いわて国体の自転車競技最終日はロードレース。成年男子は、終盤のチームプレーで山梨の武山晃輔が優勝。少年男子は、僅差のスプリント勝負を制した広島の大町健斗が優勝した。



国体に合わせて植えられたコスモスがコースを彩る国体に合わせて植えられたコスモスがコースを彩る photo:Satoru.Kato
10月5日から岩手県紫波町で開催されてきた、いわて国体の自転車競技。最終日となる5日目は、場所を自転車競技場の外に移してのロードレースだ。

紫波運動公園をパレードスタートし、紫波町の中心街から南東部にある周回コースに入るとリアルスタートとなる。1周13.4kmの周回コースは、高低差およそ100m。コースのおよそ半分を占める県道部分は平坦基調だが、アップダウンが繰り返される区間では車1台分ほどの道幅しかない場所もある。ラスト100mは、スプリントするには辛い微妙な斜度の登り。これが成年、少年共に勝負に影響を与えた。

スタートの紫波運動公園にも多くの観客が集まったスタートの紫波運動公園にも多くの観客が集まった photo:Satoru.Kato小雨まじりの天気だったが、一瞬青空が見えた小雨まじりの天気だったが、一瞬青空が見えた photo:Satoru.Kato

コースの沿道にはぶどうやりんご畑コースの沿道にはぶどうやりんご畑 photo:Satoru.Katoゴールまでの登りは、スプリントするにはつらい斜度ゴールまでの登りは、スプリントするにはつらい斜度 photo:Satoru.Kato


当日の天気は曇り。時々晴れ間が出てきたかと思ったら小雨が降ってるという不安定な天気。最高気温が18℃にも届かない日ではあったが、国体という事もあって多くの観客が集まった。

成年男子 山梨の武山晃輔が優勝

男子エリートとアンダー23に相当する成年男子は、周回コースを9周半する130.8km。リアルスタートと共にアタックがかかり、橋本英也(岐阜、NIPPO RACING PROJECT)、金田聡士(鳥取、朝日大)の2人が抜け出す。2周目には草場啓吾(京都、日本大)、野本空(愛媛、明治大)、湊諒(青森、シマノレーシング)の3人が合流し、5人の逃げ集団が形成される。メイン集団との差は1分以上まで広がるものの、この逃げは4周目までに吸収される。

成年男子 レース序盤に形成された5人の逃げ成年男子 レース序盤に形成された5人の逃げ photo:Satoru.Kato成年男子 4周目に逃げが吸収されて集団はひとつに成年男子 4周目に逃げが吸収されて集団はひとつに photo:Satoru.Kato

成年男子6周目 山本大喜(奈良)を先頭に逃げを追うメイン集団成年男子6周目 山本大喜(奈良)を先頭に逃げを追うメイン集団 photo:Satoru.Kato成年男子8周目 単独で飛び出した中井唯晶(滋賀)成年男子8周目 単独で飛び出した中井唯晶(滋賀) photo:Satoru.Kato


5周目、水野恭兵(山梨、那須ブラーゼン)、中島康晴(福井、愛三工業レーシング)、安田京介(京都、京産大)、間瀬勇毅(大阪、京産大)、白石真悟(山口、シマノ)、新城雄大(沖縄、EQADS)、それに最初に逃げていた草場と湊の8人の逃げが形成される。しかし、レース終盤を前にメイン集団が追走して7周目に吸収。その後も中井唯晶(滋賀、京産大)が飛び出すが、勝負を決定づける動きは生まれない。

最終周回の残り8km、荒井佑太(宮城、法政大)が単独で飛び出し、10秒から15秒の差をつけて先行する。そこに水野と武山晃輔(山梨、日本大)の山梨勢2人が追走して合流。さらに倉林巧和(群馬、群馬グリフィン)、近谷涼(富山、マトリックスパワータグ)、安田の3人が合流して6人が先行する。その後荒井と水野が遅れて4人に。残り1kmを切ったとろで10秒後方にメイン集団が迫る。残り100m、背後に集団が迫る中、先行する4人はスプリント勝負へ。武山のスピードが伸び、先頭でゴールラインを越えた。

成年男子 武山晃輔(山梨)が優勝成年男子 武山晃輔(山梨)が優勝 photo:Satoru.Kato
成年男子 チームワークで優勝を掴んだ山梨チーム成年男子 チームワークで優勝を掴んだ山梨チーム photo:Satoru.Kato成年男子 表彰式成年男子 表彰式 photo:Satoru.Kato


「勝てたのは水野さんのおかげ」と語る武山。「集団には足を残しているスプリンターもいたので、このままでは勝てないと思い、先輩の水野さんと相談して一か八か飛び出す事にした。後から3人合流してきたところで水野さんが遅れたので、自分が狙っていく事に切り替えた。最後は倉林さん、近谷さんの次に続いてスプリントに入り、2人がタレてきたところをかわして勝つ事が出来た」と、勝負を決めた瞬間を振り返る。

