ゴールデンウィークまっただ中となる5月5日、今年も多くのサイクリストが集まった「もてぎ7時間エンデューロ」。夏を思わせる暖かな一日を3500名のライダーたちが楽しみつくした様子をレポート。



鯉のぼりたなびくツインリンクもてぎ鯉のぼりたなびくツインリンクもてぎ
年に2回、初夏と晩秋に行われる関東屈指の人気エンデューロイベントが「もてぎ7時間エンデューロ」である。国際的にも知名度の高いサーキットである、栃木県芳賀郡の「ツインリンクもてぎ」にて開催される春の耐久レースは今年で4回目を迎えることとなった。常磐道水戸北IC、もしくは東北道宇都宮IC、北関東自動車道真岡ICからそれぞれ約1時間ほどに位置し、どの方向からもアクセスしやすい会場だ。

motoGPやSUPER GTといった最高峰のモータースポーツイベントの開催地として、三重県の鈴鹿サーキットや静岡県の富士スピードウェイなどと並ぶ格式を誇るツインリンクもてぎに集まったのは、3500名を越える参加者たち。応援の方々も入れれば、4000名を越える来場者となったのではないだろうか。

3000人を越える参加者たちが集まったもてぎ7時間エンデューロ3000人を越える参加者たちが集まったもてぎ7時間エンデューロ
コースとなるのは、1周4.8kmの「ロードコース」。茂木町の山中に設けられたサーキットは起伏に富んでおり、メリハリの利いたレイアウト。格式あるサーキットらしく、大小さまざまなコーナー14か所が設けられるテクニカルなコースは自転車の速度域でもダイナミックに感じられる。地脚もそうだが、コーナリングテクニックやペーシングスキルなど、速さを求めるのであれば総合的な力が要求されるコースである。

快晴に恵まれ、かなりの暑さとなった大会当日。朝こそ、風が涼しく少し肌寒さも感じるほどであったが、それも束の間のこと。日が高くなるにつれて気温はじりじりと上昇し、最高気温も約27度と完全に夏日となった。

ツインリンクもてぎのマスコットキャラクターの一人、バットくんツインリンクもてぎのマスコットキャラクターの一人、バットくん こどもたちも応援しますこどもたちも応援します


スタートを待つ子供たちスタートを待つ子供たち 子供たちの活躍を記録しようとスタンバイするお父さんたち子供たちの活躍を記録しようとスタンバイするお父さんたち


大人顔負けのスタートダッシュを決める大人顔負けのスタートダッシュを決める 途中でメカトラブルが発生したものの、サポート選手が助けてくれました途中でメカトラブルが発生したものの、サポート選手が助けてくれました


昨年の秋に好評を得たピットエリアへのテント設置はこの春大会でも継続されており、降り注ぐ日差しから参加者を守るのにも一役買っている。かなりコストアップにつながる対応であるが、長い待ち時間を快適に過ごせるようになることはとてもありがたい。とくに気温も高かっただけに、安全面でも効果を発揮していたのではないだろうか。

さて、朝の試走タイムが終わると、子どもたちのレースが始まる。未就学児のひよこレース、小学生低学年、高学年と3クラスのレースが開催され、スタート地点には大勢の家族たちが詰めかける。一生懸命さがかわいらしいひよこレースから、大人顔負けの本格的なレースを繰り広げる小学生高学年のレースまで、ホームストレートは大きな盛り上がりを見せていた。

多くの大会であれば、子どもたちの出番はキッズレースが終わると暇になってしまうものだが、もてぎエンデューロは一味違う。就学していれば、キッズ種目のみならず、エンデューロ種目を走ることができるうえ、伴走ゼッケンシステムによって、子どもといっしょに親御さんが走ることができるため、ファミリーも一日中楽しむことができるのだ。

スタート地点に向けて移動を開始するスタート地点に向けて移動を開始する もてぎエンジェルに見送られてスタートしていくもてぎエンジェルに見送られてスタートしていく


マヴィックカーを先頭にスタートしていくもてぎエンデューロマヴィックカーを先頭にスタートしていくもてぎエンデューロ
9時から始まるのは7時間エンデューロと4時間エンデューロ。スタートしていく第1走者を応援すべく、ピットエリアには黒山のひとだかりが出来ていた。ずらりと整列した参加者たちは、広いもてぎのホームストレートの幅いっぱいに広がっても、後ろのほうが見えないほど。

ゲストライダー達を先頭にスタートを切った4時間エンデューロ、そしてその4分後に7時間エンデューロの集団がスタートしていく。瞬く間に、こどもの日のツインリンクもてぎはサイクリストで埋め尽くされることとなった。

