2011年3月9日、第46回ティレーノ〜アドリアティコ(UCIワールドツアー)がイタリアで開幕した。初日のチームタイムトライアルを55.588km/hで駆け抜け、トップタイムを叩き出したのはラボバンク。レディオシャックは30秒遅れのステージ8位に入り、別府史之は隊列の中でゴールした。

トップタイムを叩き出したラボバンクトップタイムを叩き出したラボバンク photo:Riccardo Scanferlaティレーノ〜アドリアティコがトスカーナ州北西部のマリーナ・ディ・カラーラで動き始めた。初日は平坦基調の16.8kmで行なわれるチームタイムトライアル。最速タイムをマークしたチームがマリアアッズーラ(リーダージャージ)を手にする。

チーム力が要求されるこのステージで、第1走のラボバンクが18分08秒の好タイムをマーク。強豪チームの走りを待ったが、結局最後までラボバンクのタイムを更新するチームは現れなかった。ラボバンクの平均スピードは55.588km/h。

隊列を組んで走るラボバンク隊列を組んで走るラボバンク photo:RCS Sport6名でゴールに辿り着いたラボバンクのメンバー(5番目の選手のタイムが反映)のうち、先頭でゴールラインを駆け抜けたボームがマリアアッズーラを獲得した。

ボームは過去にシクロクロス世界チャンピオンに輝いている25歳のオランダ人。シクロクロス同様、高出力を一定時間出し続けるTTを得意としており、2007年にはU23世界TTチャンピオンにも輝いている。2月に開催されたツアー・オブ・カタールのプロローグでファビアン・カンチェラーラ(スイス、レオパード・トレック)らを下して優勝した。

リーダージャージに袖を通したラース・ボーム(オランダ、ラボバンク)リーダージャージに袖を通したラース・ボーム(オランダ、ラボバンク) photo:Riccardo Scanferla「これは個人の勝利ではなくチームの勝利だ。ティレーノ〜アドリアティコの初日にこんな勝利を収めることができて驚いている。これからのステージではマリアアッズーラを守り、そしてオスカル(フレイレ)のサポートに徹したい」。今シーズン2勝目を飾ったボームはチームの勝利をそう評する。

ラボバンクはシーズン序盤から勝ちまくっており、これがシーズン12勝目。HTC・ハイロードを上回る世界トップの勝利数だ。ミラノ〜サンレモで4勝目を狙うオスカル・フレイレ(スペイン)を軸に、翌日からのステージを闘っていく。

9秒遅れの2位に入ったガーミン・サーヴェロ9秒遅れの2位に入ったガーミン・サーヴェロ photo:Riccardo Scanferla山岳ステージが始まれば、ラボバンクはロバート・ヘーシンク(オランダ)の総合狙いにスイッチ。この日、ヘーシンクはライバルたちから貴重なタイム差を奪うことに成功した。具体的には、イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)から22秒、カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)から26秒、アンディ・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)から29秒のリード。ヘーシンクは大会初制覇に向けて最高のスタートを切ったと言えるだろう。

ガーミン・サーヴェロは下馬評通り好走し、ラボバンクに次いで2位に。後半のスプリットタイムではラボバンクを上回る最速タイムをマークしている。レースに帯同するジョナサン・ヴォーターズ監督は「選手たちのパフォーマンスには満足している。新体制のチームだけに、前半は選手の間に躊躇いが見られた。これがシーズン初めてのチームTTなので仕方がない。でも一旦リズムを掴んでしまえばスピードアップ。後半は我々が一番速かった」と満足する。翌日からはタイラー・ファラー(アメリカ)のスプリント狙いだ。

別府史之が所属するレディオシャックは8番手のタイムでゴール。ラスト、ポポヴィッチ、ロセレルの3名が脱落する中、フミは他の4名のメンバー(マキュアン、マシャド、ムラフエフ、ヘルマンス)と隊列を組んでゴールした。フミは現在総合54位につけている。

33秒遅れの9位に終わったチームスカイ33秒遅れの9位に終わったチームスカイ photo:Riccardo Scanferla22秒遅れの5位に入ったリクイガス・キャノンデール22秒遅れの5位に入ったリクイガス・キャノンデール photo:Riccardo Scanferla
ファビアン・カンチェラーラ(スイス)が献身的に牽いたレオパード・トレックは29秒遅れの7位ファビアン・カンチェラーラ(スイス)が献身的に牽いたレオパード・トレックは29秒遅れの7位 photo:Riccardo Scanferla30秒遅れの8位に入ったレディオシャック30秒遅れの8位に入ったレディオシャック photo:Cor Vos

選手コメントはレース公式サイトならびにガーミン・サーヴェロ公式サイトより。

ティレーノ〜アドリアティコ2011第1ステージ結果
1位 ラボバンク             18'18"
2位 ガーミン・サーヴェロ         +09"
3位 HTC・ハイロード           +10"
4位 サクソバンク・サンガード       +11"
5位 リクイガス・キャノンデール      +22"
6位 BMCレーシングチーム         +26"
7位 レオパード・トレック         +29"
8位 レディオシャック           +30"
9位 チームスカイ             +33"
10位 ランプレ・ISD             +37"
11位 オメガファーマ・ロット        +41"
12位 アックア・エ・サポーネ        +47"
13位 ヴァカンソレイユ・DCM        +51"
14位 アスタナ
15位 モビスター
16位 カチューシャ             +53"
17位 ファルネーゼヴィーニ・ネーリソットリ +55"
18位 アージェードゥーゼル         +57"
19位 クイックステップ          +1'08"
20位 エウスカルテル・エウスカディ    +1'13"

個人総合成績
1位 ラース・ボーム(オランダ、ラボバンク)            18'08"
2位 セバスティアン・ラングヴェルト(オランダ、ラボバンク)
3位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)
4位 ブラム・タンキンク(オランダ、ラボバンク)
5位 オスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)
6位 トム・リーザー(オランダ、ラボバンク)
7位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)      +09"
8位 デーヴィット・ザブリスキー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)
9位 ラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、ガーミン・サーヴェロ)
10位 ロジャー・ハモンド(イギリス、ガーミン・サーヴェロ)
54位 別府史之(日本、レディオシャック)               +30"

text:Kei Tsuji
photo:Riccardo Scanferla, Cor Vos