まさに圧倒的な勝利。この日も集団スプリントに持ち込まれたツアー・オブ・カリフォルニア第3ステージで勝利を挙げたのはリーダージャージを着用するペーター・サガン(リクイガス・キャノンデール)。開幕からステージ3連勝を達成した。

風が強く吹く丘陵地帯を走る第3ステージ風が強く吹く丘陵地帯を走る第3ステージ (c)Mark johnson/corVosアメリカ西海岸にある、広大なサンフランシスコ湾から少し内陸に入ったエリアを走るツアー・オブ・カリフォルニア第3ステージ。レースはIT企業が多く集まるシリコンバレーの中心地サンノゼをスタートし、リバーモアへと至る186.3km。途中内陸の山岳地帯を大きく1周し、88kmに標高657mの1級山岳ディアブロと、171.3km地点で3級山岳パターソン・パスを超える。

風力発電機が立ち並ぶアメリカ西海岸の内陸地風力発電機が立ち並ぶアメリカ西海岸の内陸地 (c)Mark johnson/corVos昨第2ステージの落車に巻き込まれ、手首を痛めたスティーブ・モラビート(スイス、BMCレーシング)と肩の痛みを訴えるスティーブ・クミングス(イギリス、BMCレーシング)の2名はスタートせず。計124名の選手たちが快晴のサンノゼを出発した。

放牧された牛がレースを見守る放牧された牛がレースを見守る (c)Mark johnson/corVosレース前半の主役は逃げグループを組織した4名。セバスティアン・サーラス(カナダ、オプタム)、パット・マッカーティー(アメリカ、スパイダーテック)、ジェレミー・ヴェンネル(オーストラリア、ビッセル)、ウィルソン・アレクサンドル・マレントス(コロンビア、コロンビア・コルデポルテス)が8km地点の4級山岳を過ぎた地点で形成された。

集団のペースを上げるイエンス・フォイクト(ドイツ、レディオシャック・ニッサン)集団のペースを上げるイエンス・フォイクト(ドイツ、レディオシャック・ニッサン) (c)Mark johnson/corVos順調にタイム差を稼ぎだす先頭4名は、レース中盤の1級山岳ディアブロへ至るまでに最大で8分以上の差をメイン集団に対して稼ぎだすことに成功。KOMはサーラスが獲得し、これまで獲得していたポイントと合わせてこのステージ終了時点での山岳ジャージ獲得を成功させた。

余裕を持って4名を追走するメイン集団は、ゴールドジャージを着るサガンを擁するリクイガス・キャノンデールがこの日もコントロール。ここにトム・ボーネン(ベルギー)を勝利へと導きたいオメガファーマ・クイックステップ勢が加わり、徐々にタイムギャップを詰めていく展開に。

パターソン・パスを先頭で上るニコラス・ロッシュ(アイルランド、アージェードゥーゼルラモンディアール)とファビオ・ドゥアルテ(コロンビア、コロンビア・コルデポルテス)パターソン・パスを先頭で上るニコラス・ロッシュ(アイルランド、アージェードゥーゼルラモンディアール)とファビオ・ドゥアルテ(コロンビア、コロンビア・コルデポルテス) (c)Mark johnson/corVosディアブロからのダウンヒルを経て、レースは後半戦、内陸部の平原地帯へと突入。強い風が吹き付けるこのセクションでは、ヴェンネルとマレントスの2名となった逃げグループは圧倒的に不利な状況。やがて20km以上を残し、先頭2名は集団に飲み込まれた。

3級パターソン・パスへ至る上りで集団は活性化。イエンス・フォイクト(ドイツ、レディオシャック・ニッサン)がペースを上げる集団からは、ニコラス・ロッシュ(アイルランド、アージェードゥーゼルラモンディアール)とファビオ・ドゥアルテ(コロンビア、コロンビア・コルデポルテス)の2名が抜けだした。

終盤に向けてラボバンクが一丸となってペースアップ終盤に向けてラボバンクが一丸となってペースアップ (c)Mark johnson/corVosドゥアルテが山岳ポイント争いを制すると、2名はこの下り区間で吸収。多くのスプリンターが集団内に残ったため、ここから各チームはゴールスプリントに向けてトレインを組織していく。この日もクーン・デコルト(オランダ)のため土井雪広が先頭付近でアシストをする姿がみられた。