パレード走行となるファーストラップのホームストレートから、長く伸びた先頭集団。様々なレベルのライダーが混淆するため、エンデューロイベントでもっともリスクの高い時間帯である序盤をできるだけ安全に過ごすべく、サポートライダーたちがペースメイクし、集団を出来るだけコンパクトに分離しようとする動きである。

ペースメイクすることで安全を確保するサポートライダーたちペースメイクすることで安全を確保するサポートライダーたち S字を攻略していくS字を攻略していく


もてぎ最大の難所である直登区間に入っていくもてぎ最大の難所である直登区間に入っていく

サポートライダーを豊富に配置する以外にも、安全対策がきっちりと構築されている。全長4.8kmのコースを隅々まで見落とさないように配置された監視ポストによって、常にコース上の様子をリアルタイムで把握している。落車やメカトラブルの発生など、さまざまな異変を素早く認識し、対応を行っているのだ。

これは、イベントの主催者としてツインリンクもてぎが大きな役割にを果たしているからこそできる対応だといえるだろう。モータースポーツと同じだけの体制でレース運営中のサーキットの安全を見守っていてくれるのだから安心だ。

ダイナミックな下り区間もツインリンクもてぎの魅力だダイナミックな下り区間もツインリンクもてぎの魅力だ
コーナーの立ち上がりは大切なポイントコーナーの立ち上がりは大切なポイント もてぎエンジェルも走りましたもてぎエンジェルも走りました


陽が高くなるにつれ、ジリジリとした暑さがライダーたちに襲いかかる。走っていると風を受けてすこし分かりづらいが、チームメイトと交代しピットに戻ってくると一気に汗が噴き出てくるほど。そんな天気もあり、フードエリアやカフェには涼を求めて多くの人が集まってきた。

ケータリングカーが集まったフードエリアで人気だったのは、なんといってもかき氷。旬のとちおとめを使ったフレーバーは特に人気を集めていたよう。サーキット常設の「グランツーリスモカフェ」では、冷房も効いた部屋でご飯をいただく事が出来るので、日差しが気になるという方にはお勧めだ。

もてぎ名物のマリオコスプレの方は今年も走っていましたもてぎ名物のマリオコスプレの方は今年も走っていました 伴走ゼッケンシステムのおかげで親子同時に走ることができるのは嬉しいポイント伴走ゼッケンシステムのおかげで親子同時に走ることができるのは嬉しいポイント

青空の下、7時間のレースに挑みます青空の下、7時間のレースに挑みます 2時間にはハンドサイクルの部も設けられている2時間にはハンドサイクルの部も設けられている


さて、昼も過ぎ4時間エンデューロが終了すると、2時間エンデューロが間もなくスタートしていく。ペースが落ち着いてきた7時間エンデューロの集団にフレッシュな脚を持ったライダーたちが合流し、レースに更なる刺激を与えてくれた。

約半日にわたって戦いが繰り広げられた7時間エンデューロだが、最後は集団スプリントで決着。最終コーナー手前からトレインを組んだのはイナーメアイランド信濃山形。そこから発射された全日本TT王者・中村龍太郎選手が雄たけびと共にフィニッシュラインを先頭で通過した。

最後はサポートライダー達が集合してフィニッシュ!最後はサポートライダー達が集合してフィニッシュ!
チームエンデューロ表彰台チームエンデューロ表彰台 7時間の激闘を制した中村龍太郎(イナーメ信濃山形)7時間の激闘を制した中村龍太郎(イナーメ信濃山形)


最後は、サポートライダーやブリッツェンフェアリー自転車競技部達に見守られながら最終走者がゴール。7時間の長丁場、キッズレースも含めれば8時間のレースに幕が引かれた。その後は、表彰式と抽選会へ。7時間エンデューロの総合優勝者には、なんとJTBの旅行券7万円分が贈られる太っ腹ぶり!

最高の自転車日和に、安心できるオーガナイズで心行くまで走りつくすことができた今年のもてぎエンデューロGW。きっと来年も、素晴らしい大会となるに違いない。経験豊富なレーサーも、イベントが初めてのビギナーも、子どもと楽しむファミリーも、皆が笑顔になれるエンデューロイベントがここにある。なお、秋大会が11月3日(木・祝)に開催されることも既に決定しているとのこと。エントリーは7月1日から開始予定となる。人気が予想されるため、気になる方はエントリーはお早めに。

来年ももてぎに参戦するぞ!来年ももてぎに参戦するぞ!

text&photo:Naoki.YASUOKA