場するMCの朝比奈彩さんや宮澤崇史さん、坂バカ女子部の佐藤綾衣さんがそれぞれのコースを走るという。
もちろん南アルプスロングライドの前身であるツール・ド・富士川第1回大会から参加している自転車界のレジェンド、今中大介さんや山梨県を中心に活動するデュアスロン日本チャンピオンのエース栗原さんも参加。ステージ慣れしている青木理事長とエース栗原さんが一緒になって「えいえいえおー!」と寒空を吹き飛ばす掛け声を掛けると会場のボルテージも最高潮に。
いよいよスタートである。スタートは25人程度のグループに分かれての出走となり、各グループには地元の経験豊かなサイクリストがサポートライダーとしてしっかり帯同。ペーシングから各名所のガイドまで、南アルプスロングライドを安全に楽しく走れるよう最初から最後までサポートしてくれる。このサポートライダー達の質の高さも本大会の魅力の1つだろう。
スタート時間の9時になると今中大介さんとエース栗原さんを含む第1グループからスタート。第1エイドとなる神山体育館を目指し、富士川町から北上していく。車通りが少ない道が選択されているので、安心して走ることができ、鮮やかに紅葉した木々が立ち並ぶ並木道を行く。途中アップダウンはいくつかあるが、サポートライダーの絶妙なペーシングにより、グループは崩れること無く一塊で進んでいく。また、もしもグループから遅れてしまってもコース上のポイントとなるところには案内板が設置されており、迷うことはないだろう。
しばらく行けば第1エイドとなる神山体育館に到着。ここでは黒蜜を練り込んだきなこを使用した新食感の甲州信玄ラスクと果物王国の山梨県で取れたみずみずしいりんごが頂ける。実はこの甲州信玄ラスクは今年の8月に新発売された新しい山梨のお菓子。韮崎市に本店を置くパン屋さん「コーナーポケット」の商品で、同店の人気商品「八ヶ岳ブレッド」の遺伝子を受け継いだ「八ヶ岳ラスク」の姉妹品という位置づけだ。
第1エイドで少々の休憩をしたら次なるエイドステーションとなる武川中学校まで少しずつ登っていくコースプロフィール。降ると思っていた雨が中々降らないためか、参加者の方々は焦らず程よいペースで走っていく。北杜市に入り、大武川河川公園の横を進んでいくと前方には優大な南アルプス山脈の山々が現れる。山頂は雲に隠れて見えないが、白く雲がかかった山々の姿は非常に神聖な存在に思える。正直私は晴れの山より少し雨か曇りの時に見える荘厳な山の姿のほうが好きだ。
そんな姿を眺めながらペダルを回すと到着するのが第2エイドとなる武川中学校だ。ここでは待ちに待った昼食が頂ける。今回のお弁当のラインアップは駅弁にもなっている「高原野菜とカツの弁当」、中村農場の「甲州頬落鶏弁当」、カフェ明治学校の特製弁当の3種類だ。どれも品数が豊富でボリューム満点のお弁当となっており、どれも選んでも間違いはないだろう。
私は甲州頬落鶏弁当をチョイス。大きな鳥の手羽先は実は中に鶏ひき肉の詰め物が入っており、言わば肉in肉という品。加えてチキンカツが4切れと煮物に卵焼きというメニューになっている。正直、サイクリングイベントの昼食にしては異様ともいえるボリュームで本当に満腹になってしまうほどの内容となっているのだ。こんなに食べて走れるだろうかと心配になってしまうが、おいしいので箸が進んでしまうのが罪深いところ。このお弁当はかなりお勧めの品であった。
食事を済ませ、外に出ると雨粒がぽつりぽつりと雨音を奏でていた。いずれは降り出すものと覚悟はしていたものの、少し気が滅入ってしまうのはしょうがないところだろうか。気を取り直して出発する。ここからは次のエイドとなる幸福の小径まで畑を突っ切るように南下するコースレイアウトだ。全体的に下り勾配ではあるものの、しっかりペダルを回さないと進まない勾配感であるため、常に身体を動かすことができ、体温を丁度良く保つ事が出来る。
小雨の中を黙々と走って韮崎市にある第3エイドに到着。実はこの場所は2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智博士が中学時代に歩いた通学路であり、幸福の小径という名前が付けられた1.8kmほどの遊歩道なのである。エイドステーションが設けられた場所には大村博士の銅像も建てられており、韮崎市を代表する偉人であることが分かる。
