先日発表されたキャノンデールのE-BIKE"Compact Neo"。キャノンデールらしいバイクデザインとモーターアシストを高次元で融合した小径E-BIKEを、17%の激坂を含む都心のコースで実際に試す機会を得た。



キャノンデール Compact Neo 正直、普通のミニベロにしか見えなかった。

あれ?会場間違えたかな。今回はE-BIKEの試乗会と聞いていたんだけど。

来るたびに街並みを変える渋谷に設えられたスタジオの一角に、キャノンデールの新作ミニベロ"Compact Neo"が並べられていた……のだけど、正直な感想は冒頭のそれだ。近年増えるリアハブユニットのE-BIKEは、確かにすっきりとしたルックスが特徴ではあるが、それだって普通のバイクに比べればダウンチューブが明らかに太いという違和感はあるもの。

雛壇の上に鎮座するCompact Neoからは、そういったE-BIKEならではの外見上のアンバランスさといったものが1mmも感じられない。数年前に惜しまれつつも絶版となった名車、HOOLIGANがBMXスタイルになって復刻したのかと思ってしまうような、そんな「自然さ」がCompact Neoにはある。

キャノンデールジャパンのテック担当である秋吉氏 いつも濃厚なプレゼンを軽妙な語り口で聞かせてくれる。終わるころにはキャノンデールが欲しくなる

その秘密は250Whというある種割り切った容量のインチューブバッテリーにある。細身のダウンチューブに内蔵されたバッテリーは、一般的なE-BIKEに用いられるものの約半分ほどの容量となる。とはいえ、決して航続距離が極端に短いということは無く、最大で60kmをアシストしてくれるというのだから、ミニベロという車種の主たる使用用途を考えれば実用上の問題はほぼ無いと言える。

キャノンデールジャパンのテック担当である秋吉氏による、何年ぶりかの対面での製品プレゼンテーションでは、Compact Neoの日本導入に際して多くのテストとプログラミングを施したことが明かされた。

アシストユニットとして採用される台湾のHyena

ACアダプターも非常に小型かつ軽量。カバンに入れても気にならないので、出先で充電しながら走るなんてこともできるかも
アシスト規制のギリギリを攻めるセッティングを煮詰めたという



アシストユニットとして採用される台湾のHyena(ハイエナ)社の担当者が来日し、数日間にわたって自転車産業振興協会の技術研究所において、秋吉氏と共に出力制御プログラムを何度も書き直したという。

日本の規制の範囲内で最大限のアシスト力を得るために、30回以上の試行を重ねた結果生み出されたのが、Compact Neoの日本仕様なのだ。一般的ないわゆる電動アシスト自転車が、法令で定められた範囲よりもかなり抑えめのアシスト比率に設定されているのに対し、Compact Neoはその上限に出来るだけ近づくようなプログラミングが施されている。

そうしてチューニングが施されたスペシャルなユニットの実力を味わうべく、渋谷の街を舞台とした20分ほどのテストライドへ繰り出した。

キャノンデール広報の「カズ」こと、山本和弘さんがテストライドのコースをプロデュースしてくれた

アシストモードはオフを含めて全4段階。小ぶりながら操作しやすいコントロールユニットに搭載されたインジゲーターにより、アシストモードは直感的に把握できる。最も強力なモードに設定し漕ぎ出すと、半拍ほどおいてグン、っと力強く押されるような感覚。

プレゼンテーションで「パワフルさ」が強調されていたので、気を抜くとウィリーしてしまうようなピーキーなユニットなのかと身構えていたが、実際のところは真逆。グングンと前に出ようとするような暴れ馬的な性格ではなく、求められた分だけしっかりと出力するような、非常にソフィスティケイテッドな乗り味が特徴的。

Compact Neoの主戦場であろう、街中へ出発。
自然と笑顔になるような、そんなバイクであったのは間違いない



17%の激坂も余裕でこなす

Compact Neoの主戦場とも言えるだろう街中で、最もアシストが求められる信号ストップからのスタートといったシーンでも、思った以上に進んでしまうようなことはなく、E-BIKEが初めてという方でも非常に安心して乗りこなせそう。これは、あえて反応性を抑えるようなセッティングにしているとのことで、実際に意図通りのライドフィールが実現されている。

