総合争いを占う上で重要な個人タイムトライアルとなった第4ステージでリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)が躍進。世界王者のトニー・マルティン(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)に12秒差を付けステージ優勝を飾るとともに総合ジャージへ詰め寄った。



ステージ優勝を果たしたリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)ステージ優勝を果たしたリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) (c)ASO/A.Broadway
ラ・トゥール=デュ=パンからブルゴワン=ジャイユーまでの23.5kmで行われたクリテリウム・デュ・ドーフィネ2017第4ステージ。序盤と中盤にある二つの丘を越えつつ、全体的には下り基調となる個人タイムトライアルが行われた。

この日最初にフィニッシュラインを割ったのは、第1出走者のアレクセイ・サラモティンス(ラトビア、ボーラ・ハンスグローエ)を抜いて31分29秒でフィニッシュした別府史之(トレック・セガフレード)だった。そして、シリル・レモーニ(フランス、コフィディス)がこの日初めて30分を切る。

ステージ2位 トニー・マルティン(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)ステージ2位 トニー・マルティン(ドイツ、カチューシャ・アルペシン) (c)ASO/A.Broadway
ステージ7位 アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)ステージ7位 アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) (c)ASO/A.Broadwayステージ8位 クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)ステージ8位 クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) (c)ASO/A.Broadway

ステージ4位 スタフ・クレメント(オランダ、ロットNLユンボ)ステージ4位 スタフ・クレメント(オランダ、ロットNLユンボ) photo:CorVos
続いて気を吐いたのは南アフリカTT王者であるダリル・インピー(オリカ・スコット)。29分を切らんとする快速で走り抜け、リエージュ~バストーニュ~リエージュでの落車による骨折からの回復を証明して見せた。そして、大きく記録を塗り替えたのは、アルカンシエルに身を包むトニー・マルティン(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)。

28分19秒という圧倒的なタイムでホットシートを奪い取ったマルティンの記録に総合勢が挑む展開に。そこでリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)が気迫のこもった走りを見せた。13km地点の中間計測ポイントでは、マルティンに対して2秒遅れていたが、後半の下り基調の区間でペースを上げることに成功。平均時速が50kmを超えるパフォーマンスを発揮し、ホットシートを獲得した。

ステージ優勝を果たしたリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)ステージ優勝を果たしたリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) (c)ASO/A.Broadway
イエロージャージを守り切ったトマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)イエロージャージを守り切ったトマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) photo:CorVosステージ優勝と共に総合成績もジャンプアップしたリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)ステージ優勝と共に総合成績もジャンプアップしたリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) photo:CorVos


その後、クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)やアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)が好走するも及ばず、ポートがホットシートを守り切った。総合首位のトマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)に対して42秒差を詰めることに成功したポートは、総合成績でも27秒差の2位に浮上。一気に総合有力候補へと名乗りを上げた。

「このステージで勝てるだなんて、全く予想していなかった。でも、今年はタイムトライアルに力を入れてきたから、努力が報われてとても嬉しい。」とポート。「タイムトライアルでライバル達に勝てたということは、すぐそこに迫っているツールへ向けて、とても大きな自信になった。サポートしてくれるチームの皆のためにも、今年のツールではいい結果を残したいね」と来たるツール・ド・フランスへの展望を語った。

一方、イエロージャージを守り抜いたデヘントは「今日はかなり脚の調子も良かったから全力で踏み続けた。前走者のアクセル・ドモンを中間計測地点でとらえることが出来たから、かなり集中して走ることができたのは良かったね。まだポートに対しては30秒ほどのリードがある。あと一日はこのジャージを着続けられるはずだ」と期待を覗かせた。

クリテリウム・デュ・ドーフィネ2017第4ステージ
ステージ結果
1位 リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) 28’07”
2位 トニー・マルティン(ドイツ、カチューシャ・アルペシン) +12”
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +24”
4位 スタフ・クレメント(オランダ、ロットNLユンボ) +28”
5位 チャド・ハガ(アメリカ、サンウェブ) +32”
6位 ヤシャ・ズッタリン(ドイツ、モビスター)
7位 アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) +35”
8位 クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) +37”
9位 トマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) +42”
10位 ブレント・ブックウォルター(アメリカ、BMCレーシング) +45”
個人総合成績
1位 トマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) 13h05’53”
2位 リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) +27”
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +51”
4位 スタフ・クレメント(オランダ、ロットNLユンボ) +55”
5位 アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) +1’02”
6位 クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) +1’04”
7位 ブレント・ブックウォルター(アメリカ、BMCレーシング) +1’12”
8位 ヘスス・エラダ(スペイン、モビスター) +1’15”
9位 サム・オーメン(オランダ、サンウェブ) +1’17”
10位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) +1’22”
ポイント賞
1位 アルノー・デマール(フランス、エフデジ) 37pts
2位 ソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ) 32pts
3位 トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) 27pts
山岳賞
1位 トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) 17pts
2位 クーン・ボウマン(オランダ、ロットNLユンボ) 14pts
3位 ロメン・コンボー(フランス、デルコ・マルセイユKTM) 6pts
新人賞
1位 サム・オーメン(オランダ、サンウェブ) 13h07’10”
2位 ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール・ラモンディアール) +07”
3位 サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) +13”
チーム総合成績
1位 モビスター 39h20'44"
2位 BMCレーシング +05"
3位 ロット・ソウダル +25"
text:Naoki.Yasuoka
photo:CorVos、ASO/A.Broadway

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