2018/07/06(金) - 16:52
7月5日、ツール・ド・フランス開幕を7日に控えたフランス西部ヴァンデ県ラ・ロッシュ・シュル・ヨンで、チームプレゼンテーションが開催された。1チーム8人制になったため、例年より22名少ない176名の選手たちがステージに上がり紹介を受けた。
今年で105回目を迎えるツール・ド・フランスのグランデパールは、ビスケー湾に面したペイ・ド・ラ・ロワール地域圏のヴァンデ県一帯。昨年のドイツ・デュッセルドルフや来年のベルギー・ブリュッセルのような大都市ではないが、街中がツール・ド・フランス歓迎ムードに包まれている。
チームプレゼンテーションは、市街中心部の公園「パレス・ナポレオン」(ナポレオン広場)。18時30分スタートのプレゼンテーションには、地元の人はもちろんヨーロッパ各国や世界中から多くのファンが駆けつけた。
同地域圏でのグランデパールは史上9回目、同県でのグランデパールは6回目。外国開催のような派手さはないが、自転車競技の根付いた地域だけにツールを迎えるのは慣れた雰囲気だ。それでも会場周辺はツール一色の歓迎ムードで、壁面に写真をプリントする不思議な手法のアートやナポレオン像が彩りを添えた。
最初に観客の前に姿を現したのはこの地域にも近いブルターニュのチーム、フォルトゥネオ・サムシック。昨年山岳で大暴れしたワレン・バルギル(フランス)をエースに据える。以降、登壇したチームの順に写真で紹介していこう。
不思議な赤い迷彩カラーのリドレーの新型バイクに乗って登場したアンドレ・グライペル(ドイツ)は、「スプリントだけでなく山岳の逃げもやるつもり」と語った。なおグランツール連続出場記録にストップをかけたアダム・ハンセン(オーストラリア)がロット・スーダルのロースターに姿を見せないのは2011年以来という寂しさも。
サンウェブは昨年ポイント賞を獲得したマイケル・マシューズ(オーストラリア)はもちろん、昨年ののジロ勝者、今年2位のトム・デュムラン(オランダ)が登場。プレゼン前半で大スターの登場に会場は大盛り上がり。
ボーラ・ハンスグローエの回ではペテル・サガン(スロバキア)が、もはやおなじみのウィリーで登場。MCのリクエストによりティンコフ時代の2016年大会プレゼンテーションから恒例の、サガンがチームのメンバーを一人ずつ紹介する方法で会場を盛り上げた。隣でスマホで動画を撮るボドナルのことは「これは新しい僕のカメラマン」、ペストルベルガーには「君のニックネームはなんだっけ?」。
クイックステップフロアーズは、この日36歳の誕生日を迎えたフィリップ・ジルベール(ベルギー)を祝福。昨年のジロでステージ4勝を挙げたフェルナンド・ガビリア(コロンビア)は硬い表情のまま「ツールはとても重要なレース」と語った。
バーレーン・メリダは2大会ぶりに出場するヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア)に注目が集まった。MCが英語で質問を仕向けるとイタリア語訛りの強い言葉で「総合を狙うことが目標」。今季から再び同じチームになったイサギレ兄弟は兄ゴルカがスペインナショナルチャンピオンジャージを着る。ちなみに2人はセルフィーのタイミングも同じだった。
ディメンションデータは、昨年は第4ステージの落車でリタイアに終わったマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)がツールの舞台に復帰。再びステージ連勝記録の更新に挑む。
UAEチームエミレーツはこの日2人目の誕生日の選手、31歳になったアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー)の誕生日をジルベールのときよりもスムーズな「ボンアニヴェルセル」で祝った。
ミッチェルトン・スコットは、胸にLET'S GOと入った新ジャージで登場。ツールから加わった新たなスポンサーだ。ジロで躍進したサイモンに続き、声も同じ双子の兄アダムの活躍に注目だ。黒い集団のなかでダリル・インピー(南アフリカ)のナショナルジャージ&カラーバイクがひときわ目を引いた。
トレック・セガフレードは例年の白地を踏襲しつつ、ややメタリックな装いになった新型バイクで登場。バウケ・モレマ(オランダ)は「去年はステージ優勝できてよかったけど、今年こそは総合優勝を狙いに行く」と意気込みを見せた。