このエイドでは食後の後のおやつと言ったメニューで、韮崎市のゆるキャラである「ニーラ」の顔を模したクッキーと温かいコーヒーが頂ける。ニーラクッキーは結構甘め。対してコーヒーはもちろん苦いので2つが合わさるとちょうどいい塩梅だ。そうそう、筆者はコーヒーが苦手なのだが、この南アルプスロングライドで出されるコーヒーはお茶のような感覚で飲めてしまい、不思議な気分に。私だけなのか分らないので、コーヒーが苦手な人がぜひひと口試して欲しい。
しかし雨は降り続けるので、足早にエイドを後にすることに。次のエイドまでは多少のアップダウンをこなしながら引き続き南下する12km。粛々と上り下りを繰り返していると、雨が少しづつ止み始める。これには参加者の方々も少し安堵したのか、走行ペースも少しだけ緩む。
またこの区間には自然以外のフォトジェニックなポイントとしてぐるりと1回転する白根ループ橋がある。我々シクロワイアード取材陣としては毎年抑えておかねばならない撮影スポットであるので、もれなく停車し撮影。広角レンズで全景を写させてもらった。なお夜になるとループ橋手前にある展望公園から美しい甲府盆地の夜景が見られるデートスポットになるという。
そのまま走れば第4エイドのほたるみ館に到着。ここではおばあちゃん達によるお饅頭や味噌おでん、特製ジャムを乗せたクラッカーなどが頂ける。更にここには7体いるというチャリたぬシリーズの中から、ピンクが登場。皆さんここぞとばかりに記念撮影に勤しんでいた。
ここからはゴールまで11km程度。甲府盆地を尻目にダウンヒルをこなし、市街地エリアをサラリとこなせばゴールである道の駅富士川はすぐそこ。皆晴れやかな笑顔でゴールに飛び込んでいく。途中雨にも降られたが、そんなライドでも楽しいと思わせてくれる充実のステージであった。ゴール後には地元の郷土料理である「みみ」も振る舞われ、冷えた身体に温かい汁が染み渡る。
ステージでは今中大介さんやエース栗原さん、チャリダー坂バカ女子部の佐藤綾衣さんによるトークショーやじゃんけん大会も行われ、明日のツール・ド・富士川ステージに向けてまだまだ楽しい時間は続く。今日は生憎、雨に降られてしまい、紅葉彩る美しい眺望の全ては見られなかったが、まだ明日もあるのが2日間イベントの良いところ。明日の天気回復を祈ってこの日は眠りについたのだった。
text:Kosuke.Kamata
photo:Makoto.AYANO
秋もそろそろ終わりを迎える11月18日。山梨県の南西部に位置する富士川エリアを舞台に、首都圏では今年最後となるであろうロングライドイベント「南アルプスロングライド」が開催された。2日間通して行われるこのイベントは1日目が35kmのプチ南アルプスステージと80kmの白洲・韮崎ステージに分かれており、どちらも翌日の108kmツール・ド・富士川ステージに向けての肩慣らしとして胃も脚も程よく楽しめる内容となっている。
編集部・カマタが今回レポートをお届けするのは初日に行われた80kmの白洲・韮崎ステージ。2日間のスタート&ゴール地点である道の駅富士川から北上し、南アルプス市、韮崎市を通過し、北杜市の大武川を越えたところで折り返し。北風に乗りながら道の駅富士川に帰還するというルートだ。距離こそ80kmと足慣らしとしては長めのコースだが、大きな登りはなく、全体を通してじわじわ登り、じわじわ下って帰るというレイアウトだ。最高標高地点は第2エイド前の685mとなる。
今年1番の寒波がやってくるという大会当日。スタート地点の空の様子は今にも泣き出しそうな曇り空である。天気予報ではイベント中にひと雨来る可能性も高いということで、念入りに雨対策を施して取材に向かう。雨のイベントはこの準備でどれだけ楽しめるかが変わってくるというのが私の持論だ。雨対策を怠ると苦い思い出が大半になってしまうかもしれないが、ちゃんと準備すれば(出走者率も低くなりがちなので)エイドのグルメも食べ放題だし、「エクストリームな状況でも80km走れる俺ってカンチェラーラみたいかも!?」とナルシズムに浸ることも出来る。
