ツール・ド・フランスを盛り上げる壮大な映像。それは空を飛び回る中継ヘリによって実現されている。中継ヘリに乗り込んだカメラマンは北フランスのパヴェからピレネーの山岳まで、3週間に渡って選手たちを追い続けた。チームスカイの協力によってヘリに搭乗出来たグレゴー・ブラウンによるレポート。

上空からレースを観戦上空からレースを観戦 photo:Gregor Brown好運なことに、ポーにゴールするピレネーステージで、ユニークな角度からレースを楽しむ機会を得た。トップチームの多くは、ASOが用意したヘリコプターを割り振り、VIPやスポンサー、選手の家族を搭乗させている。今回はチームスカイの協力を得て、ジャーナリストの僕がヘリに乗り込んだ。

6機のヘリコプターが隊列を組んで飛び立つ姿は、まるで映画「地獄の黙示録」の1シーン「ワルキューレの騎行」のようだった。ヘリが追うのはカーツ大佐ではなく選手たちなのだが。

上空から見ると、選手たちの動きがやけに遅く感じる。でも実際は一般ライダーではとても付いていけないようなスピードで進行している。レース通過の1時間にコースを進むキャラバン隊、選手たちのすぐ前を走る警察バイク、蛇のように形を変えながら進む彩り豊かな集団、そしてその後ろに控えるチームカーの車列。全てが連なって、ピレネーの山岳地帯を進む。

コース脇から身を乗り出して選手たちの姿を探さなくても、上空からはハッキリとランス・アームストロング(アメリカ、レディオシャック)の姿が確認出来た。アームストロング最後のエスケープ。集団の中に埋もれていたら発見が難しかったかも知れないが、この日は沿道の観客がアームストロングを指差し、並走していたので容易に発見出来た。アームストロングの移動に伴って沿道の人垣が厚みを変えていた。

恐怖を感じさせない見事な操縦で、短いヘリ搭乗時間が終わりを告げた。そこからゴールまでの80kmはクルマで自走。なんだか一気に一般市民に戻った気分だった。

中継用ヘリコプターやVIP用ヘリコプターが並ぶ中継用ヘリコプターやVIP用ヘリコプターが並ぶ photo:Gregor Brownフランスの美しい景色を存分に堪能フランスの美しい景色を存分に堪能 photo:Gregor Brown

text&photo:Gregor Brown
translation:Kei Tsuji

最新ニュース(全ジャンル)