NIPPOヴィーニファンティーニ、ブリヂストンアンカー、キナンサイクリングチーム、チーム右京が出場したツール・ド・コリアで初山翔が日本人最高位となる総合10位に。ジョン・アベラストゥリのステージ2勝など、日本チームの活躍も目立ったレースの様子をダイジェストでお届けしよう。



NIPPO、ブリヂストン、キナン、右京を含む20チームが出場したツール・ド・コリアNIPPO、ブリヂストン、キナン、右京を含む20チームが出場したツール・ド・コリア (c)Tour de Korea
第1ステージ ジャイ・クロフォード(キナンサイクリングチーム)とダミアン・モニエ(ブリヂストンアンカー)を含む逃げ集団第1ステージ ジャイ・クロフォード(キナンサイクリングチーム)とダミアン・モニエ(ブリヂストンアンカー)を含む逃げ集団 photo:Syunsuke FUKUMITSU第1ステージはジョン・アベラストゥリ(チーム右京)が勝利第1ステージはジョン・アベラストゥリ(チーム右京)が勝利 photo:Syunsuke FUKUMITSU

6月14~18日の5日間で開催された韓国最大規模のステージレース、ツール・ド・コリア(UCIアジアツアー2.1)。韓国南部の都市、麗水を開幕地に4日間北上を続け、5日目は首都ソウルでのクリテリウムが行われた。

日本人選手が所属する4つのチーム(NIPPO、ブリヂストン、キナン、右京)を含めアジア圏のチームを中心に、5つのUCIプロコンチネンタルチーム、14のUCIコンチネンタルチーム、香港ナショナルチームと全20チームが出場。翌週には全日本選手権ロードレースが控えているとあって、日本人選手にとっては最終調整も兼ねたレースとなった。

全日を通して急坂はいくつも登場したものの、厳しい山岳の設定はなく、ほとんどのステージが集団スプリントで争われる展開となった。各ステージでは激しいポジション争いの末に落車も多発し日本人選手が巻き込まれるシーンも。ただ、大事に至った選手はいなくそれぞれ無事5日間のレースを終えている。

第2ステージ リーダージャージ擁するチーム右京が集団を牽引第2ステージ リーダージャージ擁するチーム右京が集団を牽引 (c)Tour de Korea第2ステージ 総合成績を決定づける逃げにダミアン・モニエ(ブリヂストンアンカー)やトマ・ルバ(キナンサイクリングチーム)、サルバドール・グアルディオラ(チーム右京)が乗る第2ステージ 総合成績を決定づける逃げにダミアン・モニエ(ブリヂストンアンカー)やトマ・ルバ(キナンサイクリングチーム)、サルバドール・グアルディオラ(チーム右京)が乗る photo:Syunsuke FUKUMITSU
山間の中に韓国らしさ溢れる建物も山間の中に韓国らしさ溢れる建物も (c)Tour de Korea
最長216.9kmで争われた第1ステージは、スタート後20kmを過ぎたタイミングでの韓国選手のアタックにジャイ・クロフォード(キナンサイクリングチーム)とダミアン・モニエ(ブリヂストンアンカー)含む4人がジョインし、5選手による逃げが形成された。

残り10km地点でこれらの逃げがすべて吸収されると、ゴールスプリントに向けてNIPPOヴィーニファンティーニが先頭でトレインを組む。そこから発射されたニコラス・マリーニ(NIPPOヴィーニファンティーニ)が集団の先頭でスプリントを開始するも、プロトンの右側から単騎で追い上げたジョン・アベラストゥリ(チーム右京)が圧倒的なスピードで後続を突き放し勝利を飾っている。

第2ステージでは決定的な逃げとなった序盤の飛び出しにダミアン・モニエ(ブリヂストンアンカー)とトマ・ルバ(キナンサイクリングチーム)が反応し5人のグループで先行。そこに初山翔(ブリヂストンアンカー)やサルバドール・グアルディオラ(チーム右京)含む9人がジョインし、結果的にこの集団が勝ち逃げとなることに。残り6km地点でそこから単独でアタックしたミン・キョンホ(韓国、ソウルサイクリングチーム)が逃げ切り総合首位に躍り出た。

第1ステージに続き第4ステージも制したジョン・アベラストゥリ(チーム右京)第1ステージに続き第4ステージも制したジョン・アベラストゥリ(チーム右京) (c)Tour de Korea
平坦基調の第3ステージは中盤にできた5名の逃げにジャイ・クロフォードと鈴木龍(ブリヂストンアンカー)が入り、中間スプリントポイントをそれぞれ鈴木が1位、ジャイが2位で通過。ボーナスポイントを獲得し総合順位をアップさせることに成功した。ゴール手前で逃げを吸収し、セオリー通りのゴールスプリントをトラック競技スペシャリストのスコット・サンダーランド(オーストラリア、アイソウェイスポーツ・スイスウェルネス)が制している。

大会最後の山岳コースとなる第4ステージは登りで集団が割れ、最終的に先頭集団に残った50名ほどのスプリントに。最終局面まで人数を残したNIPPOヴィーニファンティーニやウィリエール・トリエスティーナがトレインを組むも、誰も並ぶことができない猛烈なスピードを披露したジョン・アベラストゥリが大会2勝目を上げている。