BMCレーシングはミヒャエル・シェアー(スイス)とシュテファン・キュング(スイス)が白、グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー)がグレー+金、他の5名の選手は赤のバイクを使用。ひとつのチームでバイクの色がこれだけ異なることは珍しいが、シェアーとキュングのバイクは新型のエアロバイクだ。今年こそ優勝候補のリッチーの身体はひときわ絞れている。
カチューシャ・アルペシンではイルヌール・ザカリン(ロシア)がつたない英語であいさつ。緊張感の無い朴訥な笑顔で会場の空気を和ませた。
チームスカイが登場すると、歓声とブーイングとが混ざった声に会場は包まれた。MCはフルームへの質問を手短に切り上げたが、フルーム以外の選手が話している間も鳴りやまないブーイングが、結論が出たはずのサルブタモール問題の影響の大きさを伺わせる。ただし、大きな異音を発しているのは全体ではなく一部の人々であることは付け加えておきたい。フルームは終始笑顔を貫き通した。
UCIワールドチーム1年目にしてツアー・オブ・カリフォルニア総合優勝などの活躍を見せているエガン・ベルナル(コロンビア)は、「この瞬間のことは一生忘れないと思う」と語った。
スカイが最後のチームと思いきや、今年のチームプレゼンの大トリをつとめたのはディレクトエネルジー。ヴァンデ県はこのチームが拠点を置いている、いわばホームタウンといえるエリア。リリアン・カルメジャーヌ(フランス)やシルヴァン・シャヴァネル(フランス)が登場すると、会場のボルテージは一気に最高潮に。
自宅の窓からプレゼンテーションやパレードを観る人がいたのはもちろん、会場にもサイクリストが多く詰めかけていて、フランスでも自転車が盛んな地域だと実感した。自転車に熱心な人でなくても、街なかのショーウインドウやあちこちに設置された手づくりの素朴なモニュメントから、今回のグランデパールが街じゅうを挙げて歓迎されている様子が伝わる。ヴァンデ県でのグランデパールは、ぜひ選手だけでなくコースの細かいところにも目を配ってほしい。
photo:Kei Tsuji,Makoto AYANO
text:Akane.Ikeno in La Roche-sur-Yon, France
今年で105回目を迎えるツール・ド・フランスのグランデパールは、ビスケー湾に面したペイ・ド・ラ・ロワール地域圏のヴァンデ県一帯。昨年のドイツ・デュッセルドルフや来年のベルギー・ブリュッセルのような大都市ではないが、街中がツール・ド・フランス歓迎ムードに包まれている。
チームプレゼンテーションは、市街中心部の公園「パレス・ナポレオン」(ナポレオン広場)。18時30分スタートのプレゼンテーションには、地元の人はもちろんヨーロッパ各国や世界中から多くのファンが駆けつけた。
同地域圏でのグランデパールは史上9回目、同県でのグランデパールは6回目。外国開催のような派手さはないが、自転車競技の根付いた地域だけにツールを迎えるのは慣れた雰囲気だ。それでも会場周辺はツール一色の歓迎ムードで、壁面に写真をプリントする不思議な手法のアートやナポレオン像が彩りを添えた。
最初に観客の前に姿を現したのはこの地域にも近いブルターニュのチーム、フォルトゥネオ・サムシック。昨年山岳で大暴れしたワレン・バルギル(フランス)をエースに据える。以降、登壇したチームの順に写真で紹介していこう。
不思議な赤い迷彩カラーのリドレーの新型バイクに乗って登場したアンドレ・グライペル(ドイツ)は、「スプリントだけでなく山岳の逃げもやるつもり」と語った。なおグランツール連続出場記録にストップをかけたアダム・ハンセン(オーストラリア)がロット・スーダルのロースターに姿を見せないのは2011年以来という寂しさも。
サンウェブは昨年ポイント賞を獲得したマイケル・マシューズ(オーストラリア)はもちろん、昨年ののジロ勝者、今年2位のトム・デュムラン(オランダ)が登場。プレゼン前半で大スターの登場に会場は大盛り上がり。
ボーラ・ハンスグローエの回ではペテル・サガン(スロバキア)が、もはやおなじみのウィリーで登場。MCのリクエストによりティンコフ時代の2016年大会プレゼンテーションから恒例の、サガンがチームのメンバーを一人ずつ紹介する方法で会場を盛り上げた。隣でスマホで動画を撮るボドナルのことは「これは新しい僕のカメラマン」、ペストルベルガーには「君のニックネームはなんだっけ?」。
