アメリカンブランド御三家の一角を成すキャノンデールが誇るオールラウンドレーシングバイクSUPERSIX EVO。フルモデルチェンジを果たしたセカンドグレード「SUPERSIX EVO CARBON」をインプレッションした。



キャノンデール SUPERSIX EVO CARBON ULTEGRAキャノンデール SUPERSIX EVO CARBON ULTEGRA photo:MakotoAYANO/cyclowired.jp
アメリカ3大バイクメーカーの一つであるキャノンデール。他のアメリカンブランドと同じようにマウンテンバイクに起源を持ち、アルミバイクの先駆者として名を馳せてきた。アルミロードのフラッグシップ「CAAD12」に受け継がれる"カーボンキラー"たる乗り味は多くのファンを有しているが、もちろん現在同社のフラッグシップを張るのはフルカーボンバイクの「SUPERSIX」。ロードレーサー中のロードレーサーとして長く愛されてきたオールラウンドモデルだ。

SUPERSIXの初登場は2007年に遡る。登場当時からトッププロチームであるチームリクイガス(現キャノンデール・ドラパック)によってレースシーンへ投入され、2009年には「SUPERSIX Hi-MOD」としてリニューアル。翌年2010年には同バイクを駆ったイヴァン・バッソがジロ・デ・イタリアを、ヴィンツェンツォ・ニーバリがブエルタ・ア・エスパーニャを制覇し、同チームによる1年に2度のグランツール制覇という偉業を成し遂げた。

細身のシートステーは快適性に貢献細身のシートステーは快適性に貢献 BB30Aにアップデートされ、より高いパワー伝達率を実現するBB30Aにアップデートされ、より高いパワー伝達率を実現する バリステックカーボンにより軽量かつ高剛性に仕上がったフロントフォークバリステックカーボンにより軽量かつ高剛性に仕上がったフロントフォーク


2011年にはSUPERSIX EVOとしてリニューアルし、塗装済みフレームサイズ560mmで695gという驚異の重量を記録し一世を風靡。この時のインパクトで「SUPERSIX EVO」=超軽量バイクと刷り込まれた方は多いだろう。ツール・ド・フランスにおいてはペーター・サガン(スロバキア)の3年連続マイヨヴェール獲得に貢献した翌年には、SUPERSIX EVO Hi-MODとして再びモデルチェンジ。性能バランスを見直したことで総合力を高め、現在はキャノンデール・ドラパックの選手たちの走りを支えている。

今回紹介するのはそんな「SUPERSIX EVO」シリーズに、フルモデルチェンジを果たしたセカンドグレード「SUPERSIX EVO CARBON」だ。上位Hi-MODモデルからカーボン素材を変更し価格を抑えながらも、共通のフレーム形状やテクノロジーを採用することで肉薄する性能を獲得している。

美しく仕上げられた集合部美しく仕上げられた集合部 ブレーキワイヤーはオーソドックスにヘッドチューブから内蔵されるブレーキワイヤーはオーソドックスにヘッドチューブから内蔵される マイクロサスペンションシステムである「SPEED SAVE」のロゴが入るマイクロサスペンションシステムである「SPEED SAVE」のロゴが入る トータル設計によりアッセンブルされるSiクランクトータル設計によりアッセンブルされるSiクランク


フレーム全体にはキャノンデールが誇る「バリステックカーボン」テクノロジーを採用。カーボングレードを変更しながらも、カーボンシートを側面に貼り増しすることで最適な剛性バランスを実現した。これにより、フレーム単体で200g強という重量増の替わりに、ヘッドチューブで95N/deg、BBで61N/mmとHi-MODを数%上回る剛性値をマークしている。

パワートレインの要となるBBは、同社が開発したBB30をアップデートしたBB30A。ボトムブラケットの横幅を5mm広げ、強度を持たせたことでパワー伝達効率を同社旧モデルよりも11%向上することに成功している。これによりライダーの力を余すことなく推進力に変えると共に、BBシェル内部に肉抜きを施すことで重量増を防いでいる。

統合設計思想のシステムインテグレーションを示すロゴ統合設計思想のシステムインテグレーションを示すロゴ 大口径ダウンチューブには大きくキャノンデールロゴが入る大口径ダウンチューブには大きくキャノンデールロゴが入る


