山口県山口市で開催されたJプロツアー2連戦。2日目は山口県庁前の公道「パークロード」に場所を移し、「第1回JBCF維新やまぐちクリテリウム」が開催された。大荒れの天候の中でのレースをレポートする。



P1 スタートの時はまだ雨の降り方は弱かったP1 スタートの時はまだ雨の降り方は弱かった photo:Satoru.Kato
山口市の中心部を通る「パークロード」は緑豊かな並木道山口市の中心部を通る「パークロード」は緑豊かな並木道 photo:Satoru.Kato山口市役所前で折り返す集団。市役所敷地内もコースの一部山口市役所前で折り返す集団。市役所敷地内もコースの一部 photo:Satoru.Kato前日に行われた山口県庁でのタイムトライアルに続き、Jプロツアー第15戦として開催された「維新やまぐちクリテリウム」。大会名の「維新」は明治維新の事。長州藩が明治維新を主導していた事から、山口が明治維新策源地とされている事にちなんだものだ。

コースは、山口県庁から南東に伸びる県道203号線「パークロード」を往復する1周1.3㎞。緑豊かな並木道の沿道には美術館や図書館、コースの一部にもなる山口市役所などが並ぶ山口市の中心街だ。1本の道路の往復とは言え、直線路ではなくゆるやかなカーブが連続し、折り返しの一方では山口市役所の敷地内を通過する。ここで道幅が一気に狭くなる上、シケインのようにコーナーが連続する事から、自然と集団が縦に長く引き伸ばされるサバイバルレースが展開された。

この日は前日の夏晴れから一転、台風の影響もあって朝から雨がぱらついた。午前中に降ったりやんだりを繰り返した雨は、午後のP1クラスタに合わせたかのように本降りになり、レースの進行に合わせてさらに勢いを増した。会場近くの気温計は24℃を表示し、寒さを感じる中でレースが繰り広げられた。

P1クラスタ 宇都宮ブリッツェンがレースを支配してワン・ツーフィニッシュ

午前中の予選を経て74名が出走したP1クラスタ決勝は、コースを30周する39㎞。

スタート直後から宇都宮ブリッツェンが集団前方に集まってペースアップ。長く伸びた集団ではあちこちで中切れが発生し、集団後方はレース序盤からバラバラになり始める。6周目には先頭集団は早くも20人程に減り、その後も宇都宮ブリッツェンがハイペースを維持して集団の人数を減らしながら、レースは後半へと移行していく。

P1 スタート直後から宇都宮ブリッツェンがペースを上げるP1 スタート直後から宇都宮ブリッツェンがペースを上げる photo:Satoru.KatoP1 先頭集団内で、ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)に大久保陣(宇都宮ブリッツェン)が何かを話すP1 先頭集団内で、ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)に大久保陣(宇都宮ブリッツェン)が何かを話す photo:Satoru.Kato

P1 増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が仕掛けると、ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)が追うP1 増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が仕掛けると、ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)が追う photo:Satoru.KatoP1 レースの進行と共に強くなった雨が、コースのいたるところに川をつくるP1 レースの進行と共に強くなった雨が、コースのいたるところに川をつくる photo:Satoru.Kato


18周を終えた時点で先頭集団に残ったのは、大久保陣、鈴木譲、増田成幸、堀孝明、飯野智行の宇都宮ブリッツェン勢と、畑中勇介と住吉宏太のチーム右京コンビ、そしてホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)の8名。後続集団はほとんどが足切りされ、コース上に残っているのはスタート時の半数に満たない状態に。

20周を終えて残り10周に差しかかる頃、雨足がさらに強くなって雷が鳴り始める。これによりレース距離を2周減らす決定が下され、25周目終了後に残り3周が掲示された。先頭集団からは堀が遅れ、7名となって最終周回に突入。勝負は豪雨の中でのスプリント勝負に持ち込まれた。

P1 土砂降りの中、最後のスプリント勝負P1 土砂降りの中、最後のスプリント勝負 photo:Satoru.Kato
P1 スプリント勝負を制した大久保陣(宇都宮ブリッツェン)P1 スプリント勝負を制した大久保陣(宇都宮ブリッツェン) photo:Satoru.KatoP1 表彰式 村岡嗣政・山口県知事、渡辺純忠・山口市長らと共に記念撮影P1 表彰式 村岡嗣政・山口県知事、渡辺純忠・山口市長らと共に記念撮影 photo:Satoru.Kato


緩いカーブを抜けて残り100mの直線、横に広がった集団の右端からは大久保が伸び、反対サイドでは増田の背後からトリビオが前に出てくる。しかしトリビオはまくり切れず、大久保が先頭でゴール。鈴木が続いて宇都宮ブリッツェンのワン・ツーフィニッシュとなった。完走たった11名というサバイバルレースとなった。

