ツール・ド・フランス第3ステージを締めくくる3級山岳の登りスプリントで世界チャンピオンが他を圧倒。スプリント中にペダルを外しながらもリードを守ったペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)が自身8度目のステージ優勝を飾った。


シルキュイ・ド・スパ・フランコルシャンを走るプロトンシルキュイ・ド・スパ・フランコルシャンを走るプロトン photo:Kei Tsuji / TDWsport
ツール・ド・フランス2017第3ステージツール・ド・フランス2017第3ステージ ©GEOATLASツール・ド・フランス2017第3ステージツール・ド・フランス2017第3ステージ ©A.S.O.

ベルギーからルクセンブルクを経由してフランスに向かう第3ステージはまるでアルデンヌクラシック。3カ国をまたぐ212.5kmの大半は丘陵地帯であり、アップダウンが連続するためピュアスプリンター向きではない。合計5つのカテゴリー山岳が設定されており、最後はロンウィの3級山岳コート・デ・ルリジューズ(全長1.6km/高低差93m/平均5.8%)を駆け上がってフィニッシュを迎える。

スタートが切られてすぐファーストアタックを仕掛けたのはトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)とフレデリック・バカールト(ベルギー、ワンティ・グループゴベール)の2人。地元ベルギー勢がアタック合戦を繰り広げ、そこからニルス・ポリッツ(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)とアダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ソウダル)、ロメン・アルディ(フランス、フォルトゥネオ・オスカロ)が逃げ出すことに成功する。

先頭3名にバカールトとネイサン・ブラウン(アメリカ、キャノンデール・ドラパック)、ロメン・シカール(フランス、ディレクトエネルジー)が追いついたところでメイン集団はスローダウン。先頭では6名の逃げグループが形成され、テイラー・フィニー(アメリカ、キャノンデール・ドラパック)のマイヨアポワを守る立場のブラウンを先頭に最初の4級山岳をクリアした。

総合41秒遅れのポリッツと総合50秒遅れのシカールを含み、さらに過去にグランツールで2度逃げ切りを果たしているハンセンが乗った逃げグループをメイン集団は警戒した。212.5kmという長丁場にもかかわらずボーラ・ハンスグローエやクイックステップフロアーズの集団牽引によってタイム差は2分前後で推移する。

序盤から逃げるニルス・ポリッツ(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)ら6名序盤から逃げるニルス・ポリッツ(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)ら6名 photo:Kei Tsuji / TDWsport
マイヨジョーヌ2日目を迎えたゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)マイヨジョーヌ2日目を迎えたゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
コルブレッリのために位置取りする新城幸也(バーレーン・メリダ)コルブレッリのために位置取りする新城幸也(バーレーン・メリダ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
ルクセンブルクの街を駆け抜けるルクセンブルクの街を駆け抜ける photo:Kei Tsuji / TDWsport
89km地点のスプリントポイントを先頭通過したのはポリッツで、1分50秒遅れのメイン集団はマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)、ソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)、ベン・スウィフト(イギリス、UAEチームエミレーツ)の順で通過していく。その後の4級山岳で競り合ったポリッツとブラウンは、そのまま2人で競り合いながら続く3級山岳に突入。身長192cm/体重80kgという大柄なポリッツが連取を狙ったが、身長182cm/体重65kgのブラウンが軽快なダンシングで先行してキャノンデール・ドラパックとして山岳賞のリードを守っている。

再び6名に戻った逃げグループに対し、タイム差が1分まで縮まった残り60km地点でメイン集団からトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)、リリアン・カルメジャーヌ(フランス、ディレクトエネルジー)、ピエールリュック・ペリション(フランス、フォルトゥネオ・オスカロ)がカウンターアタック。追走3名はすぐさま先頭6名に追いつき、そこからデヘント、カルメジャーヌ、ペリション、アルディが先行を開始した。

フレッシュな逃げグループが新たに形成されたためメイン集団は本格的に追撃を開始。やがて先頭では残り20km地点でカルメジャーヌが独走に持ち込んだが、向かい風に押し戻されてペースが上がらない。スプリンターチームと総合系チームが入り乱れながら激しく位置取りするメイン集団は残り10kmアーチ通過後にカルメジャーヌを飲み込んだ。

一人だけポジションが低いペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)一人だけポジションが低いペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
逃げグループに追いついたトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)逃げグループに追いついたトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) photo:Kei Tsuji / TDWsport
独走で残り10kmまで逃げ続けたリリアン・カルメジャーヌ(フランス、ディレクトエネルジー)独走で残り10kmまで逃げ続けたリリアン・カルメジャーヌ(フランス、ディレクトエネルジー) photo:Kei Tsuji / TDWsport
チームメイトに守られて最後の登りに向かうリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)チームメイトに守られて最後の登りに向かうリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) photo:Kei Tsuji / TDWsport
クイックステップフロアーズやBMCレーシングが集団先頭を陣取って3級山岳コート・デ・ルリジューズへ。最大勾配11%の登りで集団は割れ、ニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング)がハイペースを刻んだままフラムルージュを通過するとリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)がアタックを仕掛けた。

