ノルウェー建国記念日、そして自身30回目の誕生日である開幕初日に勝利したノルウェー王者エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ディメンションデータ)が、一度失った総合首位を最終日に取り戻してツアー・オブ・ノルウェー逆転優勝を飾った。



ジロ・デ・イタリア第2週目にあたる5月17日から21日の5日間にかけて、北欧ノルウェーでは同国最大規模のステージレース「ツアー・オブ・ノルウェー」(UCI2.HC)が開催された。

第1ステージ 登りスプリントで圧勝したエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)第1ステージ 登りスプリントで圧勝したエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) (c)www.tourofnorway.com第2ステージ 大集団スプリントで勝利したディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)第2ステージ 大集団スプリントで勝利したディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ) (c)www.tourofnorway.com


数々の変遷を遂げてきた同大会だが、HCカテゴリーに格上げされた2014年以降は北欧最大規模のステージレースとして定着しており、今年は南部の街・ベルゲンで世界選手権を迎える同国だけにその盛り上がりは大きなもの。今年も同国のスター選手であるエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)や、前回総合覇者ピーター・ウェーニング(オランダ、ルームポット・ネデランセロテリ)らを筆頭に21チームから125名(1チーム6名編成)がスタートラインに並んだ。

昨年に登場した険しい山岳地帯はレースから取り除かれたため、スプリント力のあるパンチャーや、登れるスプリンターにも総合優勝のチャンスがある。つまり総合争いは僅差となる可能性が高く、イエロージャージを獲得するためにはボーナスタイムも無視できない。

第1ステージは登坂スプリントに持ち込まれ、逃げるトッシュ・ヴァンデルサンド(ベルギー、ロット・ソウダル)をキャッチしたボアッソンハーゲンが優勝してリーダージャージを獲得。ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)が勝利した第2ステージにも3位に入り首位キープに成功する。

第3ステージ 独走でフィニッシュするピーター・ウェーニング(オランダ、ルームポット・ネデランセロテリ)第3ステージ 独走でフィニッシュするピーター・ウェーニング(オランダ、ルームポット・ネデランセロテリ) (c)www.tourofnorway.com第3ステージ 総合首位に立ったピーター・ウェーニング(オランダ、ルームポット・ネデランセロテリ)第3ステージ 総合首位に立ったピーター・ウェーニング(オランダ、ルームポット・ネデランセロテリ) (c)www.tourofnorway.com

第4ステージ ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)がステージ2勝目第4ステージ ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)がステージ2勝目 (c)www.tourofnorway.com
しかし、登坂を含む周回コースでステージ終盤を争った第3ステージでは総合順位変動が発生する。アタック合戦の末に6名にまで絞られた有力勢グループからウェーニングが独走すると、後手に回ったボアッソンハーゲンも追走するも失敗。連勝に向けて発進したウェーニングはそのまま逃げ切り勝利を掴み首位に立ったものの、そのリードは僅か数秒のみ。パワーのあるボアッソンハーゲンやサイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・スコット)、トッシュ・ヴァンデルサンド(ベルギー、ロット・ソウダル)が相手、加えて残る2ステージでスプリントが見込まれていたため、防衛はあまりにも分が悪かった。

翌日はオランダ王者フルーネウェーヘンが2勝目を飾り、2位に入ったボアッソンハーゲンは4秒を獲得。さらにウェーニングはゴール前で中切れの被害に遭ったことで、総合2位ボアッソン、同3位ゲランスとの総合タイム差は共に3秒。ボーナスタイムでの逆転が十分に可能な範囲であり、様々な思惑を秘めつつ最終日を迎えた。

首都オスロへゴールする153kmの最終ステージは、ディメンションデータやオリカ・スコットがボーナスタイムを潰す可能性のある逃げを徹底的に潰してコントロールを行う。しかし順当にスプリントに向かう最中、集団内ではボアッソンハーゲンとチームメイトのマクセブ・ドゥバサイ(エリトリア)が残り12kmでまさかの落車を喫してしまう。