「今日はスタートからチームで攻撃していき、少人数にして勝負していこうという作戦だった。最後に残った誰かで勝負することになっていたが、チームメイト全員がパーフェクトな働きをしてくれたおかげで、自分がスプリントで勝負させてもらった。最後に残ったメンバーでは畑中選手がスプリント力があるので警戒していたが、足を温存させてもらった事もあって勝つ事が出来た。」と、今日の勝因を話す大久保。

「シーズン後半に入って、チーム全員の調子が良くなってきている。Jプロツアー総合優勝に向けて勝ち星を量産していきたい。」と、シーズン後半戦への意気込みを語った。

F(女子) サンドラ・ドス・サントスがTTに続き2連勝

F スタート直後から先頭を引き続けた小田恵利花(TEAM SPORTS KID)F スタート直後から先頭を引き続けた小田恵利花(TEAM SPORTS KID) photo:Satoru.KatoF 12周目に単独アタックするサンドラ・ドス・サントス(ニールプライド南信スバルサイクリングチーム)F 12周目に単独アタックするサンドラ・ドス・サントス(ニールプライド南信スバルサイクリングチーム) photo:Satoru.Kato

F 8周を逃げ切ってゴールするサンドラ・ドス・サントス(ニールプライド南信スバルサイクリングチーム)F 8周を逃げ切ってゴールするサンドラ・ドス・サントス(ニールプライド南信スバルサイクリングチーム) photo:Satoru.Kato
女子のFクラスタは20周26㎞。レース中盤の12周目に単独で飛び出したサンドラ・ドス・サントス(ニールプライド南信スバルサイクリングチーム)が、8周を逃げ切って優勝。前日のタイムトライアルに続き2連勝した。「この結果には自分でも驚いている。9月にはフランスに帰国する事になっている。再来日の予定は決まっていないけれど、また日本でレースに出たい。」と、表彰式でコメントした。

「サイクル県やまぐちプロジェクト」のキックオフイベントとなった今大会。9月3日と4日には「やまぐち十種ヶ峰国際ダウンヒル」が開催される他、来年はクリテリウムではなくロードレースの開催が企画されているという。今後の山口県の取り組みに期待したい。

F 表彰式F 表彰式 photo:Satoru.KatoE1 松木健治(クラブシルベスト)が優勝E1 松木健治(クラブシルベスト)が優勝 photo:Satoru.Kato

E1 表彰式E1 表彰式 photo:Satoru.KatoE2 表彰式E2 表彰式 photo:Satoru.Kato

今中大介氏と栗村修氏が実況解説で会場を盛り上げた今中大介氏と栗村修氏が実況解説で会場を盛り上げた photo:Satoru.Katoキッズのストライダーレースも行われたキッズのストライダーレースも行われた photo:Satoru.Kato




P1クラスタ 結果(36.4㎞)
1位 大久保陣(宇都宮ブリッツェン) 54分06秒 40.35㎞/h
2位 鈴木 譲(宇都宮ブリッツェン) +0秒
3位 ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)
4位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) 
5位 畑中勇介(チーム右京)
6位 住吉宏太(チーム右京) +1秒

Jプロツアーリーダー ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)
U23リーダー 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)

Fクラスタ 結果(26㎞)
1位 サンドラ・ドス・サントス(Neilpryde-Nanshin Subaru Cycling Team) 45分44秒 34.10km/h
2位 中里友香(VICTOIREしまなみ) +38秒
3位 矢野智子(モジュマ エリアゼロナナゴ) 

E1(29.9㎞)
1位 松木健治(クラブシルベスト) 46分45秒 38.37㎞
2位 田仲康矢(チームGINRIN熊本) +0秒
3位 井上人志(クラブシルベスト)
4位 石堂大悟(VICTOIREしまなみ)
5位 所司純一(モジュマ エリアゼロナナゴ) +1秒
6位 今倉慎司(VC Fukuoka) +2秒

E2(26㎞)
1位 井上奉紀(チーム鳥取) 41分26秒
2位 皿谷宏人(WILD PID's) +0秒
3位 井上健志(チームGINRINN熊本)
4位 左迫間昭一(チームGINRINN熊本) +1秒
5位 小関 寛(徳島サイクルレーシング) +2秒
6位 三浦正志(チームヤーボー)

E3(19.5km)
1位 本田弘典(Team Kermis Cross) 30分55秒
2位 赤木亮介(VC Fukuoka) +0秒
3位 若林孝紀(voyAge cycling team)
4位 飛瀬正博(Blue Grass) +1秒
5位 高橋叶平(Team UKYO Reve) +2秒
6位 築山元樹(FREESPEED)

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text&photo:Satoru.Kato