長らくイネオス・グレナディアーズの代表を務めた、デイヴ・ブレイルスフォード氏の退団が明らかになった。チームスカイで黄金時代を築いた同氏は今後、イングランドの強豪マンチェスター・ユナイテッドの運営に携わる。



長きに渡りチームスカイ、そしてイネオスの代表を務めたデイブ・ブレイルスフォード photo:Makoto.AYANO

デイヴ・ブレイルスフォード氏のイネオス・グレナディアーズ退団が伝えられたのは1月20日のこと。英テレグラフによるとブレイルスフォードは12月にスペイン・マヨルカで行われたチーム合宿を訪れ、選手やスタッフに別れを告げたのだという。また、現在ウェブサイトのスタッフ一覧からも同氏の名前は削除されている。

ブレイルスフォードはイギリス出身の59歳。イギリス自転車競技連盟を経てチームスカイ(現イネオス・グレナディアーズ)の創設に携わり、2009年から代表としてチームを率いてきた。そして6度のツール・ド・フランス総合優勝などチームを黄金時代に導いた。

2019年シーズンの途中にイネオス・グレナディアーズのスポンサー発表時に現れたジム・ラトクリフ(左) photo:CorVos

チームのメインスポンサーがスカイからイギリスの大手石油化学製品メーカー、イネオスに変わった2019年以降もブレイルスフォードは代表を務め、2021年12月からはイネオス社が所有する様々なスポーツチームを取り仕切る役割を兼任。そのためここ数年は現場をロッド・エリングワース(昨年末に退団)らスタッフに任せていた。

自転車界で成功を収めたブレイルスフォードの次なる活躍の場となったのが、イングランドのサッカークラブであるマンチェスター・ユナイテッド。国内リーグを13回、世界一のサッカークラブを決めるUEFAチャンピオンズリーグで3度の優勝を誇る世界的な強豪チームだが、ここ10年ほど主要タイトルから遠ざかっており、2022年末にオーナーによるチーム売却が発表された。

カタールの大富豪やヘッジファンドとの買収合戦を制し、チームの29%の株式を取得したのがイネオスの創業者で会長を務めるジム・ラトクリフ氏。そのためイネオスはフランスのサッカーチームOGCニースやF1チームのメルセデスAMG、そしてイネオス・グレナディアーズらを上回る世界規模のチーム運営権を手に入れたことに。そして「イングランドと欧州、そして世界のサッカーの頂点に返り咲く」と語るラトクリフ氏のチーム再建に向け、運営の中心人物として白羽の矢が立ったのブレイルスフォードだった。

首脳陣が大きく入れ替わったイネオス・グレナディアーズ photo:CorVos

一方、イネオス・グレナディアーズからは昨年末に副代表のエリングワースがチームを去り、この度のブレイルスフォード退任と2名の中心人物がチームを去ることになった。後任には既報通りジョン・アラート氏が就任し、2019年に現役を引退し、2021年からチームで指揮をとるスティーブ・カミングスが現場監督のトップを担うこととなった。

text:Sotaro.Arakawa
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