第5ステージ 2勝目、そして総合優勝を決めるステージ勝利を挙げたエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)第5ステージ 2勝目、そして総合優勝を決めるステージ勝利を挙げたエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) (c)www.tourofnorway.com
バイク交換に時間を要したボアッソンハーゲンはあえなく脱落、と思いきや、ゲランスはライバルの不運に付け入ることなく集団のスピードを落とすことを選択。ウェーニングも同調し、ボアッソンハーゲンの復帰を確認すると、ゴールに向けて再びテンポを速めた。

キャノンデール・ドラパックやロット・ソウダルの登坂アタックはシャットアウトされ、迎えた集団スプリントではゲランスを抑えてボアッソンハーゲンが2勝目を達成。ボーナスタイム10秒を得て、逆転総合優勝を決めるガッツポーズをノルウェー大応援団の前で繰り出した。

総合優勝に輝いたエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)総合優勝に輝いたエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) (c)www.tourofnorway.com
ナショナルチャンピオンジャージをまとい、ノルウェーの建国記念日&自身30回目に開催された第1ステージで優勝、そして最終日に2勝目&逆転総合優勝という、ドラマ顔負けの筋書きでヒーローとなったボアッソンハーゲン。「焦って馬鹿げた落車をしてしまったが、終盤にも関わらず復帰を待ってくれたライバルたちに感謝したい。大観衆の自国ファンの前で拳を突き上げた瞬間は最高だった。今シーズンは勝利数が少なかったので、励みになった。次に繋げていきたい」と語っており、ノルウェー国内で24日から開幕するツール・ド・フィヨルド(UCI2.1)や、その先に控えるツール・ド・フランスに向けて意気込んだ。



ツアー・オブ・ノルウェー2017結果
第1ステージ 5月17日 ヘーネフォス〜アスケー(169.4km)

1位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) 4h14’01”
2位 トッシュ・ヴァンデルサンド(ベルギー、ロット・ソウダル)
3位 サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・スコット)
4位 オーギュスト・ジェンセン(ノルウェー、チームコープ)
5位 サンデル・アルメ(ベルギー、ロット・ソウダル)

第2ステージ 5月18日 エイズボル〜ブリュマンダル(194km)
1位 ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)       4h49’53”
2位 クリストファー・ハルヴォルセン(ノルウェー、ジョーカー・アイコパル)
3位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)
4位 トム・ヴァンアスブロック(ベルギー、キャノンデール・ドラパック)
5位 アンドレ・ローイ(オランダ、ルームポット・ネデランセロテリ)

第3ステージ 5月19日 ハーマル〜リレハンメル(192km)
1位 ピーター・ウェーニング(オランダ、ルームポット・ネデランセロテリ)  4h37’13”
2位 サンデル・アルメ(ベルギー、ロット・ソウダル)              +02”
3位 サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・スコット)          +04”
4位 アンドレアス・ヴァングスタッド(ノルウェー、チームスパレバンケン)    +07”
5位 アレクサンドル・カンプ(デンマーク、チームヴェロコンセプト)

第4ステージ 5月20日 リレストレム〜サルプスボルグ(192km)
1位 ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)       4h26’43”
2位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)
3位 オーギュスト・ジェンセン(ノルウェー、チームコープ)
4位 サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・スコット)
5位 トッシュ・ヴァンデルサンド(ベルギー、ロット・ソウダル)

第5ステージ 5月21日 モス〜オスロ(153km)
1位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) 3h31’44”
2位 サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・スコット)
3位 トッシュ・ヴァンデルサンド(ベルギー、ロット・ソウダル)
4位 パトリック・ベヴィン(ニュージーランド、キャノンデール・ドラパック)
5位 オーギュスト・ジェンセン(ノルウェー、チームコープ)

個人総合成績
1位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) 21h39’20”
2位 サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・スコット)           +04”
3位 ピーター・ウェーニング(オランダ、ルームポット・ネデランセロテリ)     +10”
4位 サンデル・アルメ(ベルギー、ロット・ソウダル)               +16”
5位 オーギュスト・ジェンセン(ノルウェー、チームコープ)            +17”

ポイント賞:エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) 
山岳賞:プレベン・ヴァンヘッケ(ベルギー、スポートフラーンデレン)
ヤングライダー賞:トビアス・フォス(ノルウェー、ジョーカー・アイコパル)
チーム総合成績:ロット・ソウダル

text:So.Isobe