チェーンステーとフロントフォークには「SPEED SAVE」と呼ばれるサスペンションテクノロジーが導入されている。カーボンのレイアップを調整することで柔軟性を持たせ、路面からの不快な微振動を和らげることで快適性を高めると同時に路面追従性を向上させ、コーナリングやブレーキング時の安定感を向上させた。

シートチューブはやや縦にしなるよう設計されており、シッティング時の快適性はなんと36%も向上している。またシートポストには25.4mmと細身の物を使用ししならせることで、快適性を高めている。またロードバイクとしてスタンダードなフレーム形状でありながら、各チューブは「TAP」と呼ばれる緻密なエアロ形状を採用。軽さ、高剛性、振動吸収性はそのままに空気抵抗軽減をも実現しているのだ。

システムインテグレーション(Si)と言われる主要コンポーネントを統合したパッケージとして開発する同社独自の設計思想はこのSUPERSIX EVO CARBONにも受け継がれており、クランクやシートポストも専用品を投入するすることで他社競合製品よりバイク全体で100g単位の軽量化を実現している。

フレア形状により振動吸収性を向上させるシートチューブフレア形状により振動吸収性を向上させるシートチューブ 25.4mmと他社より細身のシートポスト25.4mmと他社より細身のシートポスト 上下異形のヘッド規格を採用する上下異形のヘッド規格を採用する


Di2ケーブルの内装にも対応しており、将来的に電動コンポーネントをインストールしてもすっきりとした外見を維持することが可能である。シマノアルテグラのコンポーネントにマヴィックのアクシウムホイールをアッセンブルした充実のパッケージでありながら270,000円(税抜)というプライスも魅力的だ。

軽量なフレーム重量から、山の多い日本国内おいてもホビーユーザーに人気の高い同バイク。コストパフォーマンスの高い「SUPERSIX EVO CARBON ULTEGRA」にインプレライダーはどのような評価を下すのであろうか。ではインプレッションに移ろう。



ー インプレッション

「まさにオールマイティースタンダードと呼べる1台」山本朋貴(ストラーダバイシクルズ)

上位モデルのSUPERSIX EVO Hi-MODの乗り味を引き継いだ、バランス良い走りができる1台です。ゼロ発進やアタックの時に感じる、Hi-MODならではの「パンッ」という乾いた加速感こそ薄いのですが、スピードが乗ってしまうとその違いはほとんど感じません。上位モデルと比べフレームの硬さが和らいだ分、優しい乗り味で脚への負担も少なく感じます。

「まさにオールマイティースタンダードと呼べる1台」山本朋貴(ストラーダバイシクルズ)「まさにオールマイティースタンダードと呼べる1台」山本朋貴(ストラーダバイシクルズ)
メーカー曰くフレームの剛性比率がHi-MODとほぼ同じということで、単純にフレーム重量の差が加速感の違いに表れているのかもしれません。斜度のキツい登りなど、低速でのひと踏みの加速感は多少遅れるのですが、勾配が緩やかな場合にはバイクのしなりによって、踏み込みと同期してくれるかのようにスピードが伸びてくれます。脚への反発は少ないため、ロングライドでも気持ちよく走りきることができるでしょうね。

ハンドリングは非常にニュートラルで、どこにも不安は感じません。コーナリング性能はそれこそHi-MODそっくりで、ハイスピードな下りでも曲がる方向に体を入れた時には素直に切れ込んでくれるため、高速域でバタついたり、アンダーステアリングに悩むこともありませんでした。

全体的にはとても良くまとまっているパッケージングですが、強いて変更を加えるとするならば、シートポストとホイールでしょう。たとえばシートポストをキャノンデールのSAVEカーボンシートポストに交換すれば路面からの振動をよりカットし、上質な乗り味にしてくれるしょう。ホイールは少し硬めで軽量なものに交換することで、エリートカテゴリーのレースでも勝負出来る戦闘力を手に入れる事ができると思います。

フレーム自体の性能が高くどんなシチュエーションにも対応してくれるため、基本はロングライドメインでたまにホビーレースにも出てみたい、だからエンデュランスバイクよりは少しレーシーなものが欲しい...。そんな欲張りなホビーライダーにお勧めです。とてもナチュラルな乗り味ですから、初めてのロードバイクとしても、乗り換えで選択しても間違いありません。