武山は日本大学の1年生。「大学の大会で上位入賞できるようになり、来年の国体では先輩に優勝をプレゼントできるようになりたい。」と、早くも来年の目標を語った。

成年男子 結果(130.8km)
1位 武山晃輔(山梨 日本大) 3時間17分20秒
2位 倉林巧和(群馬 群馬グリフィン) +1秒
3位 安田京介(京都 京産大)
4位 近谷 涼(富山 三和シャッター工業 マトリックスパワータグ) +2秒
5位 黒枝咲哉(大分 鹿屋体育大) +4秒
6位 阿曽圭佑(三重 キナンサイクリングチーム)
7位 曽我部厚誠(大阪 京産大)
8位 草場啓吾(京都 日本大)



少年男子 大町健斗が優勝

紫波運動公園をスタートする少年男子紫波運動公園をスタートする少年男子 photo:Satoru.Kato
男子ジュニアに相当する少年男子は、周回コースを7周半する104km。成年男子同様にスタート直後からレースは動く。地元の及川一総(岩手、紫波総合高)、依田翔太(山梨、甲府工高)、成海大聖(沖縄、普天間高)の3人が飛び出すが、3周目までに吸収。4周目には谷和也(大阪、堺高)、亀谷昌慈(岐阜、岐阜第一高)、平安山良希(沖縄、北中城高)の3人が逃げるも、5周目に吸収される。

最終周回の7周目、吉岡衛(奈良、奈良北高)、鵜沼利久(福島、白河実業)、小野寛斗(神奈川、横浜高)、尾形尚彦(宮城、東北高)、大町健斗(広島、安芸府中高)の5人が先行。後続との差は1分まで広がり、勝負は5人のスプリントへ。

少年男子 レース序盤に逃げた3人少年男子 レース序盤に逃げた3人 photo:Satoru.Kato少年男子 3周目に単独で飛び出した吉岡衛(奈良)少年男子 3周目に単独で飛び出した吉岡衛(奈良) photo:Satoru.Kato

少年男子4周目 3人が逃げる少年男子4周目 3人が逃げる photo:Satoru.Kato少年男子 吉岡衛(奈良)、鵜沼利久(福島)らが先行して最終周回へ少年男子 吉岡衛(奈良)、鵜沼利久(福島)らが先行して最終周回へ photo:Satoru.Kato


残り100mの登りに入る手前から鵜沼が仕掛ける。その背後につけた大町が残り50mからまくりにかかる。「ダメだと思ったけれど最後に伸びた」という大町が僅差で鵜沼をかわして優勝した。

「鵜沼君が一番強いと思ったので、先行したら勝てないから番手からまくりに行くしかなかった。前に出られたのは残り30mくらい。もう終わったと思ったけれど、最後に登りが緩やかになったところで伸びた。」と、大町はゴールの瞬間を降り返る。「夏にベルギーに行って学んできたことを活かせた部分はあると思う。11月にはジュニアの全日本があるので、このまま調子を上げて勝ちたい。」と、次の目標を語った。

少年男子 何度もガッツポーズを繰り返す大町健斗(広島)少年男子 何度もガッツポーズを繰り返す大町健斗(広島) photo:Satoru.Kato
少年男子 結果(104km)
1位 大町健斗(広島 安芸府中高) 2時間40分26秒
2位 鵜沼利久(福島 白河実業高) +0秒
3位 尾形尚彦(宮城 東北高)
4位 吉岡 衛(奈良 奈良北高) +6秒
5位 小野寛斗(神奈川 横浜高) +15秒
6位 日野泰静(愛媛 松山城南高) +55秒
7位 井手口滝吾(鹿児島 南大隅高) 
8位 佐藤 健(熊本 九州学院高)



総合優勝は福岡県

男女総合 表彰式男女総合 表彰式 photo:Satoru.Kato女子総合 表彰式女子総合 表彰式 photo:Satoru.Kato皇后杯のかかった女子総合成績と、天皇杯のかかった男女総合成績共に福岡県が優勝。地元岩手県が6位に入り、開催県の面目躍如となった。

今大会から女子種目が正式化したが、福岡県以外にも、鹿児島県や福井県など、女子の総合成績上位の県が男女総合でも上位に入る結果となった。これをきっかけに、各都道府県で女子選手の強化・育成が進む事を期待したい。

2017年の国体は、四国の愛媛県で開催される。

天皇杯 男女総合成績
1位 福岡県 72点
2位 大分県 70点
3位 福井県 68点
4位 鹿児島県 58点
5位 群馬県 51点
6位 岩手県 49点
7位 鳥取県 48点
8位 福島県 47点

皇后杯 女子総合成績
1位 福岡県 42点
2位 鹿児島県 37点
3位 東京都 36点
4位 京都府 32点
5位 福井県 27点
6位 福島県 25点
7位 千葉県 17点


text & photo:Satoru.Kato

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