付き位置のアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)を引き離してしまうほどの加速を見せたポートに反応したのはアルカンシェルのペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)。周りの様子を伺いながら残り400mでポートを抜いて先頭に立ったサガンは、そのまま後ろを振り返りながら残り250mでスプリントを開始した。

得意の登りスプリントでリードを築いたサガンだったが、ビンディングペダルからクリートが外れて失速してしまう。すぐさまペダルをキャッチして加速を再開したサガンを、グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)やダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ)、そしてマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)が追撃。サガンはリードを失いながらも先頭を守りきり、2位マシューズと3位マーティンを振り切った。

コンタドールを引き離す勢いでリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)が先頭を走るコンタドールを引き離す勢いでリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)が先頭を走る photo:Kei Tsuji / TDWsport
登りスプリントで先頭を走るペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)登りスプリントで先頭を走るペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)とダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ)がペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)を追撃マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)とダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ)がペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)を追撃 photo:Kei Tsuji / TDWsport
登りスプリントを制したペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)登りスプリントを制したペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
「終盤にかけて集団内はかなりナーバスな状態だった。向かい風やテクニカルなセクションが多くて難しいタスクだったにもかかわらず、チームは最高の仕事をやり遂げてくれた」。今大会1勝目を飾ったサガンはインタビューでまず最初にチームメイトの働きに感謝した。

「残り800mでアタックして距離を広げたリッチー(ポート)に反応すると、残り400mで早くも先頭に出てしまった。『なんてこった、いくらなんでもこれは早すぎる』と嘆きながらしばらくタイミングを待ってからスプリントを開始すると今度はビンディングが外れてしまった。『今日はどれだけついてないんだ?』と思ったよ。最終的にマシューズに追い抜かれそうになったけどなんとか先頭を守り抜いた」。2012年から5年連続でマイヨヴェールを獲得しているサガンが自身8度目のステージ優勝。ポイント賞でも3位に浮上している。

サガンと2秒差のステージ8位でフィニッシュしたトーマスはマイヨジョーヌをキープ。「逃げグループに3名が追いついてからはメイン集団のペースがかなり上がり、極めてヘクティック(大忙し)な1日だった。最後は後方からの登坂になってしまったけど、クウィアトコウスキーがうまく自分とフルーミーを導いてくれたんだ。今日のような危険なステージを無傷で乗りきったことを嬉しく思う」。表彰台でマイヨジョーヌと2体目のライオンのぬいぐるみを受け取ったトーマスはそうコメント。総合上位からピュアスプリンターが姿を消し、チームスカイが総合ワンツー体制を築いている。

ステージ1勝目を飾ったペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)ステージ1勝目を飾ったペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
マイヨアポワはネイサン・ブラウン(アメリカ、キャノンデール・ドラパック)の手にマイヨアポワはネイサン・ブラウン(アメリカ、キャノンデール・ドラパック)の手に photo:Kei Tsuji / TDWsportマイヨブランを手にしたピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール)マイヨブランを手にしたピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール) photo:Kei Tsuji / TDWsport
マイヨジョーヌを守ったゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)マイヨジョーヌを守ったゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji / TDWsport

ツール・ド・フランス2017第3ステージ結果
ステージ成績
1位ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)5:07:19
2位マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)
3位ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ)
4位グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
5位アルベルト・ベッティオール(イタリア、キャノンデール・ドラパック)0:02
6位アルノー・デマール(フランス、エフデジ)
7位ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)
8位ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
9位クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)
10位ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)
80位新城幸也(日本、バーレーン・メリダ)01:37
敢闘賞リリアン・カルメジャーヌ(フランス、ディレクトエネルジー)
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)10:00:31
2位クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)0:12
3位マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)
4位ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)0:13
5位エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)0:16
6位ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール)0:25
7位フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)0:30
8位ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)0:32
9位ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル)
10位ニキアス・アルント(ドイツ、サンウェブ)0:34
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位マルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)66pts
2位アルノー・デマール(フランス、エフデジ)57pts
3位ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)50pts
マイヨアポワ(山岳賞)
1位ネイサン・ブラウン(アメリカ、キャノンデール・ドラパック)3pts
2位ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)2pts
3位テイラー・フィニー(アメリカ、キャノンデール・ドラパック)2pts
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール)10:00:56
2位アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)0:12
3位シュテファン・キュング(スイス、BMCレーシング)0:13
チーム総合成績
1位チームスカイ6:01:52
2位クイックステップフロアーズ1:01
3位モビスター1:16