1月12日(日)、今シーズン一番の大寒波が日本列島を襲った3連休の中日に、”超”ビギナー向けサイクリングイベント「BOSOサイクリング」が千葉県市原市を舞台に開催された。房総の魅力に触れながら「脱」ビギナーを目指すこのサイクリングイベントを実走取材した。



「50km」というのは読者の皆さんにとってどの様な距離だろうか。自転車歴の長いサイクリストにとっては「余裕を持って走りきれる」と感じるだろうし、中には通勤で毎日走っているという方もいるだろう。そんな皆さんでも初めて50km走った時は「走りきれるのか?パンクしたり自転車が壊れたらどうしよう」という不安を感じながら走り、走破した後は大きな達成感を味わえたはず。

市原市役所をスタートする市原市役所をスタートする
今回レポートする「BOSOサイクリング」は多くのビギナーが感じる走行ルートや機材の不安を可能な限り、取り除いた状態でサイクリングを楽しもうというイベント。主催は千葉県・房総エリアを舞台としたサイクルイベントを企画運営するKSインターナショナル(KSI)だ。

1月12日の千葉県市原市編は全12回に渡って開催が予定されている本イベントの第1回目にあたる。コースは市原市役所を起点に内陸側を巡る約50kmだ。

山倉ダムのほとりをグルっと1周山倉ダムのほとりをグルっと1周 皆さんビギナーながら綺麗な隊列を維持して進んでいく皆さんビギナーながら綺麗な隊列を維持して進んでいく


参加者は地元千葉をはじめ東京や埼玉、アクアライン経由で神奈川から集まり、今シーズン一番の大寒波にも関わらず女性2名を含む計10名を数えた。まだまだピカピカの新車を持ち込んだ方も多く、出発に先立って空気の入れ方や集団走行時の注意事項、安全なコーナリング方法などのレクチャーが行なわれた。

講習会の後、KSIの白熊代表と加藤さんのアテンドと共にスタートする。市原市役所を出発し、五井市原地区に送水する工業用水専用の「山倉ダム」の湖畔を経由しつつ一路南下。近年はハイキングコースとして人気を集める養老渓谷から流れる養老水系を利用した田園地帯からゴルフ場が密集する丘陵地帯へと続き、隊列は穏やかな流れの養老川に出る。

地元の人しか知り得ない様な細々とした道もルートに組み込まれている地元の人しか知り得ない様な細々とした道もルートに組み込まれている 千葉名物?珍来のラーメンは冷えきった体にピッタリ千葉名物?珍来のラーメンは冷えきった体にピッタリ


養老川沿いはむき出しになった地層や緑深い木々が目を楽しませてくれる。加えて交通量が極めて少なく「穴場」といった印象だ。地元のサイクリストのみぞ知るという様なルートを走ることで、千葉県の魅力を知ってもらおうというのもBOSOサイクリングの目的とのこと。「都心から輪行や車で2時間とかからない場所にこんな走り易い場所があるとは!」と参加者の皆さんは感心していた。

上級者であれば休憩なしで走りきれる距離だが、ビギナーが長時間を楽しく走る工夫として今回は2回の休憩が設けられた。1度目は小湊鉄道の上総牛久駅近くにある千葉の名物ラーメン店「珍来」で昼食を取ることに。ここまで全く気温が上がらなかったため、温かいラーメンがとても身にしみた。中には「自転車に乗った後に食べるラーメンはこんなに美味しいんだ」と少し感動気味に語ってくれた参加者の方も。

この休憩が折り返し地点となっており、これまでは南北に流れる養老川の東側を南下していたが、個々からは養老川の西側を北上し、短い登りを数カ所こなす。

コース中で最も勾配のある坂だったが、なんだか楽しそうコース中で最も勾配のある坂だったが、なんだか楽しそう 医光寺名物のお掃除小僧の像医光寺名物のお掃除小僧の像

館山道の市原SAではピーナッツシュークリームを味わった館山道の市原SAではピーナッツシュークリームを味わった 甘いものを食べて元気になるのはビギナーも上級者も同じ甘いものを食べて元気になるのはビギナーも上級者も同じ


