ツアー・オブ・カタール第4ステージは、サーヴェロのダブルスプリンターを打ち破ったフランチェスコ・キッキ(イタリア、リクイガス)が優勝。前年度にチームから戦力外通告を受けたキッキは早くもシーズン2勝目だ。

スタート前に記念撮影するチームスカイスタート前に記念撮影するチームスカイ photo:A.S.O.第4ステージのスタート地点は、ドーハの郊外に建設された巨大海岸リゾート「ザ・パール」。娯楽施設や高級ホテルを有した人工島に、123名のライダーが集結した。

カタール半島を北上する146kmのコースはもちろん平坦。スタート直後にマルティン・コーラー(スイス、BMCレーシングチーム)、ジェシー・サージェント(ニュージーランド、トレック・リブストロングU23)、セップ・ファンマルケ(ベルギー、トップスポート・フラーンデレン)の3名が飛び出すと、メイン集団はすぐにこの動きを見送った。

逃げたマルティン・コーラー(スイス、BMCレーシングチーム)、ジェシー・サージェント(ニュージーランド、トレック・リブストロングU23)、セップ・ファンマルケ(ベルギー、トップスポート・フラーンデレン)逃げたマルティン・コーラー(スイス、BMCレーシングチーム)、ジェシー・サージェント(ニュージーランド、トレック・リブストロングU23)、セップ・ファンマルケ(ベルギー、トップスポート・フラーンデレン) photo:Cor Vos逃げ切りを許した第2ステージの教訓を活かし、ヴァカンソレイユが牽引するメイン集団は、逃げグループとのタイム差を慎重にコントロール。先頭3名のリードは最大3分20秒(65km地点)に留まった。

ゴールまで25kmを残して先頭3名は1分40秒のリード。しかしスプリンターチームによるペースアップには抵抗出来ずに、ゴール16km手前で吸収される。ここからサクソバンクやクイックステップ、サーヴェロ・テストチーム、リクイガス、チームスカイが先頭に立ち、ゴールスプリントに向けてスピードを上げ続けた。

メイン集団をコントロールするヴァカンソレイユメイン集団をコントロールするヴァカンソレイユ photo:Cor Vosゴール前で一気に先頭に立ったのは、これまでトラック競技でアルカンシェルを5枚獲得しているテオ・ボス(オランダ、サーヴェロ・テストチーム)。しかし発射台役のボスの後方にエーススプリンターのハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ)の姿は無く、失速するボスを抜き去ったキッキが先頭へ。ハウッスラーの追撃は届かず、キッキがガッツポーズでゴールに飛び込んだ。

ダニエル・オス(イタリア)とダニエーレ・ベンナーティ(イタリア)にアシストされ、6回目のツアー・オブ・カタール出場で初勝利を飾ったキッキ。今シーズンはすでにツール・ド・サンルイスでステージ優勝を飾っており、これがシーズン2勝目だ。

集団内でスプリント勝負に備えるトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)集団内でスプリント勝負に備えるトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ) photo:Cor Vos天を指差してゴールしたキッキは、この勝利を大会期間中に亡くなったフランコ・バッレリーニ元イタリア代表監督に捧げた。チーム公式サイトの中でキッキは「無意識のうちに天を指差していた。バッレリーニの存在は、イタリア人選手にとってとても大きなものだった。この勝利を全て彼に捧げたい」と語っている。

昨シーズン終了時、キッキはチームから「2010年が勝負の年」であることを告げられた。事実上の戦力外通告だ。キッキは「オフシーズンに200%のトレーニングを積んで来た。与えられたチャンスは何が何でも掴み取ってやろうと思っていた。調子はとても良いよ」と、気合いのこもったコメントを残す。

スプリント第2ラウンドを制したフランチェスコ・キッキ(イタリア、リクイガス)スプリント第2ラウンドを制したフランチェスコ・キッキ(イタリア、リクイガス) photo:Cor Vos「今日はベンナ(ベンナーティ)がアシストとして素晴らしい働きをしてくれた。明日はエースの座を交代するかもしれない。彼は間違いなく世界トップのスプリンターだ。勢いがつけば、誰にも彼を止めることは出来ない」。ベンナーティとキッキのコンビは、グランツールでもその力を発揮するだろう。

この日も総合首位のワウテル・モル(オランダ、ヴァカンソレイユ)は集団内でゴールし、リーダージャージをキープ。2日連続でステージ2位に入ったハウッスラーがポイント賞ジャージを守っている。

レース展開はレース公式サイト、選手コメントはリクイガス公式サイトより。

ツアー・オブ・カタール2010第4ステージ結果
1位 フランチェスコ・キッキ(イタリア、リクイガス)           3h16'58"
2位 ハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ・テストチーム)
3位 フアンホセ・アエド(アルゼンチン、サクソバンク)
4位 テオ・ボス(オランダ、サーヴェロ・テストチーム)
5位 ケニー・デハース(ベルギー、オメガファーマ・ロット)
6位 ロジェ・クルーゲ(ドイツ、チームミルラム)
7位 クリストフ・ホダールト(ベルギー、トップスポート・フラーンデレン)
8位 タイラー・フィニー(アメリカ、トレック・リブストロングU23)
9位 ダニーロ・ナポリターノ(イタリア、カチューシャ)
10位 バーデン・クック(オーストラリア、サクソバンク)

個人総合成績
1位 ワウテル・モル(オランダ、ヴァカンソレイユ)           9h59'28"
2位 ヘールト・ステウルス(ベルギー、トップスポート・フラーンデレン)    +15"
3位 トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)            +1'55"
4位 ロジェ・クルーゲ(ドイツ、チームミルラム)             +1'59"
5位 ダニーロ・ナポリターノ(イタリア、カチューシャ)          +2'15"
6位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)     +2'17"
7位 マークス・ブルグハート(ドイツ、BMCレーシングチーム)       +2'21"
8位 ハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ・テストチーム)   +2'37"
9位 フランチェスコ・キッキ(イタリア、リクイガス)           +2'38
10位 スチュアート・オグレディ(オーストラリア、サクソバンク)     +2'46"

ポイント賞
ハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ・テストチーム)

新人賞
ロジェ・クルーゲ(ドイツ、チームミルラム)

チーム総合成績
トップスポート・フラーンデレン

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, A.S.O.

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