UCI(国際自転車競技連合)が明らかにした”極端な内向きブラケット”への規制について、CPA(プロ選手組合)会長のアダム・ハンセンがコメントした。「これはUCIによる馬鹿らしいルールではない。安全性の観点からこの規制に賛成だ」と賛同した。



山頂の手前3.7km地点でアタックしたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

ここ数年、選手の間で流行する「ブラケットを極端に内向きに傾けたセッティング」に対し、UCIが2024年中の規制を表明したこの問題。CPA(プロ選手組合)の会長を務めるアダム・ハンセンがCyclingNewsのインタビューに答え、「これはあくまでも安全性の観点から発せられたもの。UCIがまた馬鹿らしい規制をはじめた訳ではない。(選手の安全向上に)有効な規制だ」と、規制に対し賛成の意を表した。

エアロダイナミクスの向上が期待されるこのセッティングに対する懸念として、ハンセンは「10度や15度内向きにブラケットを取り付けることで(カーボン製の)ハンドルバーに過度なストレスを与える。(UCIの開発マネージャーであるマイケル・ロジャース氏が)実際にクラックの入ったハンドルバーの画像を見せてくれた」と説明。

「例えばレース中盤でブラケットの上部を握りながら登り坂をスプリントしたとする。それによりハンドルとブラケットの接点に割れ目が入ったとしても、選手がそれに気づくことは難しい。そしてレース終盤のスプリントで、クラックが入った真下のドロップハンドルを握り事故が起こる可能性がある。それは他の選手をも巻き込むかもしれない事態だ」。

プロトンでははじめにヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー)など”逃げ屋”を中心に流行した (c)CorVos

実際に極端な内向きブラケットによるレース中のハンドルの破損や落車について目立った報道はいない。しかしそのセッティングに対する懸念の声は、UCIだけなく選手側からも挙がっているのだとハンセンは言う。

また現ロード日本王者である山本大喜(JCLチーム右京)はこの規制に対し、「ルールで決まるのであれば変えるしかない。空力だけでなく、ハンドルを引きやすいという骨格的な理由もあったから、とても残念だが仕方ない!」とSNSに投稿。今回の規制に対し選手側からの視点を与えた。

UCIによるブラケットの角度規制に賛同したハンセンだが、同時に「フレアアウトされた(内向きに曲げられた)ハンドルならば問題は無いだろう。例えば既に内側に10度傾いたハンドルに対し、並行にブレーキレバーを取り付ければいい」とコメント。規制後も内向きのブラケットポジションが使用できる可能性を示唆した。

text:Sotaro.Arakawa