休憩を終えると早速登り坂が登場する。平均勾配6%で距離は500m程度だったが、ラーメンを食べたあとだったため少々ツライ(笑)。登り切った先では市原市の指定文化財に指定されている「木造阿弥陀如来坐像」が所蔵される医光寺に寄り道した。

影が長くなる中、田園地帯を駆け抜ける影が長くなる中、田園地帯を駆け抜ける
段々と影が長くなる中、小刻みなアップダウンをこなし到着したのは高速利用者以外も利用できる館山道の市原SAだ。「BOSO FOOD CENTER」と名付けられた千葉県内唯一のサービスエリアで、房総地域の物産品が多く集まる観光スポットの1つである。ここでは千葉の特産品であるピーナッツを使用したシュークリームが提供され、少し疲れた表情を見せる参加者もいたものの、甘いものを食べると再びスタート前の様な元気な表情に。

ローカル風情あふれる小湊鉄道の踏切を渡るローカル風情あふれる小湊鉄道の踏切を渡る 市原SAからは館山道沿いを走り、出発からたっぷりと6時間をかけて午後4時頃に市原市役所にゴール。途中機材トラブルなどがあったものの、全参加者が無事に戻ってくることができた。

ゴール後に記念撮影。皆さん達成感に満ちていますゴール後に記念撮影。皆さん達成感に満ちています 参加者の一人に話を聞いてみると「このイベントの前に交換したビンディングペダルを使えこなせていなかったために皆さんから遅れを取ってしまいましたが、主催者の方にしっかりとケアしていただいて、終盤はしっかりと楽しめました」と満足気な表情で語ってくれた。

距離や登りは決してハードでは無かったが、ビギナーにとっては走りごたえ十分。BOSOサイクリングは自転車の安全な乗り方のみならず、自然やグルメ、史跡めぐりなど自転車の楽しみ方などスキルアップした際にも役立つことを学べて、達成感を味わうことが出来る有意義なイベントであると感じた。

BOSOツーリングを主催するKSインターナショナルの白熊代表BOSOツーリングを主催するKSインターナショナルの白熊代表 また、知られざる千葉の魅力の一片を楽しめることはビギナーのみならず様々なサイクリストにも大きな魅力の1つと言えるだろう。

最後に、今回の様なビギナー向けイベントを開催する理由について代表の白熊さんお話を伺った。

「これまでサイクルトレインなど様々なイベントを開催してきており、近年では様々なレベルのサイクリストの皆さんにご参加頂けるようになりました。しかしイベントによっては速度差が大きすぎることで上級者とビギナーの双方が思うように楽しめないケースが多くなってきたことから、ビギナーの方のみを対象としたイベントを開催するようになりました。

今後も毎月第2日曜日開催予定ですので『長距離走れるか不安だけどイベントに参加してみたい』という方は奮ってご参加ください。また、ビギナーの方でなくても気軽に参加出来るイベントを探している方や自転車仲間を作りたい方も是非。穏やかな自然やグルメなど房総の魅力を詰め込んだコースを用意してお待ちしています。」



毎月第2日曜日開催予定のBOSOサイクリング 参加者募集中!

KSインターナショナルでは2月以降に開催を予定しているBOSOサイクリングのエントリーを開始している。日程は毎月第2日曜日で、4月と5月は中房総国際芸術祭とのコラボレーションイベント(サイクルトレイン)を予定。エントリーはBOSOサイクリングのイベントページ(KSインターナショナルHP内)より行うことができる。

自転車で遠くに行ってみたいという方や、もっと気軽に参加できるイベントを探している方は是非とエントリーを検討してみてはいかがだろうか。


BOSOサイクリング
開催日:毎月第2日曜日(4月と5月は中房総国際芸術祭とのコラボレーションイベントを予定)
2月16日、3月9日、6月8日 、7月13日、8月10日、9月14日、10月12日、11月9日、12月14日
開催場所:内房エリア(2~3月)、中房総エリア(6~9・12月)、南房総エリア(10~11月)
時 間:9:00~15:00(予定)
募集人数:各回50名まで
参加費: 4,500円(税別、昼食代含む)


text&photo:Yuya.Yamamoto