エヴェネプールとログリッチの揃うパリ〜ニース第4ステージは山頂フィニッシュ。最後から2つ目の山岳で飛び出したサンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス)が勝利し、区間2位のルーク・プラップ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)が総合首位に立った。



この日は30歳の誕生日を観客から祝われるニルス・ポリッツ(ドイツ、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

パリ〜ニース2024第4ステージ コースプロフィール image:A.S.O.
冬の寒さ残るパリから、今年のツール・ド・フランスの終着点であるニースを目指すパリ〜ニースは4日目。ようやく総合優勝の争いが本格化するレイアウトは7つのカテゴリー山岳が登場し、フィニッシュ地点かつ計2度登坂することになるモン・ブルイイ(距離3km/平均7.7%/最大13%)とその直前の1級山岳(距離5.1km/平均7.3%)が勝負所となる。

2月27日のル・サミンで落車した影響を引きずるアルノー・ドゥリー(ベルギー、ロット・デスティニー)が未出走だったこの日、チームメイトのヤスペル・デブイスト(ベルギー)やシュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーション・イージーポスト)ら4名が逃げる。一方のメイン集団は前日のチームタイムトライアルを制したUAEチームエミレーツだけでなく、EFエデュケーション・イージーポストやボーラ・ハンスグローエらがペースを作った。

逃げではビュルゴドーとスカローニによる激しい山岳ポイントを繰り広げられた photo:A.S.O.

山岳賞ジャージを着るマチュー・ビュルゴドー(フランス、トタルエネルジー)も入った逃げは、山岳ポイントのトップ通過を巡りクリスティアン・スカローニ(イタリア、アスタナ・カザクスタン)と激しい戦いを繰り広げる。その結果ビュルゴドーとスカローニが共に2つずつトップ通過を分け合い、単独逃げとなったスカローニが1度目のモン・ブルイイをトップ通過。しかし山岳賞首位はビュルゴドーがキープに成功している。

これが今シーズンのデビュー戦となるプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)を擁するボーラは、プロトンを先導して残り35kmでスカローニをキャッチする。集団の人数が徐々に絞られてくるなか、ボーナスタイムが与えられる中間スプリント(31.1km地点)をログリッチとレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)がスプリント。その結果エヴェネプールが最大-6秒を得て、2位通過のログリッチは-4秒、スプリントポイント狙いのローレンス・ピシー(ニュージーランド、グルパマFDJ)が3位で通過した。

ルーク・プラップ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)にサンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス)が合流する photo:CorVos

最後から2つ目の1級山岳(距離5.1km/平均7.3%)ではUAEがペースを作り、山頂まで残り3km地点でルイス・フェルヴァーケ(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が飛び出す。その加速を利用したルーク・プラップ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)が単独先頭に立ち、それを10秒差で追うプロトンではダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)が落車するシーンも。プラップには頂上手前でサンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス)が合流し、10秒以下まで縮まった差を2人はローテーションを回し、一気に20秒まで拡大させた。

最終山岳に向けてペースを上げるプロトンではジェイ・ヴァイン(オーストラリア、UAEチームエミレーツ)など役割を終えた選手たちが遅れる一方で、先頭を行くブイトラゴとプラップは最終山岳モン・ブルイイ(距離3km/平均7.7%)に突入。40秒差で山岳に入ったプロトンはその差を縮めることはできず、残り1km手前の最大勾配13%でブイトラゴがプラップを引き離し、軽快なダンシングを織り交ぜながらフィニッシュラインに達した。

プラップを振り切り、勝利したサンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos

苦しい表情を浮かべながら何度もガッツポーズを繰り返し、昨年は届かなかった勝利を手にしたブイトラゴ。「勝利が可能だと分かったのはフィニッシュまで残り3km地点。チャンスがあると思ったので”行こう!”と思い仕掛けた。トリッキーなコースでレムコ(エヴェネプール)やログリッチから総合タイムを取り戻すことができた」と喜びを語った。

その後方で登るプロトンではイラン・ファンウィルデル(ベルギー、スーダル・クイックステップ)がハイペースで牽き、残り500mからエヴェネプールが仕掛ける。だがライバルを引き離すことはなく、2度目のアタックもフィニッシュ直前にマティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック)に抜かれて4位フィニッシュ。エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)やログリッチはその2秒遅れでレースを終えた。

この結果、総合リーダージャージはブイトラゴから10秒遅れの2位だったルーク・プラップ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)の手に渡っている。

エヴェネプールを抜き、マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック)が3位でフィニッシュ photo:CorVos

区間優勝と共に、総合2位にジャンプアップしたサンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos


パリ〜ニース2024第4ステージ結果
1位 サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス) 4:25:52
2位 ルーク・プラップ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) +0:10
3位 マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) +0:37
4位 レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)
5位 エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) +0:39
6位 フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンAG2Rラモンディアル)
7位 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ボーラ・ハンスグローエ)
8位 マッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)
9位 アロルド・テハダ(コロンビア、アスタナ・カザクスタン) +0:43
10位 ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ) +0:46
個人総合成績
1位 ルーク・プラップ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) 13:15:04
2位 サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス) +0:13
3位 ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ) +0:27
4位 ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) +0:29
5位 レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) +0:30
6位 エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) +0:40
7位 クリス・ハーパー(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) +0:46
8位 マッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) +0:52
9位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーション・イージーポスト) +0:54
10位 カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) +1:02
15位 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ボーラ・ハンスグローエ) +1:10
その他の特別賞
ポイント賞 ローレンス・ピシー(ニュージーランド、グルパマFDJ)
山岳賞 マチュー・ビュルゴドー(フランス、トタルエネルジー)
ヤングライダー賞 ルーク・プラップ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)
チーム総合成績 イネオス・グレナディアーズ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos