宇都宮ブリッツェンは栃木県庁で2024年体制の記者発表会を開いた。チーム史上初のコロンビア人選手2名に加え、貝原涼太、武山晃輔、花田聖誠、菅野蒼羅らが加入して11名体制とすることを明らかにした。



栃木県宇都宮市を拠点とする宇都宮ブリッツェンは、宇都宮市内にある栃木県庁で2024年体制を発表した。すでに発表されている通り、阿部嵩之、小野寺玲、堀孝明、小坂光、中村魁斗ら5名が退団(小坂は2024年3月までシクロクロス選手として所属)。新たに、コロンビア人選手のジェシット・シエッラと、ルーベン・アコスタ、2022年まで所属していた貝原涼太、JCLチーム右京から武山晃輔、キナンレーシングチームから花田聖誠、日本大学在学中の菅野蒼羅ら6名を加えた11名体制となる。昨年に続き、西村大輝監督が指揮を取り、谷順成がキャプテンを務める。

宇都宮ブリッツェン2024年メンバーと西村監督(写真左) photo:Satoru Kato

残念ながら、シエッラとアコスタ、貝原、坂井は欠席となったため、新加入選手3名と継続選手4名の計7名が出席した。メンバーとチームスタッフは以下の通り。
宇都宮ブリッツェン2024年体制
名前 2023年所属チーム
フォン・チュンカイ(35) 継続
谷 順成(29) 継続 キャプテン
沢田 時(29) 継続 
坂井 洋(29) 継続
本多晴飛(23) 継続
ジェシット・シエッラ(29) コロンビア
ルーベン・アコスタ(27) コロンビア
貝原涼太(26) 2022年まで宇都宮ブリッツェン所属
武山晃輔(25) JCLチーム右京
花田聖誠(25) キナンレーシングチーム
菅野蒼羅(19) 日本大学/チームユーラシアIRCタイヤ
チームフロント
廣瀬佳正 ゼネラルマネージャー
西村大輝 監督
廣瀬正高 メカニック
細谷 桂 マッサー
手塚正智 ドクター
2024年チームスローガンを説明する廣瀬佳正GM photo:Satoru Kato

2024年のチームスローガンは「Expand The World(エクスパンド ザ ワールド)」。宇都宮ブリッツェンの運営会社であるサイクルスポーツマネージメントの柿沼章代表は、「2024年はUCIアジアツアーをはじめ、海外レースに積極的に参戦する。一般に『国際化』と言うと海外に軸足を移すというイメージだが、日本もアジアの国であるから海外に『出ていく』という表現ではなく、『世界を広げる=Expand』という意味を込めている」と、スローガンの意図を説明した。

2024年もチームの指揮を取る西村大輝監督 photo:Satoru Kato

サイクルスポーツマネージメント株式会社の柿沼章代表 photo:Satoru Kato
宇都宮ブリッツェンとしてはチーム史上初の海外選手3名体制となることについて西村監督は、「国内レースのトップ争いは大半が外国人選手となる中で、コロンビア人選手2名の獲得によりトップ争いに加われるようにしたい」と述べた。一方で、長らくチームを支えてきた選手5名が退団したことについて柿沼代表は「発表直後から多くの声を頂いており、心配してくださる方もいる。それは彼らが愛されてきたことの現れであり、ありがたいことだと思っている。国籍がどこの選手であろうと、我々がいかに戦っている姿を見てもらい、知ってもらうことは今後も続けていく。来年は選手とファンが接する機会をもっと増やしていきたい」と、話した。

2024年の出場レースについては、3月に静岡県富士市で開催される「富士クリテリウム」がチームの開幕戦となり、同月に台湾で開催される「ツール・ド・台湾」への出場がほぼ確定としている。以降、ツアー・オブ・タイランド(4月)、ツール・ド・コリア(6月)など、主催者からの回答待ちのレースがあることを明らかにしたが、国内レースについては主催者からの発表がまだであることを理由に明言を避けた。



新加入選手コメント

新加入のコロンビア人選手について説明する廣瀬佳正GM photo:Satoru Kato

ルーベン・アコスタは、西村監督が2019年まで所属していた「NIPPOヴィーニ・ファンティーニ・ファイザネ」でチームメイトだった。その縁があって6月から加入交渉を行い、ジェシット・シエッラと共に加入が決まったという。アコスタはピュアクライマーで、ツアー・オブ・ジャパン富士山ステージで力を発揮することが期待される。シエッラはオールラウンダーで、ツアー・オブ・チンハイレイクで2018年、19年と2年連続総合5位に入った実績を持つ。