スタート地点及び大会本部では受付を済ませると”チャリたぬ”のストラップとステッカーが貰える。このチャリたぬは「サイクル天国やまなし」のマスコットキャラクターだ。今年の夏にお披露目されたサイクルゆるキャラで、着ているジャージとヘルメットの色違いで7体いるという。普段は自転車乗りが集まるスポットに配置されており、この南アルプスロングライドでもところどころのエイドステーションで登場してくれるのだとか。ワクワク。
また、このスタート地点では第0エイドと称し、ねじりがしとコーヒーが頂けるのがありがたいところ。眠い朝には温かいコーヒーとほんのりあまいねじりがしの組み合わせがグッドだ。ここで大会の企画や運営にも携わり、当日はサポートライダーもこなすバイシクルショップYOU CAN 山梨店店長の高野さんに南アルプスロングライドの見所を聞いた。
「参加者の方々にはやっぱり紅葉が美しいのでそこを堪能して頂きたいですね。エイドステーションでは地域の特産の美味しい食べ物が魅力的なステージとなっていますし、武田信玄ゆかりの地を巡るのでそういった歴史的背景を鑑みながら走るとより楽しめると思います。去年のコースより登りの難易度は低く設定してありますし、帰路は北風に上手く乗ることができればゴールまで気持ちよく走れるようになっています。明日への足慣らしとしてのんびり走れるコースになっています」。ということで、初日にふさわしいコース設定になっているようだ。
韮崎工業高校太鼓部による力強い演奏が鳴り響くとほどなく開会式が始まる。やまなしサイクルプロジェクトの青木理事長の挨拶に始まり、ゲストライダーが続々と登壇していく。実は今回の南アルプスロングライドはNHKBSで放送されている人気自転車番組「チャリダー」が完全取材。番組に登場するMCの朝比奈彩さんや宮澤崇史さん、坂バカ女子部の佐藤綾衣さんがそれぞれのコースを走るという。
もちろん南アルプスロングライドの前身であるツール・ド・富士川第1回大会から参加している自転車界のレジェンド、今中大介さんや山梨県を中心に活動するデュアスロン日本チャンピオンのエース栗原さんも参加。ステージ慣れしている青木理事長とエース栗原さんが一緒になって「えいえいえおー!」と寒空を吹き飛ばす掛け声を掛けると会場のボルテージも最高潮に。
いよいよスタートである。スタートは25人程度のグループに分かれての出走となり、各グループには地元の経験豊かなサイクリストがサポートライダーとしてしっかり帯同。ペーシングから各名所のガイドまで、南アルプスロングライドを安全に楽しく走れるよう最初から最後までサポートしてくれる。このサポートライダー達の質の高さも本大会の魅力の1つだろう。
スタート時間の9時になると今中大介さんとエース栗原さんを含む第1グループからスタート。第1エイドとなる神山体育館を目指し、富士川町から北上していく。車通りが少ない道が選択されているので、安心して走ることができ、鮮やかに紅葉した木々が立ち並ぶ並木道を行く。途中アップダウンはいくつかあるが、サポートライダーの絶妙なペーシングにより、グループは崩れること無く一塊で進んでいく。また、もしもグループから遅れてしまってもコース上のポイントとなるところには案内板が設置されており、迷うことはないだろう。
しばらく行けば第1エイドとなる神山体育館に到着。ここでは黒蜜を練り込んだきなこを使用した新食感の甲州信玄ラスクと果物王国の山梨県で取れたみずみずしいりんごが頂ける。実はこの甲州信玄ラスクは今年の8月に新発売された新しい山梨のお菓子。韮崎市に本店を置くパン屋さん「コーナーポケット」の商品で、同店の人気商品「八ヶ岳ブレッド」の遺伝子を受け継いだ「八ヶ岳ラスク」の姉妹品という位置づけだ。
第1エイドで少々の休憩をしたら次なるエイドステーションとなる武川中学校まで少しずつ登っていくコースプロフィール。降ると思っていた雨が中々降らないためか、参加者の方々は焦らず程よいペースで走っていく。北杜市に入り、大武川河川公園の横を進んでいくと前方には優大な南アルプス山脈の山々が現れる。山頂は雲に隠れて見えないが、白く雲がかかった山々の姿は非常に神聖な存在に思える。正直私は晴れの山より少し雨か曇りの時に見える荘厳な山の姿のほうが好きだ。