「これぞ王道、ロードバイクらしさを体現する1台」佐藤淳(カミハギサイクル)

「これぞ王道、ロードバイクらしさを体現する1台」佐藤淳(カミハギサイクル)「これぞ王道、ロードバイクらしさを体現する1台」佐藤淳(カミハギサイクル) 車体全体のバランスが良く、レースでもロングライドでもオールラウンドに使えます。これこそ王道といった仕上がりで、癖の無いロードバイクならではの反応性の良さが持ち味。ミドルグレードながら全体の完成度は非常に高く、どのシチュエーションにおいても不満のない走りを見せてくれることでしょう。

フレームの性格としては、どんなペダリングでもしっかり反応してくれる懐の深さが特徴でしょう。軽いギアを回しても、高トルクで踏み込んでもバタついたり、フレームが逃げるようなこともありません。走り方のスタイルが定まってない乗り始めたばかりの方でもスポーツバイクを駆るピュアな楽しさが分かりやすい。

カーボンフレーム特有の振動吸収性をきちんと活かしていますし、特に不快に感じやすい細かな振動をマイルドにしてくれる印象を受けました。もちろん、快適性を売りにしているエンデュランスモデルと比較すれば不利ですが、荒れた路面等を好んで走らない限り問題ありません。ロングライドに使用しても極端に疲れが溜まってしまう心配も皆無でしょう。

ハンドリングはオーソドックスなフレーム形状によるところもあってか、ニュートラルで扱いやすい味付けがされています。フレーム重量はトップモデルのHi-MODほどではありませんが、各社ミドルグレードの中では十分軽量の部類に入るので、ヒルクライムでも武器になるバイクだと思います。クリテリウムやエンデューロのアタックが連続する場面でも反応しやすいことはもちろん、脚を残せる絶妙な塩梅だと感じます。

ロードバイクらしい軽快感が味わえますし、どこにでも走りに行きたくなる、そんなフレームではないでしょうか。レースユースにも問題なく使える性能を持ちながら、完成車27万円というプライスは素晴らしいの一言です。

キャノンデール SUPERSIX EVO CARBON ULTEGRAキャノンデール SUPERSIX EVO CARBON ULTEGRA photo:MakotoAYANO/cyclowired.jp
キャノンデール SUPERSIX EVO CARBON(アルテグラ完成車)
フレーム・フォーク:バリステックカーボンSPEED SAVE
ハンドル・ステム・シートポスト:Cannondale C3
サイズ:44、48、50、52、54、56
カラー:ACID RED、TEAM COLOR
メインコンポーネント:シマノ アルテグラ
ホイール:マヴィック アクシウム
価格:270,000円(税抜)



インプレッションライダーのプロフィール

山本朋貴(ストラーダバイシクルズ滋賀本店)山本朋貴(ストラーダバイシクルズ滋賀本店) 山本朋貴(ストラーダバイシクルズ滋賀本店)

滋賀県草津市にあるストラーダバイシクルズ滋賀本店の店長。2011、2012年の全日本マウンテンバイク選手権クロスカントリーマスタークラスチャンピオン。ストイックに自転車競技に取り組んできたが、ストラーダに入社後は、ビギナーライダーのライド初体験の笑顔に魅せられエントリーのお客様にバイクの楽しさを伝えることが楽しみ。最近はトライアスロンに挑戦中。

ストラーダバイシクルズ滋賀本店(CWレコメンドショップ)
ストラーダバイシクルズHP



佐藤淳(カミハギサイクル)佐藤淳(カミハギサイクル) 佐藤淳(カミハギサイクル FIT&RIDE STORE)

愛知県豊山町に店舗を構えるカミハギサイクルのスペシャライズド専門店「FIT&RIDE STORE」にて、メカニックから接客まで幅広く担当する。自転車にのめり込んだきっかけは何の気なしに購入したMTB。購入後すぐに3日間のツーリングで550kmを走り切ったことでその道に進んだロングライド派。常にビギナー目線での接客を心掛け、対話の中からお客様の本当に求めているものを探り、提案していくことを心がけている。

CWレコメンドショップページ(緑店)
CWレコメンドショップページ(小牧本店)

ウェア協力:Rapha

text:Kosuke.Kamata
photo:Makoto.AYANO
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