トップレーシングバイクブランドであるピナレロから、XCハードテールバイク"DOGMA XC HT"が登場。世界選手権のMTB XC種目で王者となったトム・ピドコックとポリーヌ・フェランプレヴォが駆ったチャンピオンバイクだ。



ピナレロ DOGMA XC HARDTAIL (c)ピナレロジャパン

パワーとテクニック、その両方が求められる高次元な争いの迫力、そして観戦しやすさも相まって近年急速に人気を高めているMTB XCO&XCC。最近ではMTB出身の選手がロードにも進出し、これまでのロードレースの概念を覆すような活躍を見せ、自転車レースファンにとっても非常に重要なカテゴリーとなっている。

そのような中でイネオスに所属するトム・ピドコックとポリーヌ・フェランプレヴォの活躍は目を瞠るものがある。先日開催された世界選手権において、ピドコックはXCC(クロスカントリーショートトラック)で銅メダル、XCO(クロスカントリーオリンピック)で金メダルを。フェランプレヴォは昨年に続き両種目をダブル優勝という偉業を達成し、歴史に名を刻んだ。

世界選手権XCO 女子 圧倒的なペースで独走するポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス) photo:CorVos

そんな彼らの走りを支えているのが、ロードレース界ではその名を知らぬものの無いレーシングバイクブランド、ピナレロだ。独創的なフォルムに高い性能を落とし込むことで世界中のサイクリストから高い支持を受けるイタリアンブランドが、MTBにおいても一躍トップに躍り出た。

今シーズン初頭、ノヴェメストで行われたワールドカップにおいて、ピナレロはフルサスペンション仕様のDOGMA XCを発表。ピドコックによって、見事なデビューウィンを果たしていた。

勢いに乗るピナレロが次なる一手として送り出したのがハードテールバイク。フルサスバイクに比べ、より軽量で反応性に優れるハードテールモデルは、スピードを求められるコースのレースにおいて大きな武器となる存在だ。

左右のシートステーがオフセットされる (c)ピナレロジャパン

ディレイラーハンガーはUDH規格を採用 (c)ピナレロジャパン
特徴的なBB部のトライアングルデザイン (c)ピナレロジャパン



もっとも目を惹くのは、シートステーのデザインだろう。シートチューブとの接合部が上下にオフセットされ、ピナレロを象徴するアシンメトリックデザインを最も色濃く表す部分となっている。特に左側のステーが強化されることで、反ドライブサイドにかかる力を相殺する作用を果たすとピナレロはいう。

もう一つ印象的なのがボトムブラケット上部のデザインだ。フルサスモデルと共通するこのユニークなトライアングルデザインのBBエリアは、ペダリング効率を最大化するために設計されたもの。市場に存在するXCバイクの中でも、最もBB剛性の高いフレームであることを目標として開発された独自のデザインだ。

ヘッドシステムにはストッパー付きのTiCRインターナルケーブルシステムを採用 (c)ピナレロジャパン
フルサスにくらべ、軽く、反応に優れるハードテール (c)ピナレロジャパン



このハードテールモデルの開発には、フルサスモデル同様にピドコックとフェランプレヴォが大きく関わっているという。特にフェランプレヴォはハードテールバイクへ並々ならぬ期待を寄せていたとファウスト・ピナレロは語っている。

「ポリーヌ・フェランプレヴォがイネオス・グレナディアーズと契約した瞬間から、彼女は私たちにハードテールのクロスカントリーフレームを開発するよう促してくれました。当初の計画にはなかったが、記録的な速さでこの挑戦に取り組み、非常に誇りに思うフレームを設計しました。これとDOGMA XCのフルサスペンションバージョンにより、彼女とトム・ピドコックはどんな地形でも最高水準のパフォーマンスを発揮できるフレームを手に入れることができました。」

2年連続のダブル優勝を叶えたポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス) photo:CorVos

そして、フェランプレヴォも「私はこのバイクで特に上り坂が得意です。2024年のパリオリンピックに向けてハードテールバージョンをリクエストしましたが、このフレームを開発し、迅速に提供してくれたピナレロに感謝しています。」とコメント。その言葉通り、世界選手権ではXCC、XCO共にこのDOGMA XC HTを駆り、2年連続の2冠を達成した。

フルサスモデル同様に、輝かしいスタートを切ったDOGMA XC HARDTAIL。国内での価格や入荷時期などは、未定となっているため、続報を待たれたい。



ピナレロ DOGMA XC HARDTAIL
・Toray Carbon Fiber
・Asymmetric Frame
・Seatpost diameter O30,9 mm
・Dropper compatible internal cable routing to handlebar
・Compatible with all 100 forks on the market
・Only 1X transmission with max chain ring 40T
・Chain line 52,5mm
・TiCR internal cable routing
・TiCR integrated headset (1.5 upper and 1.5 lower) with internal stopper at 60°
・Boost rear triangle with O12 mm through axle per UDH
・Standard Flat Mount 160mm, compatible with 180mm rotors
・Max Tires width: 29 x 2,3”
・2 bottle cages compatible
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