4月からフランス遠征を実施しているブリヂストン・エスポワール。5月1日に、清水太己がフランスジュニアカテゴリーの国際ステージレースTour des Juniorsでフランス・ベルギー・オランダの強豪を相手に個人総合優勝を獲得した。

フランスのクラブチームUSSA PAVILLY BARENTINで走る清水太己。アンカーバイクを使うフランスのクラブチームUSSA PAVILLY BARENTINで走る清水太己。アンカーバイクを使う photo:Nobuhito KUBOチームブリヂストン・アンカーの育成チームであるブリヂストン・エスポワール。毎年フランスのクラブチームへ選手を派遣し戦っている。今年はジュニアの清水を含む8名の選手が、フランス各地の現地クラブチームに派遣されレースを転戦している。各選手の活躍は地元フランスでも報道されているが、特にこの清水の優勝は大きく報道され、多くのフランス自転車関係者の知るところとなっている。

同チームの久保信人コーチがその模様を伝える。


2011年4月30日~5月1日
大会名: TOUR DES JUNIORS 2011
場所:Evreux - Quillebeuf
■第1ステージ 106km
出走119人 24チーム 

第1ステージは今にも降り出しそうな曇り空の中、パンクや落車が相次ぎ、清水のチームメイトで昨年のジュニアフランス個人TTチャンピオンおよび個人追い抜きチャンピオンのアレクシー・グジャーも運悪く落車に巻き込まれ集団復帰までに多くの時間を費やしてしまう。

第2ステージのチームTT 右端がTT仏チャンピオンのアレクシー、3番目が清水太己第2ステージのチームTT 右端がTT仏チャンピオンのアレクシー、3番目が清水太己 photo:Nobuhito KUBOアクシデントを免れた清水は終盤6名の逃げに入りラスト5㎞まで行くものの、大きな国際レースだけあり追走され、そのままなだれ込みのゴールスプリントに。
ベルギーのジル・ロンサンと競り合うもののあと一歩及ばす同タイムの2位でゴール。

途中のスプリントポイントを1位通過し、スプリント賞ジャージを獲得した。
しかし清水のフランスで所属するUSSAパヴィリーバランタンとしては、今年4月のパリルーベジュニアでも2位に入賞し好調だった、従来のリーダーであるアレクシー・グジャーがアクシデントで大きくタイムを失い、唯一総合を狙える清水で狙う作戦へ変更となる。

第2ステージのチームTT 5人でスタート、清水を含む3人がゴール第2ステージのチームTT 5人でスタート、清水を含む3人がゴール photo:Nobuhito KUBOレース結果
1位 LONCIN Gilles Stannah Mussew Bike Test Team  BEL 2:34 36
2位 清水太己   USSAPB JPN  2:34 36
3位 GHISTELINCK Paco AVIA BEL 2:34 36
4位 LE BOUVIER Loic S&Marne FRA 2:34 36
5位 FERNIER Gwenael Le Mans FRA 2:34 36
6位 MOREL Anthony VCB FRA 2:34 36

山岳賞 : Alexis ISERABLE   U.S.Metro
スプリント賞: 清水太己  USSA PAVILLY BARENTIN


■第2ステージ 20.4km チームタイムトライアル
5月1日 午前9時30分 スタート

第2ステージのチームTT 優勝のUSSA PAVILLY BARENTIN第2ステージのチームTT 優勝のUSSA PAVILLY BARENTIN photo:Nobuhito KUBO非常に強い風の吹く中行われた2日目第2ステージは、始めの10㎞が上り基調、残りの10㎞が下り基調のチームタイムトライアル。
プロチームの育成サテライトチームとして活動しているAVIAベルギーやスタナー・ムセウバイクテストチームはプロチーム張りのTTバイク、バトンホイール、ディスクフル装備で、チーム総合力でも勝っている。

しかし、このチームTTでは昨日不運に泣いた清水のチームメイトで個人TTジュニアフランスチャンピオンのアレクシー・グジャーが意地を見せる。
USSAパヴィリーバランタンは、スタートして5㎞で2人が遅れゴール最低条件となる3人のみで残りの15㎞を消化。
しかし、アレクシーがフランスチャンピオンの力を発揮し7割を引き倒し、10チーム終了時点で暫定1位のタイムをマーク。平均時速44.7㎞/hをマークした。