出走サインを行うトマ・ルバ(キナンサイクリングチーム)出走サインを行うトマ・ルバ(キナンサイクリングチーム) photo:Syunsuke FUKUMITSU第5ステージ 6名の逃げを牽引する小石祐馬(NIPPOヴィーニファンティーニ)第5ステージ 6名の逃げを牽引する小石祐馬(NIPPOヴィーニファンティーニ) (c)Tour de Korea
第5ステージ 首都ソウルの街中をプロトンが行く第5ステージ 首都ソウルの街中をプロトンが行く (c)Tour de Korea
65kmの平坦ショートステージであり、最後は5kmの周回を4周するレイアウトの最終日第5ステージは、高速レースとなり逃げグループもすぐに吸収されてしまう。中間スプリントポイントを狙って様々な選手がアタックを仕掛けるも、結局最後は一つの大きな集団でゴール前へ。高速スプリントで縦に大きく伸びた集団の先頭をブレントン・ジョーンズ(オーストラリア、JLTコンドール)が獲り勝利を収めた。

結果的に第2ステージで逃げ切り、その後のステージも危なげなく先頭集団でゴールしていたミン・キョンホが嬉しい自国での個人総合優勝を達成。同じく第2ステージで逃げ切ったダミアン、トマ、サルバドール、初山の4選手が総合トップ10入りで終えている。

また、ステージ2勝を上げたジョンがポイント賞3位に、積極的に逃げに乗ったサルバドールとトマがそれぞれ山岳賞の2位と3位に、チーム総合2位にキナンサイクリングチームが入った。

個人総合優勝は地元韓国のミン・キョンホ(ソウルサイクリングチーム)個人総合優勝は地元韓国のミン・キョンホ(ソウルサイクリングチーム) (c)Tour de Korea
山岳賞は2位にサルバドール・グアルディオラ(チーム右京)、3位にトマ・ルバ(キナンサイクリングチーム)が入る山岳賞は2位にサルバドール・グアルディオラ(チーム右京)、3位にトマ・ルバ(キナンサイクリングチーム)が入る (c)Tour de Koreaチーム総合2位に入ったキナンサイクリングチームチーム総合2位に入ったキナンサイクリングチーム (c)Tour de Korea

ブリヂストンアンカー 水谷監督コメント
「選手みなが、やれることを確実に行いました。総合優勝にも手が届く位置取りで走りましたが、最終日の勝負に負けたという感じです。振り返れば、第2ステージで(初山)翔が大事な追撃に的確に乗り、ダミアン(モニエ)が前半に取ったボーナスポイントが最後までモノを言いました。鈴木龍も第3ステージでスプリントポイントを獲ったことで、ダミアンの総合順位をサポートした形になった。

また、第4ステージでは(大久保)陣と堀(孝明)が積極的にチームのサポートに動きましたし、そういった伝心の動きで必要以上に『無駄脚』を使うこともなかった。チームとした全体の動きを、頼もしく感じています。来週の全日本選手権では、この動きで最高の走りを見せてもらいたいものです。」

キナンサイクリングチーム 中島康晴コメント
「落車やパンクの影響もあり、あまりチームに貢献できず申し訳ない。ただ、チームとして雨乞と(中西)健児の走りが大収穫で、それがとてもうれしい。雨乞は経験が少ないとはいえ、大きな選手たちともよい勝負ができていたし、実力は十分にあることを証明した。あとは僕たちがフォローできれば結果につながるはず。健児については、アタックや上りで前を狙ってくれて頼もしかった。この2人こそ今大会のMVPにふさわしいと思っているし、次につながる素晴らしいレースになった。」

それぞれチーム公式ブログより
ツール・ド・コリア2017結果
個人総合成績
1位 ミン・キョンホ(韓国、ソウルサイクリングチーム) 17時間47分46秒
2位 エドウィン・アビラ(コロンビア、チームイルミネイト) +7秒
3位 エフゲニー・ギディッチ(カザフスタン、ヴィノ・アスタナモータース) +8秒
4位 イアン・ビビー(イギリス、JLTコンドール) +13秒
5位 ダミアン・モニエ(フランス、ブリヂストンアンカー)
6位 アルベルト・チェッキン(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ) +14秒
7位 トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム)
8位 ワン・ヤウ・ラウ(香港ナショナルチーム)
9位 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、チーム右京)
10位 初山翔(ブリヂストンアンカー)
ポイント賞
1位 エドウィン・アビラ(コロンビア、チームイルミネイト) 44pt
2位 スコット・サンダーランド(オーストラリア、アイソウェイスポーツ・スイスウェルネス) 41pt
3位 ジョン・アベラストゥリ(スペイン、チーム右京) 40pt
山岳賞
1位 ヤコポ・モスカ(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ) 26pt
2位 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、チーム右京) 18pt
3位 トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム) 14pt
チーム総合成績
1位 ウィリエール・トリエスティーナ 53時間25分42秒
2位 キナンサイクリングチーム +2分
3位 香港ナショナルチーム +2分
text:Yuto.Murata

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