9月17日(日)、第65回秩父宮杯・埼玉県自転車道路競争大会が開催され、最上位カテゴリーのエリートは池西拓海(明治大学)がスプリント勝負を制して優勝。団体賞はLinkTOHOKUが獲得した。


台風が迫る雨の中、稲穂が実った田んぼの中を行くエリートの集団台風が迫る雨の中、稲穂が実った田んぼの中を行くエリートの集団 photo:Satoru Kato
秩父宮杯は、「スポーツの宮様」として親しまれた秩父宮雍仁(やすひと)親王の秩父宮家の名を冠した大会として、昭和26年に埼玉県内1周の駅伝大会として初開催された。その後自転車競技に変わり、秩父宮家ゆかりの秩父市に会場を移して今年で10回目の開催となる。通称「宮杯(みやはい)」と呼ばれ、埼玉近県の自転車選手やホビーレーサーには馴染みのある大会だ。

コースは、秩父市郊外の公道に設定された1周10.8km。平坦基調の前半と、アップダウンが繰り返される後半で構成される。上位クラスは、秩父駅から周回コースまでのパレードランが行われる。

今回初めての試みとして、上位クラスには山岳賞とスプリント賞が設定された。規定の周回時に山頂又はコントロールラインを先頭通過した選手に、マイナス3秒のボーナスタイムが与えられる。

今年は9月の3連休中の開催となったが、あいにく台風18号の接近により前夜から雨が降り続く1日となってしまった。前日にレース距離の短縮が決定されていたが、大会当日の状況によっては更なる短縮や中止も検討された。しかしレースが行われた午前中は雨と風はさほど強くならず、追加の短縮などをせずに済んだのは幸いだった。


エリート スプリント勝負を池西拓海が制する

最上位カテゴリーのエリートは6周+半周を予定していたが、台風の影響を考慮して5周+半周の64.5kmで行われた。

リアルスタート直後からペースが上がり、集団は縦に長く引き伸ばされる。集団から抜け出す動きもあったものの、落車により救急車がコースに入った事で一時仕切り直しの状態に。

エリート4周目 逃げる池西拓海(明治大学)と崎戸泰地(東洋大学自転車愛好会)エリート4周目 逃げる池西拓海(明治大学)と崎戸泰地(東洋大学自転車愛好会) photo:Satoru Katoエリート4周目 逃げを追うメイン集団エリート4周目 逃げを追うメイン集団 photo:Satoru Kato

4周目、池西拓海(明治大学)と崎戸泰地(東洋大学自転車愛好会)が、追いついてきた高校生上級の選手を引き連れて飛び出す。しかし1周もたずにメイン集団が吸収して最終周回へ。「最終コーナー手前から仕掛けて前に出た」と言う池西を先頭に最後のスプリント勝負に突入。渡邉正光(LinkTOHOKU)が迫ったものの差しきれず、池西が逃げ切る形で先着した。

エリート 逃げを吸収して最終周回に入る集団エリート 逃げを吸収して最終周回に入る集団 photo:Satoru Katoエリート 池西拓海(明治大学、写真中央)が先行してスプリント 渡邉正光(LinkTOHOKU 写真右端)が迫るエリート 池西拓海(明治大学、写真中央)が先行してスプリント 渡邉正光(LinkTOHOKU 写真右端)が迫る photo:Satoru Kato

最終結果は、山岳賞のボーナスタイムも獲得した池西が優勝。ゴールは6位だった半澤雄高(LinkTOHOKU)が、スプリント賞のボーナスタイムにより2位となった。秩父宮杯がかかった団体はLinkTOHOKUが優勝した。

「最終周回の山岳の上りで、母校の先輩の猿田さん(猿田匠・東北学院大学)が飛び出したのを集団が追いかけて捕まえて、下った後の上り返しでさらにペースがあがりました。足が残っていたので、そこから最終コーナーへの下りで踏んでいって良い位置取りをする事が出来ました。

今回は単独で参加しましたが、距離も短いので積極的に自分から動く事を考えてレースをしました。それがうまくいったと思います」と、レースを振り返る池西は明治大学の3年生。「得意種目のトラックのスクラッチで国体に出場するので、そこで良い成績を残せるよう頑張ります」と、次の目標を語った。