平坦のスペシャリストである、ベルギー2チーム、オランダ1チームの逆転を恐れたが、なんと6秒のタイム差で清水のUSSAパヴィリーバランタンが第2ステージ優勝。同時に昨日2位だった清水が総合リーダーに躍り出た。
タイム差30秒以内で総合を狙える選手は7名。午後の第3ステージは総合を守るための苦しいレースが予想された。

第2ステージ チームタイムトライアル 20.4㎞
1 USSA PAVILLY BARENTIN 20.4 km 27'23'' (44.7 km/h)
2 AVIA CYCLING TEAM +0 06
3 WILTON CYCLING TEAM      + 0 35
4 VCB V.C BEAUVAIS - OISE   +0 40
5 E.S LIVAROT +0 45


総合優勝の清水太己。フランスジュニアでは権威ある大会だ総合優勝の清水太己。フランスジュニアでは権威ある大会だ photo:Nobuhito KUBO■第3ステージ Quillbeuf - Louvier 106km
5月1日 午後2時30分スタート

フランスのこうしたステージレースでは、最終ステージにリーダーチームが総攻撃に合遭い、最後に対応しきれなくなってリーダーを失うパターンが非常に多い。
今回もタイム差はわずかで2位3位はベルギーのAVIAの選手。おそらく交互に攻撃を仕掛けてくるに違いない。
チーム全員で死守しなければリーダーは守れない。そんな難しい状況の中、チーム一丸となって
清水のリーダーを守り続ける。数えきれないアタックを浴びるものの、USSAパヴィリーバランタンは集団をコントロールし続けゴール前5kmまで持ち込む、次々に力尽きてゆくチームメイト、しかし清水はその働きにこたえるように猛攻を耐え抜き、ゴールスプリントでも気迫の走りで3位に入賞、見事にチームで勝ち取ったリーダージャージ守り抜いた。
2位から4位までは最後まで逆転を目指したベルギー、オランダ勢が名を連ねた。

清水太己は、今年で10回目となるフランスジュニアの重要大会であるTour des Juniorsで初めての日本人優勝者となった。
清水は先週のGP Aumale(3/ジュニアカテゴリー)でも逃げ切り優勝を果たしており、2週連続のフランスでの優勝だ。

また、フランスのリヨン郊外Bourg en Bresseに派遣されている平井栄一(09年全日本U23優勝)も同日第2,3カテゴリーのレースで、ラスト2㎞を独走する優勝を果たしている。
これからのブリヂストンエスポワールの選手たちの活躍に期待したい。

レース結果
第3ステージ
1位 VILLAIN Alexis  UC Nantes  FRA 2h42'57''
2位 VAN TRIJP Maarten AVIA   NED
3位 清水 太己     USSAPB JPN  
4位 ROUSSEAU Jayson   Montgeon FRA       

個人総合
1位  清水 太己   USSA Pavilly JPN  5h44'56''
2位 GHISTELINCK Paco AVIA    BEL +06
3位  DEGENDT Aime    AVIA   BEL +16
4位  DE MAN Jaap    Wilton  NED +35
5位  BUGTER Luuc    Wilton  NED +35
6位 VAN EMPEL Etienne Wilton NED +35
7位 ISERABLE Alexis USMT FRA +55

なお、チームブリヂストン・アンカーは今年もUCIアジアツアーからシーズンインしている。すでに4月のツアー・オブ・タイランド(UCI2.2)で清水都貴が総合2位に入るなど結果も出している。5月はツアー・オブ・ジャパンが中止になったが、イランでのアゼルバイジャン・ツアー(UCI2.2)の招待も受け、高地でのレースに備えるべく現在鹿児島県鹿屋市で合宿中。
また、7、8月はふたたびフランスに渡り、昨年優勝したツール・ド・マルティニックUCI2.2、Kreiz Breizh(UCI2.2ブルターニュ)、POLY Normande(UCI1.1Cup de France)、ツール・ド・グアドループ(UCI2.2全10ステージ)に参戦予定だ。

アゼルバイジャン・ツアー(UCI2.2)へは、同様にマトリックスパワータグも参戦する。


チームブリヂストンアンカー、ブリヂストンエスポワールの活動の模様は
http://www.anchor-bikes.com/
チーム情報ページに随時更新されている。

text&photo:Nobuhito KUBO

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