世界各国の自転車関係者が注目するユーロバイクは、毎日華やかな話題に事欠かない。そんな中からショー初日に注目の高かった話題をピックアップしてお届けしよう。

ユーロバイクの会場となるのはドイツ・ボーデン湖畔の街、フリードリヒスハーフェン郊外のメッセ(国際見本市)だ。気球ツェッペリン号発祥の地として有名な敷地に建つ展示ホール群。85000平方メートルの敷地、1000社以上の企業によって展示されるものは、2011年に市場に出される最新のバイシクルグッズたち。しかもハイエンドからハイクオリティな一般レベルのスポーツサイクル関連グッズまで、スポーツサイクリングのすべてのカテゴリーのグッズが網羅されて展示される。

ユーロバイクは出展している企業にとっても、プロモーションを行う格好の機会だ。最新のニューモデルの展示はもちろん、ここで発表されるニューモデルや、人気のプロ選手が契約ブランドのブースを賑わせたり、中には来期の選手の契約に関する噂まで飛び交う。


コンタドールが会場に登場

スペシャライズドのブースに登場したアルベルト・コンタドール(アスタナ)スペシャライズドのブースに登場したアルベルト・コンタドール(アスタナ) (c)Takashi.Kayabaツール・ド・フランス最終日にコンタドールが乗ったマシンツール・ド・フランス最終日にコンタドールが乗ったマシン (c)Takashi.Kayaba


アルベルト・コンタドールとスペシャライズドのマイク・シンヤード社長アルベルト・コンタドールとスペシャライズドのマイク・シンヤード社長 (c)Takashi.Kayabaその中でも初日の人気は、今年のツール・ド・フランスを制した、アルベルト・コンタドールが訪れたことだろう。ツールのイメージを前面に打ち出した、スペシャライズドのブースで、コンタドールはバイクのこと、ツールのことなど様々な質問に答えた。

スペシャライズドブースの周りには、コンタドールを見ようと多くの人で賑わった。最後にはスペシャライズドのマイク・シンヤード社長も壇上に上がり、2人でしっかりと握手を交わした。


キャノンデールの電動バイク「E-シリーズ」

初日から注目を集めていたバイクは、キャノンデールの電動バイク「E-シリーズ」。市販車ではない、まだコンセプトモデルの段階だが、高い完成度とキャノンデールらしいアイデアが詰まった注目のモデルだ。

E-シリーズは、ドイツをはじめヨーロッパで人気の高い電動スポーツバイクとして開発された。技術的なトピックスも多いのだが、注目したいのはその高いデザイン性。8角形断面のフレームに、異様に太いシートチューブが目立つ。それに続く同形状のシートピラーはクイックリリースで簡単に抜くことが可能で、その中にはバッテリーがキレイに収まる。このバッテリーはもちろん取り外す事も可能なので、交換や充電も簡単にできる。

キャノンデールの電動バイク Eシリーズキャノンデールの電動バイク Eシリーズ (c)Takashi.Kayaba

フロントフォークは片持ちサスのレフティだフロントフォークは片持ちサスのレフティだ (c)Takashi.Kayabaフォーク先端にライトが内蔵されるスマートさフォーク先端にライトが内蔵されるスマートさ リアのスウィングアームも片持ち。テールライトもここに内蔵リアのスウィングアームも片持ち。テールライトもここに内蔵 (c)Takashi.Kayaba



電動バイク Eシリーズのブルーカラー電動バイク Eシリーズのブルーカラー (c)Takashi.Kayabaモーターはボッシュ製でBBにキレイに収まり、チェーンドライブもカバーされ、メカメカしさを感じさせないスマートな外観だ。リアホイールは片持ちでチェーンケースがフレームも兼ね、変速はSRAMの内装9速を採用。これは、先頃限定発売されたキャノンデールONの仕様に近い。

フロントフォークはキャノンデールのアイデンティティーのレフティ。面白いのは、フロントとリアのハブ付近にあらかじめLEDライトが埋め込まれているところ。現状ではプロトタイプのようだが、これらのアイデアは未来のキャノンデールに活かされる事だろう。



メッセのハイライトと書かれた紙包みを開けると...メッセのハイライトと書かれた紙包みを開けると... (c)Takashi.Kayabaコラテックが電動MTB「e-BOW」をワールドプレミア

今年で創立20周年を迎えるドイツのコラテックは、ユーロバイクの初日に記者会見を行った。記者会見の壇上には“MESSE HIGH LIGHT”と書かれた、ベールに包まれたバイクが一台。コラテックの代表コンラッド・イルバッハ氏が20年の歩みについて説明した後、いよいよそのベールが解かれた。

そこには、すぐにでも走り出しそうな電動MTB「e-BOW」が現れた。「e-BOW」という名称通り、同社の代表的なMTB「X-BOW」と外観はかなり近い。BB同軸のモーターを装備しリアハブにはシマノ・アルフィーネの11速を装備。ハンドルにはモーターを制御するメーターを備える。

コラテックの電動MTB「e-BOW」が登場!コラテックの電動MTB「e-BOW」が登場! (c)Takashi.Kayaba

コラテックの代表コンラッド・イルバッハ社長と電動MTB「e-BOW」コラテックの代表コンラッド・イルバッハ社長と電動MTB「e-BOW」 (c)Takashi.KayabaBB部に駆動システムを内蔵。四角い箱はバッテリーと思われるBB部に駆動システムを内蔵。四角い箱はバッテリーと思われる (c)Takashi.Kayabaシフター関係はシマノの内装変速機アルフィーネを使用シフター関係はシマノの内装変速機アルフィーネを使用 (c)Takashi.Kayaba


BB内臓の駆動部 モーター発熱の放熱フィンだBB内臓の駆動部 モーター発熱の放熱フィンだ (c)Takashi.Kayabaシマノのアルフィーネを搭載シマノのアルフィーネを搭載 (c)Takashi.Kayaba


一見したところ、X-BOWにバッテリーを乗せて、BB周辺をモディファイしただけにも見えるほど全体がうまく収まっている。それだけ原型となったX-BOWの完成度が高く、しかも次世代に即したデザインということだろう。このe-BOWのカーボンフレームは1,400g以下だという。

ハイパワーなモーターを積むe-BOWは、モーターの力だけで時速45km/hに達し、ペダリングと併用すれば80km/hも可能だという。バッテリーの航続距離は、モーターだけで50km、ペダリングと併用で100kmの航続が可能だという。
ドイツ本国では、2011年の2月より発売されるという。

日本でもこんなバイクを心待ちにしていた方もいるだろうが、残念ながら道路交通法の関係で、日本ではこのままでは走れない。


FOCUSがカチューシャにバイクスポンサードを決定!

ドイツの自転車メーカー フォーカス(FOCUS)のブースでビッグニュースをキャッチ。フォーカスが2011年はカチューシャに機材サポートをすることが決定したという。

今までフォーカスはミルラムに供給を行っていたが、そのミルラムは今季限りでチームの解体が決まっている。
そのまま行けばフォーカスも一緒に2011年のプロレースシーンから姿を消すものと思われていたが、ユーロバイクの会場でフォーカスが2011年からの3年間、チームカチューシャへバイクを供給するというニュースが飛び込んできた。

ユーロバイクのフォーカスのブースには、まだこの事実を示すような資料や、もちろんカチューシャカラーのバイクなども展示されていなかったので、まだ準備が整わないということだろうが、チームへの供給については間違いないようである。今後詳しい情報などが入れば、随時紹介していこう。

photo&text:Takashi.KAYABA

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