アコスタとシエッラは3月のツール・ド・台湾からチームに合流する予定で、以降宇都宮市内で生活することになるという。今回の発表会は欠席のため、コメントが寄せられた。

ジェシット・シエッラ ©️宇都宮ブリッツェン
ジェシット・シエッラ

自分の経験を活かしてチームに貢献できることを嬉しく思い、多くのパートナー企業の支援を受けて表彰台の頂点に登ることを楽しみにしています。様々な歴史を通じて発展してきた日本において、名声と尊敬を集める素晴らしいチームに加入することに心を燃やし、2024年に向けて個人に課されてたミッションとチームの目標を達成することを熱望しています。

私はこれまでのキャリアで様々な国と地域で世界トップクラスのレースに参加してきました。私自身プロフェッショナルとしてチームから求められるものを十分に理解しています。みなさんどうぞよろしくお願いします。


ルーベン・アコスタ ©️宇都宮ブリッツェン
ルーベン・アコスタ

宇都宮ブリッツェンの一員として加入できることに感謝すると共に、大変嬉しく思います。これまでの経験を活かし、チームから与えられた役割を遂行し、レースで素晴らしい仕事が出来ればと思っています。レース以外でもチームメイトと良い雰囲気を作りたいです。私の目標のひとつは、チームの名前を表彰台の頂点に掲げること。参加するレースで宇都宮ブリッツェンが主人公であり続けること、チームメンバーの仕事にファンやスポンサーの皆さんが共感し、喜びと感動を感じてもらうことです。多くの方々に自転車競技はスポーツ以上のものであることを知ってもらうため、チームメイトと共に良い仕事をしていきたいです。成功と勝利に満ち溢れた素晴らしいシーズンになることを願っています。


JCLチーム右京から移籍する武山晃輔 photo:Satoru Kato
武山晃輔

全日本選手権を終えた頃から移籍については考えていたところで廣瀬さんから話を頂いて、チームのビジョンと自分がこれから目指すキャリアについて重なる部分があり、宇都宮ブリッツェン加入を決めた。チーム右京ではUCIステージレースを多く経験してきたので、その経験をうまくチームに落とし込みつつ、エース選手のアシストとして立ち回ることが出来ればと思う。もちろんアシストだけでなく、展開によっては谷選手や沢田時選手ら強力な選手もいるし、自分も狙っていけるところはハングリーに挑戦していきたい。宇都宮は街に自転車文化が根付いていて、チーム内もアットホームでこれまでと違った雰囲気で新鮮さを感じている。

チームから与えられた自分の使命をしっかり果たせるパフォーマンスを作り上げてシーズンインし、6月の全日本選手権では自分のレースが出来るような評価をチームから得られるようにしていきたい。

キナンレーシングチームから移籍する花田聖誠 photo:Satoru Kato
花田聖誠

宇都宮に来てまだ4日目で、チームと合流して2日目くらい。宇都宮ブリッツェンと言えばファンの方々に支えられて成り立っているチームであり、チーム内もアットホームな感じで居心地の良さを感じている。以前ジャパンカップのオープンレースで優勝したことがあり、宇都宮は相性が良いと感じている。ホームレースであるジャパンカップでチームから入賞者をしっかり出すこと、拠点とする宇都宮周辺のレースで上位を狙えるようにしたい。アジアツアーでも結果を残し、UCIポイントを獲得出来るようにしたい。


新加入の菅野蒼羅は日本大学2年生 photo:Satoru Kato
菅野蒼羅

中学生の時にレースを見に行ってブリッツェンが走っている姿を見て、カッコいいなと思っていた。学校に自転車部が無かったのでチームを探していたところ、ブラウ・ブリッツェンのトライアウトを受けて加入した。当時は高校の自転車部と二重登録が出来なかったので中学卒業と同時に離れることになったが、やっと憧れていたトップチームに加入することが出来た。成績的には(宇都宮ブリッツェンに加入することは)考えられないことだと思っているが、来年は先輩方から色々教えてもらい、少しでも多くのレースに出られるようにしたい。

今は日本大学在学中で来年3年。ここ4年間全日本選手権で優勝しているのは、ジャージは違うけれど日本大学の選手が続いている。来年は自分が勝って続けるようにしたい。



text:Satoru Kato
photo:Satoru Kato, 宇都宮ブリッツェン