スペインのウィメンズチーム「ビスカヤ・ドゥランゴ」に在籍している吉川美穂が、スペインカップ第7戦で勝利。非UCIレースながらヨーロッパ初勝利であり、「落車続きの中、少し自信を取り戻す事ができた」と語っている。



圧倒的なスプリントで勝利した吉川美穂(ビスカヤ・ドゥランゴ)圧倒的なスプリントで勝利した吉川美穂(ビスカヤ・ドゥランゴ) (c)Bizkaia-Durango
吉川が勝利したのはスペイン、サラゴサ付近のカスペで開催されたスペインカップ第7戦のトロフェオ・フェミナス・シウダ・カスぺ(カスぺ・シティ・レディース・トロフィー)。スペイン車連が主催し、伝統あるプロチームを保有する金融機関コフィディスがスポンサーを務めており、小さなアップダウンが続く周回コースを計103kmで争われた。

気温35度と高温下でのレースだったものの、「チームは気温の高いレースが得意なのでチャンスと思っていた」と監督が振り返るように、ビスカヤ・ドゥランゴは積極的に攻撃を重ねることとなる。

序盤には吉川のチームメイトであるベラ・アドリアンともう一選手が逃げを決める。その後、中盤に同じくビスカヤのルルド・オヤルビデ(スペイン)とカルラ・ホーべルホルツァー(南アフリカ)を含む4名が2人の逃げに合流し、メンバーは6名に。登りでルルドとカルラがアタックし新たな逃げを成功させるも、ライバルであるロインテックチームが逃げを許さず、終盤に吸収されレースは振り出しに戻った。

激しいレース展開中に一選手が落車で病院に搬送され、レースは一時中断となるも、最終盤まで逃げが頻発し予断を許さない展開に。しかしビスカヤが全ての逃げを飲み込み、最終的には40名ほどの集団スプリントで後続を大きく引き離した吉川が勝利。スペインカップでのチームランキングアップにも貢献した。

スペインカップ第7戦表彰台。吉川美穂(ビスカヤ・ドゥランゴ)が中央に立つスペインカップ第7戦表彰台。吉川美穂(ビスカヤ・ドゥランゴ)が中央に立つ (c)RFEC
「やっと勝てた、と思いました」と語る吉川は、ヨーロッパ初戦のフランドルで落車リタイアに。翌日のレースでも二度の落車で手首を捻挫し、5月中旬まで引きずり、その後のワールドツアーも全てDNF。回復後にもまた落車と、国内に戻った際には勝利できたものの、ヨーロッパでは苦しいシーズンを送っていたという。

スペインカップのチーム総合成績で首位に立ったビスカヤ・ドゥランゴスペインカップのチーム総合成績で首位に立ったビスカヤ・ドゥランゴ (c)RFEC「そんな中で今回スペインで勝てたのは嬉しく思います。ルルドとベラの逃げは最高で、正直このまま行ってくれ。と願っていましたが‥。今回のスプリントで少し自信を取り戻す事が出来たように思います。まだまだ調子が良いとは言えない状況ですが、自分の長所を発揮出来るように、これからも日々努力、精進あるのみ。次はUCIレースで勝ちたいですね。今後も応援よろしくお願い致します」。

以下はアグルツァーネ・エロリアーガ監督のコメント。「ベラ・アドリアンが山岳賞を獲得し、チーム総合ランクでも優勝。スペインカップでは、うちのチームのマビ・ガルシアが個人リーダー、そしてチームもランキングトップ。今日のミホの勝利が大いにチームランクアップに貢献してくれました。ミホはツール・ド・フランドルやその後のレースで不運な落車に見舞われましたが、遂に彼女の本領が発揮された形でうれしい限りです。最高のレースになりました。ミホはまだまだうれしい驚きを提供してくれると信じています」

トロフェオ・フェミナス・シウダ・カスぺ 吉川美穂のゴール(from RFEC Facebook)