カナダで開催されたGPケベック(UCIワールドツアー)で、ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)がキャリア通算100勝目となる2年連続勝利を達成。日曜日に開催されるGPモンレアルとの連勝に向けても意欲を見せた。



スタート地点に姿を現したペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)スタート地点に姿を現したペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
世界選手権出場を決めている新城幸也(バーレーン・メリダ)世界選手権出場を決めている新城幸也(バーレーン・メリダ) 2013年以来3度目の出場である別府史之(トレック・セガフレード)2013年以来3度目の出場である別府史之(トレック・セガフレード)


グランプリ・シクリスト・ド・ケベック2017 コースマップグランプリ・シクリスト・ド・ケベック2017 コースマップ オールラウンダーがブエルタ・ア・エスパーニャ終盤戦で激しく火花を散らすその頃、世界屈指のワンデーレーサーたちが集うのがカナダ・フランス語圏を舞台に繰り広げられるグランプリ・シクリスト・ド・ケベック(GPケベック)と、その2日後に開催されるグランプリ・シクリスト・ド・モンレアル(GPモンレアル)のワールドツアー2連戦。

8月のビンクバンクツアーから休息を取ったペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)や、グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)、セップ・ヴァンマルク(ベルギー、キャノンデール・ドラパック)、サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・スコット)、エンリーコ・ガスパロット(イタリア、バーレーン・メリダ)、ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)ら、世界選手権を見据えるビッグネームたちが北米の地でシーズン終盤に向けて動き出した。

日本からは世界選手権出場を決めている新城幸也(バーレーン・メリダ)と、2013年以来3度目の出場である別府史之(トレック・セガフレード)が出場。共にアシストとしての責務を負った。

セント・ローレンス川に面したケベック市内を周回するコースの全長は12.6km(獲得標高186m)。ここを16周回、合計201.6kmで争われるGPケベックの総獲得標高は2976mにものぼる。周回後半からは名称の付けられた登坂が4つ登場し、フィニッシュへの登り「グラン・ダリー」は登坂距離1000m、平均勾配4%。それぞれの難易度は低くないものの連続して登坂をこなすため、波状攻撃が掛かれば集団分断も起こりうる。過去大会は高い確率で登坂スプリントになっており、世界王者サガンは2年連続勝利を目指し、兄ユライとタッグを組んでスタートを切った。

逃げたトッシュ・ファンデルサンド(ベルギー、ロット・ソウダル)ら4名逃げたトッシュ・ファンデルサンド(ベルギー、ロット・ソウダル)ら4名
集団前方に構えるボーラ・ハンスグローエのメンバー集団前方に構えるボーラ・ハンスグローエのメンバー 集団内で走るグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)集団内で走るグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)


この日逃げグループを形成したのは、フランス語を母国語とするカナダのピエールアンドレ・コート(カナダナショナルチーム)とトッシュ・ファンデルサンド(ベルギー、ロット・ソウダル)、バティスト・プランカールト(ベルギー、カチューシャ・アルペシン)、そしてタイラー・ウィリアムズ(アメリカ、イスラエルサイクリングアカデミー)の4人。序盤に逃げを打つと差を広げ、4周目には9分半まで貯金を稼いでいった。

後半になってバーレーン・メリダやチームスカイ、サンウェブ、BMCレーシングら優勝候補を抱えるチームが共同作戦を展開すると、逃げグループのリードは徐々に切り崩されていく。先頭でも実力者ファンデルサンドとプランカールトの2名が残り、やがてプランカールト一人が逃げを続ける展開となった。

最終周回に達する頃にはオリカ・スコットとトレック・セガフレードもペースアップに加担したことで長時間粘り続けたプランカールトはお役御免に。各チームはエースのためのポジション争いを繰り広げながらラスト10kmに突入していった。

アメリカ南北戦争の後、要塞に構えられた大砲を横目に走るアメリカ南北戦争の後、要塞に構えられた大砲を横目に走る
歴史あるケベック旧市街を駆け抜ける歴史あるケベック旧市街を駆け抜ける 2015年の覇者、リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック)2015年の覇者、リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック)


先頭を牽いていたダリオ・カタルド(イタリア、アスタナ)は直角コーナーの出口でスリップ落車したものの、優勝候補たちは影響から逃れることに成功。ヴァンアーヴェルマートを従えたBMCレーシング、キャノンデール・ドラパック、フランス王者アルノー・デマールをエースに臨むエフデジらが激しく位置取り争いの火花を散らしていく。

ゴール前の登坂区間で決定的な動きは生まれず、ペースが上がりきらない大集団のままフィニッシュのグラン・ダリーへ。すると均衡を破るように2015年の覇者、リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック)が残り1kmで加速した。

しかしウランが逃げ切るには勾配が緩すぎた。オリカ・スコットが冷静にウランとの距離を詰め、残り300mで吸収。各チームの最終発射台が加速を始めるそのタイミングで、ウランの番手に付いたペトル・ヴァコッチ(チェコ、クイックステップフロアーズ)がスプリントの口火を切った。

その後ろから状況を見極めていたのはサガン。右側からマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)が加速するのを確認したサガンは一気に先頭に立つと、追い込むヴァンアーヴェルマートを寄せ付けずにフィニッシュ。余裕すら感じさせる圧倒的な爆発力で2年連続勝利を収めた。

圧倒的なスプリントでキャリア100勝目を達成したペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)圧倒的なスプリントでキャリア100勝目を達成したペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
100周年を迎えたシリカ社から贈られたポンプとツールを掲げるペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)100周年を迎えたシリカ社から贈られたポンプとツールを掲げるペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) グランプリ・シクリスト・ド・ケベック2017表彰台グランプリ・シクリスト・ド・ケベック2017表彰台


記念すべきキャリア100勝目をここケベックで打ち立てたサガンは、ウランのアタックとヴァンアーヴェルマートの2位を「最終的に去年とほとんど同じ展開になった」と評した。「最後は強い向かい風が吹いていたけれど、気にせず長い距離のスプリントを仕掛けたんだ。登りが続いていたのでスプリントは厳しかったけれど、チームメイトの仕事にも報いることができてよかった。100勝目には満足しているけれど、それで決して満足することはないよ。また日曜日にも勝利を狙っていく」と、100%のゴーグルを首にかけながら語ったサガン。大観衆を前に創業100周年迎えたイタリアのシリカ社から記念ポンプとツールセットが贈られ、100尽くしの表彰台を終えた。

サガンがGPモンレアルでも勝利すれば、サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・スコット)に続く大会史上2度目の記録となる。
グランプリ・シクリスト・ド・ケベック2017
結果
1位ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)5:00:31
2位グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
3位マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)
4位アレクシー・ヴュイエルモーズ (フランス、アージェードゥーゼール)
5位ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル)
6位トムイェルト・スラフトール(オランダ、キャノンデール・ドラパック)
7位ペトル・ヴァコッチ(チェコ、クイックステップフロアーズ)
8位セップ・ヴァンマルク(ベルギー、キャノンデール・ドラパック)
9位トニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル)
10位ソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)
96位別府史之(トレック・セガフレード)2:08
114位新城幸也(バーレーン・メリダ)3:26
txet:So.Isobe
photo:CorVos
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