ツール・ド・フランスが1回目の休息日を迎えた7月11日、宿泊先のホテルでホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)が記者会見を開き、今シーズン限りで現役を引退することを発表した。



ツール・ド・フランス2016第5ステージ ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)ツール・ド・フランス2016第5ステージ ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) photo:Kei Tsuji「プリート」の愛称で知られるスペイン・カタルーニャ州のロドリゲスが引退会見の場所に選んだのは、現在の居住地であるアンドラ公国。ツール第9ステージを終え、アンドラのチーム宿泊ホテルで会見を行った。

ゴールスプリントを繰り広げるホアキン・ロドリゲス(スペイン)とルイ・コスタ(ポルトガル)ゴールスプリントを繰り広げるホアキン・ロドリゲス(スペイン)とルイ・コスタ(ポルトガル) photo:TDWsport/Kei Tsuji「今シーズンが現役最後のシーズンになることをここに発表する。まだトップレベルで走れるうちにストップしたかった。いつかは引退する日がやってくることは分かっていたけど、2016年はツール・ド・フランスがアンドラを訪れる良い区切りの年だったんだ。プロ選手として長年活動した今もこのスポーツが大好き。キャリアを通してここまで支えてくれた家族や全ての人々に感謝したい。これからは家族と一緒に過ごす時間を大切にしたい」。時に涙ぐみながら、ロドリゲスは引退の気持ちを語る。

ツール・ド・フランス2013 フルームとキンタナに次いで総合3位に入ったホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)ツール・ド・フランス2013 フルームとキンタナに次いで総合3位に入ったホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) photo:Makoto.AYANOロドリゲスはこれまでグランツールに24回出場し、総合トップ10フィニッシュが11回。ジロ・デ・イタリア、ツール・ド・フランス、ブエルタ・ア・エスパーニャ全てで総合表彰台を経験している。2012年ジロでは10日間マリアローザを着たが、最終日のタイムトライアルでライダー・ヘシェダル(カナダ)に逆転されて総合2位。同年ブエルタでは13日間マイヨロホを着たものの、アルベルト・コンタドール(スペイン)のサプライズアタックによって総合3位に終わっている。

アンドラで記者会見を行ったホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)アンドラで記者会見を行ったホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) photo:Team Katusha身長169cm/体重57kgという小柄な体格を生かしたパンチャー系クライマーとしてワンデーレースでも強さを発揮。イル・ロンバルディアでは2勝、フレーシュ・ワロンヌでは1勝を飾っている。2013年のロード世界選手権ではルイ・コスタ(ポルトガル)とのスプリントに敗れて銀メダル。ワンデーからステージレースまでこなすその安定感から2010年、2012年、2013年にUCIワールドツアーランキング首位に輝いた。

「17年間の現役生活の中でロードレースは様変わりした。ヨハン・ムセーウからナイロ・キンタナまで、多くの選手と一緒に走ってきた。最も大きな影響力を受けたのはミケーレ・バルトリとアレハンドロ・バルベルデ。最も良い成績を出したのがカチューシャに移ってから。彼らはこの決断を受け入れてくれた」。

ツール第9ステージを終えた時点で総合5位につけるロドリゲスは「これまで同様、残りのシーズンを最大限の力で戦い続ける。最後のツールを総合トップ10で終えたいという思いはあるし、できれば総合表彰台に登りたい。ピレネーの峠で受けた大声援が大きな力になったよ」と語る。

過去3年間がそうであったように、ツールとブエルタに連続出場予定のロドリゲス。2つのグランツールの間に行われるリオ五輪への出場も目指している。引退レースは未定であり「自分向きのコースが設定されたリオ五輪とブエルタ・ア・エスパーニャはレースプログラムに入っているけど、その後は分からない」としている。

text:Kei Tsuji in Andorra la Vella, Andorra