エリート 表彰式エリート 表彰式 photo:Satoru Katoエリート 団体表彰エリート 団体表彰 photo:Satoru Kato



高校生上級は湯浅博貴、一般上級は浜島章浩が優勝

高校生上級4周目 エリートに追いついた5人がさらに先行高校生上級4周目 エリートに追いついた5人がさらに先行 photo:Satoru Kato高校生上級 表彰式高校生上級 表彰式 photo:Satoru Kato

高校生上級と一般上級は、エリートと同じ距離で行われた。

高校生上級は、レース中盤に集団から抜け出した数名が1分前にスタートしたエリートの先頭集団に追いつく。3周目には5人が先行するが、4周目には再びエリートの先頭集団と一緒になり、最後のスプリント勝負へ。

ゴールは、鳥倉必勝(チーム・ウォークライド)、有村尚輝(VENTOS FRECCIA)、湯浅博貴(栄北高校)、渡邉翔悟(都立八王子桑志高校)の順。山岳賞を獲得していた湯浅と、スプリント賞を獲得していた渡邉が、ボーナスタイムにより鳥倉と有村を上回り、湯浅が優勝した。

一般上級 スプリント勝負を制した浜島章浩(かねこれーしんぐ)が優勝一般上級 スプリント勝負を制した浜島章浩(かねこれーしんぐ)が優勝 photo:Satoru Kato一般上級 表彰式一般上級 表彰式 photo:Satoru Kato

一般上級は、最後に残った9人でのスプリント勝負となり、一昨年の同クラス優勝の井上善裕(INOUE RACING CYCLE)を抑えて浜島章浩(かねこれーしんぐ)が優勝した。
秩父宮杯 結果
エリート(64.5km)
1位 池西拓海(明治大学自転車部) 1時間39分15秒330(山岳賞—3秒)
2位 半澤雄高(LinkTOHOKU) 1時間39分15秒950(スプリント賞−3秒)
3位 渡邉正光(LinkTOHOKU) 1時間39分18秒360
4位 岩島啓太(MIVRO) 1時間39分18秒590
5位 河合宏樹(オッティモ) 1時間39分18秒780
6位 奥秋 篤(コムリン) 1時間39分18秒790
エリート・団体
1位 LinkTOHOKU
2位 コムリン
3位 サイタマサイクルプロジェクト
高校生上級(64.5km)
1位 湯浅博貴(栄北高校) 1時間38分17秒240(山岳賞−3秒)
2位 渡邉翔悟(都立八王子桑志高校) 1時間38分17秒420(スプリント賞−3秒)
3位 鳥倉必勝(チーム・ウォークライド) 1時間38分18秒990
4位 有村尚輝(VENTOS FRECCIA) 1時間38分19秒520
5位 川田真也(川越工業自転車部) 1時間38分42秒730
6位 大関一輝(EXTENDED VAX) 1時間38分42秒730
高校生上級・団体
一般中級 一般初級
1位 吉岡大志(ノースウェスト) 33分46秒060 川村 怜(Racing Cube) 34分17秒030
2位 白鳥興寛(ARCCレーシングチーム) 33分48秒910 高橋 力(みさかレーシング) 34分28秒690
3位 太田元輝 33分58秒470 川崎晃弘(Team Mu61) 34分35秒400
高校生初級(21.6km) マスターズ(21.6km)
1位 若月隆真 33分16秒900 吉田勝彦(彩北ツブラーゼ) 33分36秒990
2位 池田悠里(栄北高校) 33分20秒950 酒井宏幸(TRC Panamareds) 34分28秒980
3位 北林大地(八王子桑志高校) 33分28秒360 松村 悟(パインヒルズ”90) 34分29秒480
女子(10.8km) 中学生(10.8km)
1位 中川由理(川越工業高校) 19分34秒350 西本健三郎(Piacere YAMA) 17分42秒560
2位 村松早苗(かねこれーしんぐ) 19分55秒900 堀江一葉(Flecha) 17分53秒070
3位 植竹海貴 20分7秒820 茂呂佳名人 17分53秒430
text&photo:Satoru Kato
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