残り5km。このステージも早い段階から先頭に立ったのは、サガンを勝たせたいリクイガス・キャノンデール。しかし連日の集団コントロールで力を使っていたため集団を抑えこむことはできず、徐々にトレインは後退していった。

ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、ガーミン・バラクーダ)を破ったペーター・サガンがステージ優勝ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、ガーミン・バラクーダ)を破ったペーター・サガンがステージ優勝 (c)Mark Johnson/CorVos代わってマイケル・マシューズ(オーストラリア)を勝たせたいラボバンクが先頭に立つが、アージェードゥーゼルラモンディアールがトレインを被せたため決定的なリードは奪えない。各チーム入り乱れる混沌とした状態のまま、ラスト1kmのアーチをくぐった。

そして早いタイミングで繰り下がりのポイント賞ジャージを着用するハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、ガーミン・バラクーダ)が別ラインから先行してスプリントを開始すると、この動きを察知したサガンはラインを振ってハウッスラーの背後に入った。

前日ステージ勝利後、「もう一ステージは勝てると思う」とコメントしたサガン。絶好の位置からスプリントを開始すると、先行するハウッスラーを僅差でかわし先頭でゴールへと飛び込んだ。

ステージ上位3名の表彰ステージ上位3名の表彰 (c)Mark johnson/corVos開幕ステージからのハットトリック達成。特にこの日は前日までと違い、ラスト1km以内からアシストがいない状況からのスプリント勝利だった。勝利への嗅覚と、混戦スプリントをも制する地脚を見せつける結果となった。ボーネンは3位、マシューズは9位。アシストとして尽力した土井雪広は同タイムの22位でゴールしている。

ハットトリックを果たしたペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)

自分自身でも驚きの勝利だよ。勝利できて嬉しいし、チームメイトへ感謝しなくてはいけないよ。皆今日も自分のためにグッドワークをしてくれたんだ。

カリフォルニアは頂上ゴールが2つあってタイムトライアルもあるから、僕が総合優勝するにはとても厳しいレース。多分もう1日くらいはリーダージャージを守れると思う。この先のステージでどうなるか見ていて欲しい。


トップと同タイムの22位でゴールした土井雪広(アルゴス・シマノ)
本日も無事終了〜。今日はスプリントで前でステイする時間が長すぎたのか、最後は他チームにかぶせられてしまった。スプリントは難しい。あとは風が強すぎて、絞れすぎた56キロの僕の体では後ろにつかないと風で押し返されてしまう。。。笑 60キロのスピードで5分ぐらい巡航できる脚が欲しい。。(Twitterより)


ツアー・オブ・カリフォルニア2012第3ステージ結果
1位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) 4h50'49"
2位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、ガーミン・バラクーダ)
3位 トム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
4位 アレキサンダー・キャンデラリオ(アメリカ、オプタム)
5位 ロイド・モンドリー(フランス、アージェードゥーゼルラモンディアール)
6位 フレッド・ロドリゲス(アメリカ、チームエクセルジー)
7位 ヒューゴ・ホウル(カナダ、スパイダーテック)
8位 クーン・デコルト(オランダ、アルゴス・シマノ) 
9位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、ラボバンク)
10位 ウェズリー・ザルツバーガー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)

個人総合成績
1位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) 14h34'54"
2位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、ガーミン・バラクーダ) +12″
3位 ジェフリー・ラウダー(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア) +24″
4位 フレッド・ロドリゲス(アメリカ、チームエクサルジー) +26″
5位 ベンジャック・メイネス(アメリカ、ビッセル)
6位 マーク・デマール(オランダ、ユナイテッドヘルスケア) +27″
7位 マルケル・イリサール(スペイン、レディオシャック・ニッサン) +29″
8位 ジョシュ・アトキンス(オーストラリア、ボントレガー・リブストロング)
9位 フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング) +30″
10位 ローソン・クラドック(アメリカ、ボントレガー・リブストロング)

山岳賞
セバスティアン・サーラス(カナダ、オプタム)

ポイント賞
ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)

新人賞
ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)

チーム総合成績
BMCレーシング


text:So.Isobe
photo:Mark johnson/CorVos

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