ヴィットリアから新たに登場した30mmハイトのカーボンチューブレスレディホイール「ELUSION CARBON」をインプレッション。上位モデルと同様のSwitchITハブを採用しながらも、リムのカーボン素材を変更することで優れたコストパフォーマンスを実現したミドルハイトカーボンホイールだ。



ヴィットリア ELUSION CARBONヴィットリア ELUSION CARBON photo:Makoto.Ayano
老舗タイヤブランドとして長年プロトンから厚い信頼を得ているヴィットリア。2015年からはホイ―ル分野にも手を伸ばしており、近年ではジロ・デ・イタリアを始めとするトップレースでニュートラルサポートも担当するほどとなっている。そんな同社のホイールラインアップの中から、2018年のニューモデルとして新たに登場した「ELUSION CARBON」をインプレッションした。

ELUSION CARBONはヴィットリアホイールの中でもセカンドグレード帯に位置するカーボンホイ―ル。ハイエンドシリーズとなるQURANOにも採用されている「SwitchIT」フリーハブを採用しながらも、リムには同社のアイコン的素材とも言えるグラフェンの投入を見送ることでコストダウンを図り、高いコストパフォーマンスを実現しているのが特長だ。

30mmのリムハイトがヒルクライムにも平地コースにもオールラウンドに対応30mmのリムハイトがヒルクライムにも平地コースにもオールラウンドに対応 チューブレスレディタイヤの着脱を容易にしたSpeedlockリムデザインチューブレスレディタイヤの着脱を容易にしたSpeedlockリムデザイン
工具なしでフリーボディを着脱出来るSwitchITフリーハブにより高いメンテナンス性を実現工具なしでフリーボディを着脱出来るSwitchITフリーハブにより高いメンテナンス性を実現 チューブレスレディに対応しているため、バルブ部分は空気漏れの無いよう精巧に作られるチューブレスレディに対応しているため、バルブ部分は空気漏れの無いよう精巧に作られる

このSwitchITとは工具なしでフリーボディの取り外しを行うことが出来るシステム。プロレースにおけるニュートラルサポートでの経験に基づき開発されたテクノロジーで、予めスプロケットを装着しておいたフリーボディを用意しておけばシマノ及びスラムやカンパニョーロに即座に交換が可能というシステムである。レース現場での汎用性を目的としたシステムではあるが、一般ユーザーにとってもメンテナンス性の向上や、コンポーネントの異なるバイクへのホイール交換など、享受するメリットは多いだろう。

コストダウンに一役買っているリムは高さ30mm、外幅24mmのいわゆるミドルハイトデザイン。QURANOシリーズに採用されていたグラフェン素材の採用こそ無いものの、上位モデルと同じくチューブレスレディタイヤの使用に最適化された「Speedlock」リムデザインによりタイヤの着脱を容易にしている。

リム素材へグラフェンを投入をせずコストダウンを図ったモデル。ブレーキ面は平滑なデザインを採用リム素材へグラフェンを投入をせずコストダウンを図ったモデル。ブレーキ面は平滑なデザインを採用
ストレートプル仕様のステンレススポークを使用しニップルは外出し。リアホイールはワイドフランジの2:1組とすることでスポークテンションの均一化を図っている。前後セット重量は1,450gで、価格は127,000円(税抜)。カーボンリム用のブレーキパッドが付属する。



― インプレッション

「レースデビュー用のアップグレードカーボンホイールに最適」辻本尚希(L-Breath Bike)


前後セットで127,000円(税抜)という価格はカーボンホイールとしてはリーズナブルな部類に入りますね。それでいて高い剛性も確保されていますし、高速で走った時のエアロ感も30mmハイト相当の性能を感じることが出来ました。チューブラーではないので多少の重量感はありますが、それでも1,450gとカーボンホイールらしい軽さもありヒルクライムデビューにも最適ですね。

「レースデビュー用のアップグレードカーボンホイールに最適」辻本尚希(L-Breath Bike)「レースデビュー用のアップグレードカーボンホイールに最適」辻本尚希(L-Breath Bike)
まずこの価格帯でカーボンチューブレスレディホイールが購入できるという点が良いですよね。リムハイトも30mmと汎用性のある高さで、ヒルクライムレースや、ロードレースなど幅広く決戦用ホイールとして使いたいという方に最適なホイールだと思います。流行りのワイドリムでエアロ効果もありますので、巡航性能も担保されています。

お買い得感のある価格だけに剛性に関してはやや心配もあったのですが、大パワーのトルクにもしっかり応えてくれましたし問題はありません。登りで軽いギアを回しても程よい剛性感で反応してくれますし、ギアをかけて踏み込んだときもパワーを受け止めて推進力に変えてくれる感覚があります。テンションの均一化を図ったリアホイールの2:1の組み方が上手く働いているように思います。

またブレーキトラックの面取りが綺麗にされているなど作りの精度が高いおかげか、ブレーキレバーを強く握っても滑らかに止まってくれます。いきなりブレーキが掛かる感覚ではなく、狙った所に綺麗に止まってくれる印象で、フィーリングは気持ちいいですね。

2:1スポーク組はホイールの剛性強化に一役買っている2:1スポーク組はホイールの剛性強化に一役買っている リム幅24mm、リムハイト30mmでエアロ効果を生み出してくれるリム幅24mm、リムハイト30mmでエアロ効果を生み出してくれる


今回は25Cのタイヤがアセンブルされていましたが、リムのワイドな設計とマッチしていたと思います。転がりも軽いですし、何よりCORSA等のヴィットリアタイヤとのマッチングは最高ではないでしょうか。

アルミホイール搭載の完成車を購入した方が、レースデビューにあたってカーボンホイールにアップグレードしたいという時にお勧めしたいですね。レースエントリーグレードホイールとしてベストチョイスだと思います。また、走力が上がってもう少しハイエンドのホイールを購入したとしても、セカンドホイールとしてレース会場に常に持っていきたくなる存在になるのではないでしょうか。それぐらい長く付き合える高いスペックを持っています。

ヴィットリア ELUSION CARBONヴィットリア ELUSION CARBON photo:Makoto.Ayano
ヴィットリア ELUSION CARBON
リム形式:クリンチャー(チューブレスレディ対応)
リム素材:フルカーボン
リムプロファイル:ハイト30mm、内幅17C、外幅24mm
ハ ブ:アルミ製
ベアリング:シールドベアリング(フロント2、リア4)
スポーク:フロント16本、リア21本(2:1)、ステンレススポーク、真鍮ニップル
対応スプロケット:シマノ11s
重 量:前後セット1,450g
付属品:ブレーキパッド
価 格:127,000円(税抜、前後ペア)



インプレッションライダーのプロフィール

辻本尚希(L-Breath Bike)辻本尚希(L-Breath Bike) 辻本尚希(L-Breath Bike)

管洋介氏率いるAVENTURA AIKOH VICTORIA RACINGのエースライダーとしてロード競技を続けつつ、普段はL-Breath Bike 御茶ノ水店のスタッフとして働く。順天堂大学時代は自転車競技部の主将を務めるとともに、2013年の学生選手権個人ロードチャンピオンにも輝く。現在はアスリート社員として自転車のソフト面の強化に力を入れており、チームやショップが行うスクールの企画・運営・講師も務める。

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