2009年5月17日、新潟県の佐渡島で佐渡ロングライドが開催され、雨の降る中、全国から集まったサイクリストたちが各コースに挑み、ロングライドを楽しんだ。

前夜祭では佐渡おけさの披露も前夜祭では佐渡おけさの披露も photo:Yufta Omata今年で4回目を迎える佐渡ロングライド210。その名が示す通り210kmという、国内のロングライドイベントでは最大級となる長距離コースが全国のサイクリストを惹き付ける理由となっている。

もちろん、距離だけでなく佐渡島そのものの魅力も大きい。現在、世界遺産の登録に向けて動き始めているという佐渡は、日本で一番大きい離島であるだけでなく、そこに今も残る伝統的な芸能や家屋といった「日本美」も見逃せないポイントだ。数ある登坂をこなしていく数ある登坂をこなしていく photo:Yufta Omata

210kmを走るAコース、130kmを走るBコース、100kmのCコース、観光も組み込まれる40kmのDコースと、走る人の脚力にあわせて細かなコース設定がされているのも人気の秘訣。どのコースも佐渡の良さを感じることができるコースレイアウトだ。

昨年は快晴だった佐渡ロングライドだが、今年は生憎の雨模様。1日を通して冷たい雨が降り続き、早朝のスタート時には吐く息が白くなるほどの寒さ。それでもこの先に待つ佐渡の行程を思いながら、参加者たちはじっとスタートを待つ。5時45分にAコースがスタートし、サイクリストは順々に佐渡一周の旅に飛び出していった。エイドステーションでは補給食が用意され、サイクリストもほっとひといきエイドステーションでは補給食が用意され、サイクリストもほっとひといき photo:Yufta Omata

最終的にはAコースから1629人、Bコース632人、Cコース186人、Dコース157人の計2604人のサイクリストが雨の中、佐和田のスタートを切った。それぞれの旅、それぞれの一日の始まりだ。

およそ20km〜40kmおきに置かれるエイドステーションではバナナやおにぎり、スポーツドリンクが振る舞われ、参加者たちはエネルギーと士気を補充してゴールを目指す。各エイドステーションは地元のボランティアの方々によって結成され、温かい応援の言葉も飛び交った。観光名所でもある大野亀を登る観光名所でもある大野亀を登る photo:Yufta Omata

地元の人々が沿道で送ってくれる声援を力に、サイクリストたちは雨の中ゴールを目指す。ゴールでは大会おなじみのDJタネさんが各参加者の名前を呼びながら「おかえり」と温かい言葉でお出迎え。みなゴールライン上では厳しい天候と疲労感を忘れて達成感と安堵の表情だったのが印象的であった。

冷たい雨は強弱こそあれ一日中降り続き、サイクリストたちの体力を容赦なく奪った。厳しいコンディションはAコースの完走率81.7%という数字にも表れていよう。ちなみにBコースは84.7%、Cコース90.9%、Dコース99.4%という完走率だった。全体では84.1%で、昨年の95.6%と比べていかにタフな一日だったかがうかがえる。ゴール!210kmの長い旅を終え至福の瞬間ゴール!210kmの長い旅を終え至福の瞬間 photo:Yufta Omata

しかし自分の限界にチャレンジできるのがロングライドイベントの特徴のひとつ。その意味では、この悪天候もそれぞれの挑戦にぴりりと効いたスパイスとなって、走り切った参加者の達成感を大きなものにした。

大会主催者のきめの細かいケアと、それを執りなす多くのボランティアの協力によって第4回大会も成功裏に幕を閉じた。多くの参加者は充実の疲労感のうちに来年を見据え始めたに違いない。