ツール・ド・ロマンディの最終第5ステージは、中盤に設定された1級山岳マルシェリュ峠で生き残ったスプリンターによるバトルに持ち込まれ、オスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)が第2ステージに続く2勝目を飾った。22歳のロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)が総合優勝に輝いた。

リクイガスがコントロールするメイン集団が美しい湖畔を駆け抜けて行くリクイガスがコントロールするメイン集団が美しい湖畔を駆け抜けて行く photo:www.tourderomandie.chジュネーヴに終着するロマンディ最終ステージは、中盤に標高1449mの1級山岳マルシェリュ峠を越えるが、ラスト30kmはレマン湖沿いの平坦路。レースは序盤からミヒャエル・シェアー(スイス、アスタナ)とポール・ヴォス(ドイツ、ミルラム)が飛び出し、4分のアドバンテージを築いた。

最大の難関であるマルシェリュ峠が近づくと、メイン集団からダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス)とクリストフ・ルメヴェル(フランス、フランセーズデジュー)のフレンチクライマー2名が飛び出して先頭に合流。モンクティエが逃げメンバー3名を52秒離して頂上を通過し、下りで先頭は4名に戻った。

最終日の山岳地帯を進むメイン集団最終日の山岳地帯を進むメイン集団 photo:www.tourderomandie.chメイン集団からカデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)がカウンターアタックを仕掛けて飛び出したが失敗。マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア)の脱落を知ったラボバンクやガーミンがメイン集団のペースを上げると、逃げ続けていた4名はラスト30kmで吸収された。

ラスト30kmの時点で45秒のビハインドを負った後続集団は、チームコロンビアが懸命な牽引を見せたが、タイム差は広がるばかり。90名ほどのメイン集団はそのままゴールまで突進し、ガーミン先頭でラスト1kmを切った。

ステージ2勝目を飾ったオスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)ステージ2勝目を飾ったオスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク) photo:www.tourderomandie.ch勝利に手が届かないサイレンス・ロットはフィリップ・ジルベール(ベルギー)を戦線に送り込んだが、そのジルベールのスパートはフレイレの餌食に。春先のティレーノ〜アドリアティコでカヴェンディッシュを力勝負で下したタイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン)らが応戦するも、フレイレの加速が全てを上回った。

第2ステージに続くスプリント2勝目を飾ったフレイレはレキップ紙の中で「今年はツール・ド・フランスでのマイヨヴェール獲得を目標に掲げている。同時に前人未到のロード世界選手権4勝目も成し遂げたい」と語っている。スプリンターの中では抜群の山岳力を有するフレイレは、今年もマイヨヴェールの有力候補だ。

総合表彰台、左から3位レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス)、優勝ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)、2位ウラディミール・カルペツ(ロシア、カチューシャ)総合表彰台、左から3位レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス)、優勝ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)、2位ウラディミール・カルペツ(ロシア、カチューシャ) photo:www.tourderomandie.chそして22歳クロイツィゲルのロマンディ初総合優勝が決定。「このロマンディはシーズン最大の目標レースで、2番目がツールだった。次なる目標はツール・ド・スイス(6月13日開幕)の連覇。その後、ニーバリとともにリクイガスを引き連れてツールに向かうよ」と、若きチームリーダーは語る。

将来有望なグランツールレーサーとして期待されているが「(ツールでは)いつの日か表彰台に上れるかも知れないけど、インデュラインやアームストロングのようなポテンシャルがあるかどうか、判断するにはまだ時期が早い」と謙遜。クロイツィゲルはジロ・デ・イタリアをスキップし、ツール・ド・フランスに照準を合わす。

レース展開はレース公式サイト、選手コメントはフランス・レキップ紙より。

ツール・ド・ロマンディ2009第5ステージ結果
1位 オスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)3h29'49"
2位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン)
3位 コルド・フェルナンデス(スペイン、エウスカルテル)
4位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、サイレンス・ロット)
5位 ニコ・シーメンス(ベルギー、コフィディス)
6位 トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア)
7位 マルクス・ツベルグ(スイス、BMCレーシング)
8位 イケル・カマニョ(スペイン、フジ・セルヴェット)
9位 セバスティアン・ラング(ドイツ、サイレンス・ロット)
10位 イェンス・フォイクト(ドイツ、サクソバンク)

個人総合成績
1位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)14h20'14"
2位 ウラディミール・カルペツ(ロシア、カチューシャ)+18"
3位 レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス)+25"
4位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)+46"
5位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、ケースデパーニュ)+48"
6位 ラルスイティング・バク(デンマーク、サクソバンク)+1'01"
7位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)+1'07"
8位 トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア)+1'08"
9位 フレデリック・ケシアコフ(スウェーデン、フジ・セルヴェット)+1'16"
10位 カンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、チームコロンビア)+1'21"

スプリント賞
グレゴリー・ラスト(スイス、アスタナ)

山岳賞
ローレンス・テンダム(オランダ、ラボバンク)

新人賞
ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)

チーム総合成績
ケースデパーニュ

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