一方、キャノンデール・ジャパンチューンドのアシストユニットがその真価を発揮するのは登りだろう。今回用意されたテストコースには17%の激坂も登場し、その実力を存分に味わうことが出来た。日本のアシスト規制を使い切るようなセッティングというのは確かに伊達ではない。17%という斜度は、電動アシスト自転車でも結構踏まねばならない坂だけれども、Compact Neoはシッティングでも余裕、文字通り息一つ切らさず登れるだけのパワフルさを発揮してくれる。

ライトも標準装備。バッテリーはアシストと共用で、4%以下になるとライトの電源確保のため、アシストはオフになる

コントロールユニットはコンパクトでシンプル。グリップ側のインジケーターがモードを示し、ステム側の上のインジケーターがバッテリー残量を示す。
充電はBB部の上側にポートが用意される



一方、登れば下りもあるもの。Compact Neoが素晴らしいな、と感じるのはそういった自転車としての総合力も高い所だ。車重がかさみがちなE-BIKEは、どうしても普通の自転車よりも曲がる、止まるといった挙動が鈍重になりがち。Compact Neoは18kgという軽さと、HOOLIGAN譲りの設計とキャノンデールらしい高品質なアルミフレーム、そして油圧ブレーキやワイドなBMXタイヤの採用もあり、下りでのスピードコントロールはもちろん、急制動もしっかりこなし、フレームやフォークがビビるようなことも無い。

車体の挙動に関しても、小径車であるが故の低重心と、重量が前後に分散するリアハブユニットの採用によってだろうか、乗車している限りにおいてペダルバイクとの違いは感じづらい。実際にHOOLIGANと乗り比べれば流石に分かるのだろうけれども、単体でCompact Neoに乗った限りで違和感を覚えることは無かった。

見た目も、アシスト感も、自転車としてのライドフィールも、全てにおいて「自然」なのがこのCompact Neoのユニークさだ。

山下さんプロデュースのキャンピング仕様も展示された

日常使いにもピッタリだし、週末にちょっと遠出するのだってCompact Neoがあれば楽しめる。その名の通り、コンパクトになるのもこのバイクの良い所。フォールディングバイクではないのだけれど、ステムをワンタッチで操作することでハンドルを90°折りたためるほか、デフォルトで折り畳み式ペダルをアセンブルすることで、非常に薄い幅で保管可能。充電時に室内に持ち込む際はもちろん、週末のキャンプのお供に車載する際なども積載しやすいこと間違いなし。

今回の展示会では、自転車キャンパーとして知られる俳優の山下晃和さんのプロデュースによるキャンピング仕様のCompact Neoも展示。リアにはパニアとシュラフとサドルバッグ、フロントにはソフトクーラーを装着するなど、拡張性も抜群。

自転車キャンパーとして知られる俳優の山下晃和さん

このバイクについて山下さんは「もちろん、全行程をこのバイクで走ってキャンプして、というのも可能ですが、まずはキャンプ場での移動手段としてというイメージで作ってみました。たとえばふもとっぱらのような広大なキャンプ場だと、徒歩での移動は時間もかかりますし、いちいち車を動かすのも面倒ですよね。意外に斜度もあるので、普通の自転車だと結構辛かったりもします(笑)。Compact Neoは売店で買い出した薪や食材も積めますし、タイヤも太いので未舗装路のキャンプ場も走りやすい。最高の相棒になると思いますよ」と語ってくれた。

キャノンデール初の小径E-BIKEとしてデビューしたCompact Neo。遊びゴコロあるデザインの中に、自転車への真面目な姿勢が息づいたとてもキャノンデールらしい一台は、今後街中で見かける機会も増えていくに違いない。



キャノンデール Compact Neo
フレーム:SmartForm C2 Alloy
クランク:Samox 48T
ドライブユニット:Hyena MRC-250, 250W
バッテリー:Hyena 250Wh
ブレーキ:Tektro HD-R280 hydraulic disc, 160/160mm rotors
リヤディレーラー:microSHIFT M26S, 8-Speed
ハンドルバー:Cannondale Cruise Control riser, 15°back, 740mm
シートポスト:Cannondale 4, 6061 Alloy, 31.6 x 540mm
タイヤ:Kenda K-Rad, 20 x 2.35
サイズ:OS
カラー:Chalk(CHK)/ Smoke Black(SBK)
付属品:Cannondale Wheel Sensor, Herrmans front and rear light, Rack, Fender
価格:290,000円(税込)