強風に見舞われたツアー・ダウンアンダー第3ステージ。前年度覇者が落車でリタイアし、ランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ)が逃げに乗る。そんな白熱のレースは集団スプリントに持ち込まれ、グレーム・ブラウン(オーストラリア、ラボバンク)がステージ優勝をもぎ取った。

1つ目の山岳ポイントを通過して行く選手たち1つ目の山岳ポイントを通過して行く選手たち photo:マーク・ガンター/ツアー・ダウンアンダーダウンアンダー第3ステージはアデレード南部のアンレーからヴィクターハーバーまでの136kmで行なわれた。距離は比較的短いが、レース前半は標高400m級の上りが連続。ラスト20km地点には山岳ポイントが設定されている。この日は133名の選手全員がスタートを切った。

レース序盤、集団前方でアタック合戦が繰り広げられる中、前年度覇者のアンドレ・グライペル(ドイツ、チームコロンビア・ハイロード)が沿道に停車していた警察バイクと接触して落車してしまう。トップから3秒差の総合2位につけていたグライペルだったが、この不運な落車によって肩を脱臼しリタイア。全治3か月のグライペルは翌日ドイツに帰国して手術を受ける予定だ。

積極的にスプリントポイントを狙って動いたスチュアート・オグレディ(オーストラリア、サクソバンク)積極的にスプリントポイントを狙って動いたスチュアート・オグレディ(オーストラリア、サクソバンク) photo:マーク・ガンター/ツアー・ダウンアンダーリーダージャージを着るアラン・デーヴィス(オーストラリア、クイックステップ)もこの落車に巻き込まれたが、チームメイトの働きによって無事集団に復帰している。しかしレース先頭では既にこのとき逃げグループが形成されていた。

逃げグループを形成したのはアームストロング、スチュアート・オグレディ(オーストラリア、サクソバンク)、マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームコロンビア)ら12チーム・14名の選手たち。この危険な逃げに選手を送り損ねたラボバンクが集団コントロールに尽力したため、逃げグループのリードは1分30秒以上広がらなかった。

途中2つ設定されたスプリントポイントでは、総合4位(8秒遅れ)につけるオグレディが積極的にスプリントに加わり、計5秒のボーナスタイムを獲得。総合成績を狙う意気込みを見せた。山岳ポイントはマルケル・イリサール(スペイン、エウスカルテル)が獲得し、チームメイトのラフエンテから山岳賞ジャージを受け継いでいる。

アームストロングもローテーションに加わったこの14名の逃げも、ラスト40kmを切ってからやがては吸収される。逃げ吸収後は再び集団が活性化し、キャメロン・マイヤー(オーストラリア、ガーミン)が単独逃げを決める。マイヤー21歳。昨年のTOJ(ツアー・オブ・ジャパン)総合優勝者だ。

逃げグループに入ったランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ)逃げグループに入ったランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ) photo:マーク・ガンター/ツアー・ダウンアンダー前日に落車しているマイヤーは単独で1分ほどのリードを稼ぎ出すも、スプリンターチーム率いるメイン集団がこれを吸収。ゴール地点に姿を現した集団は、落車や横風に伴う集団分裂によって50名ほどに縮小していた。

混戦の集団スプリントは、先に仕掛けたデーヴィスとルイスレオン・サンチェス(スペイン、ケースデパーニュ)をブラウンが追撃する展開。ブラウンは伸びのあるスプリントで一気に先頭に立つと、フィニッシュライン上で力強く両手を突き上げた。

混戦のスプリントを制したグレーム・ブラウン(オーストラリア、ラボバンク)混戦のスプリントを制したグレーム・ブラウン(オーストラリア、ラボバンク) photo:マーク・ガンター/ツアー・ダウンアンダー「チームメイトには脱帽だ」と、レース後のブラウンは舌を巻いた。「有力選手が入った逃げグループが形成されたとき、チームは全力で集団をコントロールした。彼らの走りは圧巻だったよ。特に(マシュー)ヘイマンの走りが勝利につながった」。また、「非常に調子が良く、スプリントではいつでも勝ちに行く」とも。

ボーナスタイム10秒を獲得したブラウンは総合成績トップに並んだが、3ステージの着順合計でブラウン(15位・2位・1位)はデーヴィス(6位・1位・2位)に及ばず、リーダージャージは動いていない。また、初代総合優勝者のオグレディは総合3位に浮上している。

落車が多発したこの日、グライペルを含めて9名の選手が姿を消した。過去にステージ通算4勝を飾っているバーデン・クック(オーストラリア、UniSA)もそのうちの一人だ。

ツアー・ダウンアンダー2009第3ステージ結果
1位 グレーム・ブラウン(オーストラリア、ラボバンク)3h15'35"
2位 アラン・デーヴィス(オーストラリア、クイックステップ)
3位 スチュアート・オグレディ(オーストラリア、チームサクソバンク)
4位 ジョージ・ヒンカピー(アメリカ、チームコロンビア)
5位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、ケースデパーニュ)
6位 マルティン・エルミガー(スイス、アージェードゥーゼル)
7位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、ケースデパーニュ)
8位 アレクサンドル・ピショ(フランス、Bboxブイグテレコム)
9位 マウロ・サンタンブロジオ(イタリア、ランプレ)
10位 ミカエル・シュレル(フランス、フランセーズデジュー)

個人総合成績
1位 アラン・デーヴィス(オーストラリア、クイックステップ)10h47'11"
2位 グレーム・ブラウン(オーストラリア、ラボバンク)
3位 スチュアート・オグレディ(オーストラリア、サクソバンク)+05"
4位 マルティン・エルミガー(スイス、アージェードゥーゼル)+14"
5位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームコロンビア)+18"
6位 マシュー・ウィルソン(オーストラリア、UniSA)+19"
7位 マウロ・サンタンブロジオ(イタリア、ランプレ)+20"
8位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、ケースデパーニュ)
9位 ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン)
10位 ユッシ・ヴェッカネン(フィンランド、フランセーズデジュー)

スプリント賞
スチュアート・オグレディ(オーストラリア、サクソバンク)

山岳賞
マルケル・イリサール(スペイン、エウスカルテル)

新人賞(U25)
ホセホアキン・ロハス(スペイン、ケースデパーニュ)

チーム総合成績
チームコロンビア

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