クイックステップフロアーズは、この日36歳の誕生日を迎えたフィリップ・ジルベール(ベルギー)を祝福。昨年のジロでステージ4勝を挙げたフェルナンド・ガビリア(コロンビア)は硬い表情のまま「ツールはとても重要なレース」と語った。
バーレーン・メリダは2大会ぶりに出場するヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア)に注目が集まった。MCが英語で質問を仕向けるとイタリア語訛りの強い言葉で「総合を狙うことが目標」。今季から再び同じチームになったイサギレ兄弟は兄ゴルカがスペインナショナルチャンピオンジャージを着る。ちなみに2人はセルフィーのタイミングも同じだった。
ディメンションデータは、昨年は第4ステージの落車でリタイアに終わったマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)がツールの舞台に復帰。再びステージ連勝記録の更新に挑む。
UAEチームエミレーツはこの日2人目の誕生日の選手、31歳になったアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー)の誕生日をジルベールのときよりもスムーズな「ボンアニヴェルセル」で祝った。
ミッチェルトン・スコットは、胸にLET'S GOと入った新ジャージで登場。ツールから加わった新たなスポンサーだ。ジロで躍進したサイモンに続き、声も同じ双子の兄アダムの活躍に注目だ。黒い集団のなかでダリル・インピー(南アフリカ)のナショナルジャージ&カラーバイクがひときわ目を引いた。
トレック・セガフレードは例年の白地を踏襲しつつ、ややメタリックな装いになった新型バイクで登場。バウケ・モレマ(オランダ)は「去年はステージ優勝できてよかったけど、今年こそは総合優勝を狙いに行く」と意気込みを見せた。
BMCレーシングはミヒャエル・シェアー(スイス)とシュテファン・キュング(スイス)が白、グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー)がグレー+金、他の5名の選手は赤のバイクを使用。ひとつのチームでバイクの色がこれだけ異なることは珍しいが、シェアーとキュングのバイクは新型のエアロバイクだ。今年こそ優勝候補のリッチーの身体はひときわ絞れている。
カチューシャ・アルペシンではイルヌール・ザカリン(ロシア)がつたない英語であいさつ。緊張感の無い朴訥な笑顔で会場の空気を和ませた。
チームスカイが登場すると、歓声とブーイングとが混ざった声に会場は包まれた。MCはフルームへの質問を手短に切り上げたが、フルーム以外の選手が話している間も鳴りやまないブーイングが、結論が出たはずのサルブタモール問題の影響の大きさを伺わせる。ただし、大きな異音を発しているのは全体ではなく一部の人々であることは付け加えておきたい。フルームは終始笑顔を貫き通した。
UCIワールドチーム1年目にしてツアー・オブ・カリフォルニア総合優勝などの活躍を見せているエガン・ベルナル(コロンビア)は、「この瞬間のことは一生忘れないと思う」と語った。
スカイが最後のチームと思いきや、今年のチームプレゼンの大トリをつとめたのはディレクトエネルジー。ヴァンデ県はこのチームが拠点を置いている、いわばホームタウンといえるエリア。リリアン・カルメジャーヌ(フランス)やシルヴァン・シャヴァネル(フランス)が登場すると、会場のボルテージは一気に最高潮に。
自宅の窓からプレゼンテーションやパレードを観る人がいたのはもちろん、会場にもサイクリストが多く詰めかけていて、フランスでも自転車が盛んな地域だと実感した。自転車に熱心な人でなくても、街なかのショーウインドウやあちこちに設置された手づくりの素朴なモニュメントから、今回のグランデパールが街じゅうを挙げて歓迎されている様子が伝わる。ヴァンデ県でのグランデパールは、ぜひ選手だけでなくコースの細かいところにも目を配ってほしい。
photo:Kei Tsuji,Makoto AYANO
text:Akane.Ikeno in La Roche-sur-Yon, France
フォトギャラリー
Amazon.co.jp