僅差の写真判定。ワロン地方のセミクラシック、ル・サミンでローレンス・レックス(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ)がプロ初勝利を収めた。



濡れたパヴェ区間でアタックが頻発。最後は生き残った30名によるスプリント勝負に持ち込まれた photo:CorVos

石畳クラシックシーズンの序盤、ベルギー南部のワロン地方を舞台に開催されるセミクラシックレースがル・サミン(UCI1.1)。1969年に落車事故で急逝した第一回覇者ジョゼ・サミンの名を冠したワンデーレースであり、クールネ〜ブリュッセル〜クールネの2日後、タフレースを得意とする各チームが再集結した。

ワロン地方のロードレース開幕戦であり、荒れた石畳が多いためパリ〜ルーベとフランドルクラシックの特徴を兼ね備える。204kmコースの中盤からは石畳セクター「ベル・ヴュ」や、石畳+急坂「コート・ド・ラ・ロケット(登坂距離550m/平均勾配2%)」をが矢継ぎ早に登場する周回コース(1周26.7km)を4周回するため、石畳セクターは合計20箇所にも及ぶ。

落車でリタイアしたアルノー・ドゥリー(ベルギー、ロット・ディステニー) photo:CorVos

参加24チーム中、ワールドチームは4。この日はコンチネンタルチーム所属選手たちが逃げを打ち、タイム差を4分ほどまで広げた段階でメイン集団が追走を開始する展開で進む。後半の周回コースに入るとアルペシン・ドゥクーニンク勢がアタックを繰り返してレースを絞り込む中、出場選手中唯一のビッグネームであり、優勝候補筆頭のアルノー・ドゥリー(ベルギー、ロット・ディステニー)がトラブルに見舞われた。

メカトラブルでバイク交換をしたドゥリーは、集団復帰中に右コーナーで単独落車してしまう。チームが第3バイクの準備に手間取ったためかドゥリーは激怒し、そのままレースからリタイア。こうして優勝候補を欠くメイン集団が、落車やアタックによって人数を減らしながらフィニッシュを目指した。

アントニオ・モルガド(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)から辛くも逃げ切ったローレンス・レックス(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ) photo:CorVos

プロキャリア初勝利を挙げたローレンス・レックス(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ) photo:CorVos

30名ほどの集団の中からは、集団スプリントに持ち込みたくないチームがアタックを繰り返したものの、優勝候補不在の中では決まらない。アルケアB&Bホテルズが良い形でスプリントに持ち込んだものの、ローレンス・レックス(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ)が先行しUAE新加入のアントニオ・モルガド(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)がハンドルを投げ込む。両者共に勝負を認識出来ないほどの接戦スプリントの末、レックスに勝利が伝えられた。

ワロニーの育成チーム出身で、3日前の音ループ・ヘットニュースブラッドで6位と上り調子のレックスがプロキャリア初勝利。「チーム、そして僕自身にとって素晴らしい結果になった。弟のティムと一緒にレースに出場しての勝利だからなおさら嬉しいよ」と語っている。

女子レースではヴィットリア・グアッツィーニ(イタリア、FDJ・スエズ)が小集団スプリントで勝利 photo:CorVos

また、114.8kmで争われた女子レースは小集団スプリントに持ち込まれ、ヴィットリア・グアッツィーニ(イタリア、FDJ・スエズ)が勝利。2年連続で3位に甘んじていた悔しさを晴らしている。
ル・サミン2024結果
1位 ローレンス・レックス(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ) 4:38:40
2位 アントニオ・モルガド(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)
3位 イエンセ・ビールマンス(ベルギー、アルケアB&Bホテルズ)
4位 ラスムス・ティレル(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)
5位 ティモ・キーリッヒ(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)
ル・サミン女子レース結果
1位 ヴィットリア・グアッツィーニ(イタリア、FDJ・スエズ) 3:02:47
2位 アンニーナ・アフトサロ(フィンランド、ウノエックス・モビリティ)
3位 クリスティーナ・シュヴァインバーガー(オーストリア、フェニックス・ドゥクーニンク)
4位 カーリーン・スウィンケルス(オランダ、UAEチームADQ)
5位 アンネケ・ディクストラ(オランダ、ヴォルカーエッセルズ) +0:02
text:So Isobe

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