そんな姿を眺めながらペダルを回すと到着するのが第2エイドとなる武川中学校だ。ここでは待ちに待った昼食が頂ける。今回のお弁当のラインアップは駅弁にもなっている「高原野菜とカツの弁当」、中村農場の「甲州頬落鶏弁当」、カフェ明治学校の特製弁当の3種類だ。どれも品数が豊富でボリューム満点のお弁当となっており、どれも選んでも間違いはないだろう。
私は甲州頬落鶏弁当をチョイス。大きな鳥の手羽先は実は中に鶏ひき肉の詰め物が入っており、言わば肉in肉という品。加えてチキンカツが4切れと煮物に卵焼きというメニューになっている。正直、サイクリングイベントの昼食にしては異様ともいえるボリュームで本当に満腹になってしまうほどの内容となっているのだ。こんなに食べて走れるだろうかと心配になってしまうが、おいしいので箸が進んでしまうのが罪深いところ。このお弁当はかなりお勧めの品であった。
食事を済ませ、外に出ると雨粒がぽつりぽつりと雨音を奏でていた。いずれは降り出すものと覚悟はしていたものの、少し気が滅入ってしまうのはしょうがないところだろうか。気を取り直して出発する。ここからは次のエイドとなる幸福の小径まで畑を突っ切るように南下するコースレイアウトだ。全体的に下り勾配ではあるものの、しっかりペダルを回さないと進まない勾配感であるため、常に身体を動かすことができ、体温を丁度良く保つ事が出来る。
小雨の中を黙々と走って韮崎市にある第3エイドに到着。実はこの場所は2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智博士が中学時代に歩いた通学路であり、幸福の小径という名前が付けられた1.8kmほどの遊歩道なのである。エイドステーションが設けられた場所には大村博士の銅像も建てられており、韮崎市を代表する偉人であることが分かる。
このエイドでは食後の後のおやつと言ったメニューで、韮崎市のゆるキャラである「ニーラ」の顔を模したクッキーと温かいコーヒーが頂ける。ニーラクッキーは結構甘め。対してコーヒーはもちろん苦いので2つが合わさるとちょうどいい塩梅だ。そうそう、筆者はコーヒーが苦手なのだが、この南アルプスロングライドで出されるコーヒーはお茶のような感覚で飲めてしまい、不思議な気分に。私だけなのか分らないので、コーヒーが苦手な人がぜひひと口試して欲しい。
しかし雨は降り続けるので、足早にエイドを後にすることに。次のエイドまでは多少のアップダウンをこなしながら引き続き南下する12km。粛々と上り下りを繰り返していると、雨が少しづつ止み始める。これには参加者の方々も少し安堵したのか、走行ペースも少しだけ緩む。
またこの区間には自然以外のフォトジェニックなポイントとしてぐるりと1回転する白根ループ橋がある。我々シクロワイアード取材陣としては毎年抑えておかねばならない撮影スポットであるので、もれなく停車し撮影。広角レンズで全景を写させてもらった。なお夜になるとループ橋手前にある展望公園から美しい甲府盆地の夜景が見られるデートスポットになるという。
そのまま走れば第4エイドのほたるみ館に到着。ここではおばあちゃん達によるお饅頭や味噌おでん、特製ジャムを乗せたクラッカーなどが頂ける。更にここには7体いるというチャリたぬシリーズの中から、ピンクが登場。皆さんここぞとばかりに記念撮影に勤しんでいた。
ここからはゴールまで11km程度。甲府盆地を尻目にダウンヒルをこなし、市街地エリアをサラリとこなせばゴールである道の駅富士川はすぐそこ。皆晴れやかな笑顔でゴールに飛び込んでいく。途中雨にも降られたが、そんなライドでも楽しいと思わせてくれる充実のステージであった。ゴール後には地元の郷土料理である「みみ」も振る舞われ、冷えた身体に温かい汁が染み渡る。
ステージでは今中大介さんやエース栗原さん、チャリダー坂バカ女子部の佐藤綾衣さんによるトークショーやじゃんけん大会も行われ、明日のツール・ド・富士川ステージに向けてまだまだ楽しい時間は続く。今日は生憎、雨に降られてしまい、紅葉彩る美しい眺望の全ては見られなかったが、まだ明日もあるのが2日間イベントの良いところ。明日の天気回復を祈ってこの日は眠りについたのだった。
text:Kosuke.Kamata
photo:Makoto.AYANO
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