「イタリア最古のレース」と呼ばれるミラノ~トリノ。アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・ティンコフバンク)のアタックが炸裂。ゴールに続く登坂で抜け出しに成功すると独走でゴールへ飛び込んだ。自身初のワンデーレース制覇だ。

スタートラインに並んだイヴェン・バッソ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)とアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・ティンコフバンク)スタートラインに並んだイヴェン・バッソ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)とアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・ティンコフバンク) photo:CorVos9月26日に開催されたミラノ~トリノ(1.HC)。第1回開催は1876年と非常に歴史が深く、「イタリア最古のレース」と呼ばれる大会だ。2008年から2011年にかけては開催を見送られていたものの、今年は4年ぶり、第93回目の開催だ。

コースは序盤、イタリア北部の平坦路を進むコースは序盤、イタリア北部の平坦路を進む photo:Riccardo.Scanferlaコースはその名の通りイタリア北部の都市ミラノから西進し、ピエモンテ州の州都であるトリノを目指す193.5km。序盤から後半にかけては緩やかな平坦~丘陵地帯を行くものの、170km地点からは距離4km、獲得標高450mのトリネーゼの丘が、そしてほぼ同じスペックでゴールに上り詰めるスペルガの丘が用意される。

ヒルクライム力に長けるパンチャー系の選手に有利で、近年の優勝リストにはダニーロ・ディルーカ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)やイゴール・アスタルロア、ファビオ・サッキなどが名を連ねる。

追走グループから抜け出したフレデリック・ケシアコフ(スウェーデン、アスタナ)追走グループから抜け出したフレデリック・ケシアコフ(スウェーデン、アスタナ) photo:CorVosランプレ・ISDやリクイガス・キャノンデールなど10のUCIプロツアーチームと、地元イタリア勢を中心とした8つのプロコンチームとコンチネンタルチームから、計141名の選手がエントリー。

スペルガの登坂を単独で駆け上がるアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・ティンコフバンク)スペルガの登坂を単独で駆け上がるアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・ティンコフバンク) photo:Riccardo.Scanferlaホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)やアルベルト・コンタドールは注目の存在。

イタリアチームはいずれも1軍メンバーを揃え、ダミアーノ・クネゴ(ランプレ・ISD)やヴィンツェンツォ・ニーバリ、イヴァン・バッソ(いずれもリクイガス・キャノンデール)、ナショナルチャンピオンジャージを着るフランコ・ペッリツォッティ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)、フィリッポ・ポッツァート(イタリア、ファルネーゼヴィーニ)など豪華な顔ぶれが揃った。

直近の2007年大会を制しているダニーロ・ディルーカはゼッケン1を付けての出場だ。

スタート直後にアタックを決めたのは、アルフレッド・バッローニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ)とフェデリコ・ロッチェッティ(イタリア、ウテンシルノルド・ネームド)。2名は最大8分30秒ほどの差を稼ぎだすものの、メイン集団は落ち着いてタイム差をコントロール。この体勢のまま、終盤にかけてレースは推移した。

スペルガの上りでコンタドールを追走するディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・ISD)スペルガの上りでコンタドールを追走するディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・ISD) photo:Riccardo.Scanferlaやがてタイム差が1分30秒を切り、トリネーゼの丘に差し掛かると先頭からはロッチェッティが脱落。ペースの上がった集団からはエロス・カペッキ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)が単独でバッローニへの合流に成功すると、最後のスペルガの登坂に突入した。

これを追う形でライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・シャープ)やディエゴ・ウリッシ(ランプレ・ISD)を含む追走グループが形成されると、この中からフレデリック・ケシアコフ(スウェーデン、アスタナ)が抜け出しに成功。カペッキを抜き去り単独先頭に立った。

対するメイン集団ではアタックが頻発し、急勾配区間でホアキン・ロドリゲスがアタックすると、一度遅れていたウリッシを引き連れ、追走の後にケシアコフに合流。遅れてコンタドールとニーバリが追いつき5名の先頭グループが形成された。

すると勾配の緩んだ区間で、グループの背後につけていたコンタドールがアタック。1発でライバル達との差を大きく広げると、その圧倒的なペースは緩むことが無かった。高いケイデンスを最後まで維持すると、紙吹雪舞うゴール地点で「エル・ピストレロ」のポーズが決まった。

紙吹雪舞うゴールに飛び込むアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・ティンコフバンク)紙吹雪舞うゴールに飛び込むアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・ティンコフバンク) photo:Riccardo.Scanferla

ステージレースでは数多くの勝利を上げているコンタドールだが、ワンデーレースでの勝利はこれが初めてのこと。先日亡くなったエウスカルテルのスペイン人選手、ビクトル・カベドに捧げる勝利と語った。


アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・ティンコフバンク)のコメント
「ホアキン(ロドロゲス)が僕の数メートル前を先行していたけれど、追いつくことができた。そこで深呼吸をして、彼の後方からアタックを掛けたんだ。イタリアで勝つことができてとても嬉しいよ。今朝体重を計ったら、ブエルタの時に比べて2.4kgも重かった。昨日は練習しなかったし、一昨日は40kmしか走らなかった。勝つためのポイントは分かってけれど、勝つとは予想していなかったんだ。チームは僕のためにとても良く働いてくれた。カベドに捧げる勝利だ。」

表彰式でポーズを決めるアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・ティンコフバンク)表彰式でポーズを決めるアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・ティンコフバンク) photo:CorVos2位ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・ISD)、1位アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・ティンコフバンク)、3位フレデリック・ケシアコフ(スウェーデン、アスタナ)2位ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・ISD)、1位アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・ティンコフバンク)、3位フレデリック・ケシアコフ(スウェーデン、アスタナ) photo:Riccardo.Scanferla


ミラノ~トリノ2012 結果
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・ティンコフバンク) 4h32′12″
2位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・ISD) +15″
3位 フレデリック・ケシアコフ(スウェーデン、アスタナ) +24″
4位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) +36″
5位 カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アックア・エ・サポーネ)
6位 ファビオ・タボッレ(イタリア、アックア・エ・サポーネ) +43″
7位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス) +45″
8位 クリスアンケル・セレンセン(デンマーク、サクソバンク・ティンコフバンク) 
9位 ヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
10位 フランコ・ペッリツォッティ(イタリア、アンドローニ・ジョカットリ) +53″


text:So.Isobe
photo:Riccardo.Scanfelra

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