「勝利でツールを締めくくり、総合表彰台に登るのは悪くない」と語るデュムラン、「良き友人が表彰台の頂点に立つのを見るのは誇らしい」と語るフルーム、そして「まだ現実とは思えない」と涙を流したトーマス。ツール最終個人TTを終えた選手たちのコメントを紹介します。



ステージ1位&総合2位 トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)

最速タイムをマークしたトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)をミゲル・インデュラインが祝福最速タイムをマークしたトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)をミゲル・インデュラインが祝福 photo:Makoto.AYANO
アップダウンコースを制したトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)アップダウンコースを制したトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) photo:Makoto.AYANOトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)のTTバイクトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)のTTバイク photo:Makoto.AYANO


中間計測のタイムを聞かずに走った。1秒差で負けたという情報が入ってきたけど、実際は逆で本当に良かった。昨日とてもフラストレーションのたまる結果に終わったので、今日は何としても勝ちたかったんだ。今日のタイムトライアルで勝てたことを今も信じられない。こうして勝利でツールを締めくくり、総合表彰台に登るのは悪くない。

実は今朝、アルカンシェルのスキンスーツが見つからず、本当に焦ったし、どうなるかと思った。スキンスーツを入れたカバンが丸ごと見つからなかった。幸いジャージスポンサーはバスクの会社(エチュオンド)で、新たにスキンスーツを作ってスペイン側から駆けつけてくれたのでことなきを得たんだ。さもなくばアルカンシェルで走ることができなかった。

ステージ2位&総合3位 クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)

1秒差の2位クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)1秒差の2位クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Makoto.AYANO
3連続グランツール総合優勝に続くツール総合3位。今でもジロとツールの同年総合優勝は可能だと思っている。高いレベルの戦いが繰り広げられたジロとツールの両方でトム(デュムラン)が総合2位という成績を残したことからも現実的であることがわかると思う。

ジロに出場したからツールの総合優勝を逃してしまったという考えはない。自問自答することもないし、今さら変えることはできない。今年のジロで総合優勝したことを誇りに思っているし、3連続グランツール総合優勝という成績は一生残る。

このツールには失望や落車、チームとして達成したステージ優勝やマイヨジョーヌ獲得など、様々な感情が溢れていた。1秒差でステージ優勝を逃したものの、昨日苦しんでいたことを考えると、今日は良い走りができたと思う。総合3位に帰ってくることもできたし、ゲラントと一緒にパリの表彰台に登るのは誇らしい。

ゲラントとは10年間チームメイトであると同時に、10年間良い友人なんだ。オープンにお互いの気持ちを伝えることができる関係。一緒にトレーニングを行い、近くに住み、一緒に長い時間を過ごしてきた。自分のツール総合優勝に貢献してくれた彼が成長して、表彰台の頂点に立つのを見るのは誇らしい気持ちだ。

ステージ3位&総合1位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)

マイヨジョーヌを守った安堵感で天を仰ぐゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)マイヨジョーヌを守った安堵感で天を仰ぐゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) photo:Makoto.AYANO
まさかツールで総合優勝するなんて思っていなかった。ツールで勝ったんだ!!

今日はしっかり踏めていたし、とても調子が良いように感じていた。無線を通してコーナーを攻めすぎだとも言われた。総合優勝したいのなら、もっとリラックスして走るんだとニコ(ポルタル監督)に言われたよ。

今日は3週間の中で最も重要な1日だった。とてもストレスが大きかったけど、無事に乗り越えることができて最高の気分だ。フィニッシュラインを越えた時、大きな感情が湧き上がってきた。この気持ちに整理がつくのはまだ先になる。妻が来ていることを知らされていなかったので、余計に感情的になった。ツールで総合優勝したいう事実を未だに受け入れられないし、なんて言ったらいいんだろう。最後にこうして泣いたのは結婚の時かな。

ステージ3位、マイヨジョーヌを守ったゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)ステージ3位、マイヨジョーヌを守ったゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) photo:Makoto.AYANO
総合優勝の鍵は、毎日集中力を絶やさずに、小さなことを正しく行い、決して調子に乗らないこと。毎日の積み重ねを続けているうちに、突然終わりが訪れ、こうしてマイヨジョーヌを着ている自分がいる。本当に、まだ現実とは思えない。

フルームにはとても感謝している。彼は自分のために走ってくれたし、いつも背中を押してくれた。良き友人であり、世界最高峰のステージレーサーが自分をサポートしてくれたことに感謝している。

ステージ8位&総合4位 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)

8位 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)8位 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ) photo:Makoto.AYANO
自分の最大限の走りをしたので結果には満足している。調子も良かったし、出力の数値も良かった。現状の最高の走りだったし、何も悔いはないよ。本当にクレイジーなツールが終わる。自分の走りには満足しているし、誇りに思っている。

ステージ4位 ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)

これまでの厳しいステージからどれだけリカバリーできているかが今日の走りに繋がった。今日は自分を表現できる最後のチャンスだったのでステージ優勝を狙っていたし、モチベーションも高かった。

ステージ6位&総合11位 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)

6位の好タイムのボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)6位の好タイムのボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) photo:Makoto.AYANO
1週目からストレスの多いハードなツールだった。アルプスでは苦しんだけど、終盤にかけて調子が上向きになり、昨日と今日は良い走りができたと思う。今回のレースから多くのものを学んだし、チームと素晴らしい瞬間を分かち合うことができた。

ステージ7位&総合9位 イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)

7位 イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)7位 イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) photo:Makoto.AYANO
今朝は早めに現地入りしてコースを試走。ローラー台でウォーミングアップしている段階で調子の良さを感じた。今日は全力を出し尽くせたと思う。山岳ステージではチームの厚いサポートを受けることができたし、総合9位という成績には満足している。今が自分のベストコンディション。調子のピークがやってくるのが少し遅すぎたのが残念。この良い状態をブエルタに繋ぎたい。

ステージ27位&マイヨブラン ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール)

マイヨブランのピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール)マイヨブランのピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール) photo:Makoto.AYANO
昨年マルセイユのタイムトライアルで落車したので、今日は慎重に走った。昨年は臀部を骨折した状態でシャンゼリゼを走らなければならず、苦しい思いをしたので今年は落車したくなかった。登りと直線路では目一杯踏んで、コーナーでは力を抜いたよ。3週間を通してステージ優勝できなかったし、もっと山岳ステージでロマン・バルデをアシストできれば良かったけど、自分にとっては悪くないツールだった。

ステージ45位&総合7位 ミケル・ランダ(スペイン、モビスター)

調子が良いとは言えない状態で、ライバルたちからタイムを失ってしまった。モビスターはもっと大きな目標をもってこのツールに挑んでいたけど、思うようには行かなかった。でも毎日チームとして攻撃を仕掛け、レースをかき回せたことを嬉しく思う。毎日信じられないほど多くの観客の前で戦うことができた。

ルーベでの落車の影響を最後まで引きずってしまったけど、昨年の総合4位に続く総合7位で、安定性を示せたと思う。モビスターはもっと山岳ステージで活躍できたと思うけど、もう過去は変えられない。モビスター向きのコースであるブエルタでライバルたちを圧倒したい。

text:Kei Tsuji