チェコで開催されたMTB世界選手権。男子エリートではニノ・シューターが2年連続5度目のタイトルを獲得。山本幸平ら日本人選手の結果と合わせてレポート。



急勾配のヒルクライムセクション。コースは全周に渡ってファンが人垣を作った急勾配のヒルクライムセクション。コースは全周に渡ってファンが人垣を作った photo:UCI


41位でレースを終えた山本幸平41位でレースを終えた山本幸平 Photo:TRAIAN OLINICI岩を乗り越えるロックセクション岩を乗り越えるロックセクション photo:UCI5度目の世界選手権優勝を成し遂げたニノ・シューター(スイス)5度目の世界選手権優勝を成し遂げたニノ・シューター(スイス) photo:UCI今年のMTB世界選手権の舞台となったのはチェコ共和国のノヴェー・ムニェスト・ナ・モラヴィエ。6月29日のエリミネーターを皮切りに開幕した世界選は、7月3日にフィナーレとなる男子クロスカントリーが行われ、ここに山本幸平、平野星矢、そして初のエリート参戦となる中原義貴の日本勢3名も参加した。

レースは大観衆の声援を一手に受ける地元のヤロスラフ・クルハヴィー(チェコ)とオンドレイ・シンク(チェコ)、2年連続5度目のタイトルを目指すニノ・シューター(スイス)が抜け出して動き出す。

5度の優勝経験を持つジュリアン・アブサロン(フランス)は序盤こそ2位グループに位置していたものの、着実にペースを上げ、中盤には先頭グループに合流。シューター、アブサロン、クルハヴィという最強メンバーによる三つ巴の戦いが幕を開ける。

すると一番に余裕を感じさせていたシューターが4周目の登りでジワリとアタック。「ライバル勢が反応できるかどうか様子を見ることにした」というこの動きには2人とも反応できず、ここからシューターの独走劇が始まった。

ハイペースを維持したシューターに対して、大声援に後押しされたクルハヴィーの追走も届かない。ハードなロックセクションでパンクが頻発する中、ノートラブルで走りきったシューターは1時間28分20秒、クルハヴィーを17秒、アブサロンを30秒引き離してフィニッシュ。通算5度目のアルカンシエルを手に入れた。

「ほぼ完璧なレースだった。序盤はクルハヴィーがハイペースで牽いてくれたのでスリップを使うことができた。観客も素晴らしかったし、アブサロンとのバトルはいつだって最高だ。二人を倒して世界王者になれたことを本当に嬉しく思っている」と新世界王者は語っている。



男子エリート 1位ニノ・シューター(スイス)2位、ヤロスラフ・クルハヴィー(チェコ)、3位ジュリアン・アブサロン(フランス)男子エリート 1位ニノ・シューター(スイス)2位、ヤロスラフ・クルハヴィー(チェコ)、3位ジュリアン・アブサロン(フランス) photo:UCI


女子エリート ガンリタ・ダール(ノルウェー)が落車、ポーリン・フェランプレヴォ(フランス)も足止めされる女子エリート ガンリタ・ダール(ノルウェー)が落車、ポーリン・フェランプレヴォ(フランス)も足止めされる photo:UCI女子エリート アニカ・ラングヴァド(デンマーク)が優勝女子エリート アニカ・ラングヴァド(デンマーク)が優勝 photo:UCI一方31番ゼッケンを付けた山本は中盤まで30番台でレースを進めていたが、結果は41位フィニッシュ。最後尾からスタートした平野はロックセクションでバランスを崩し、サドルがもげるトラブルに見舞われピットストップ。その後再スタートを切ったが機材交換の差が影響し-2ラップの86位。中原は最後尾からのスタートだったが、最初から攻めて走りだしたが中盤で徐々に後退し-2ラップ88位で終えている。以下は山本のコメント。

「2016年の世界選手権が先程終わりました。結果から言うと41番でゴールしました。 スタートの混雑のところで前に出たかったんですが、周りからパワー負けをしていました。中盤もコンディション良く、流れに乗って前方の10名を捉えていたが粘り切れずにゴールしてしまいました。レースを終えた今は体のコンディションも良く整っていると感じています。今日からトレックチームと合流しましたので、来週末のW杯スイス戦(レンズハイド)に向けて気持ちも切り替えて挑みたいと思います」。

前日に行われた女子エリートでは、スタート直後にガンリタ・ダール(ノルウェー)が落車リタイア、現世界王者のポーリン・フェランプレヴォ(フランス)も足止めされる波乱の展開で走り出す。フェランプレヴォは追走を試みたが落車でペースを失い、結果的に序盤から独走態勢を敷いたアニカ・ラングヴァド(デンマーク)が優勝。3度のMTBマラソン世界選優勝に加え、初のクロスカントリーでのアルカンシエルを獲得した。

2位を走行していたマーヤ・ブロジェゾフスカ(ポーランド)は最終周に痛恨のパンクを喫し、ピットでの作業中に後続の2名に相次いでパスされてしまう。ゴール前でエミリー・バティ(カナダ)に食らいつきスプリントに持ち込んだものの、僅差で4位に沈むこととなってしまった。

全日本王者の末政実緒は得意の下りで攻める走りをしたものの、2度トラブルでストップを余儀なくされてしまい、マイナス2ラップの53位でゴールした。また、U23に参加した平林安里と前田公平はそれぞれ-1ラップの73位と75位。試走中の落車で骨折した沢田時はDNS。男子ジュニアは江越昇也が-1ラップの83位、上野蓮は66位、北林力は木と衝突しDNFとなった。



MTB世界選手権2016 男子エリート結果
1位 ニノ・シューター(スイス)
2位 ヤロスラフ・クルハヴィー(チェコ)
3位 ジュリアン・アブサロン(フランス)
4位 オンドレイ・シンク(チェコ)
5位 ステファン・テンピエ(フランス)
6位 マティアス・スティルネマン(スイス)
7位 セルジオ・グティエレス(スペイン)
8位 ダヴィド・ヴァレロ(スペイン)
9位 マキシム・マロット(フランス)
10位 パブロ・ロドリゲス(スペイン)
41位 山本幸平
86位 平野星矢
88位 中原義貴
1h28’20”
+17”
+30”
+2’25”
+2’30”
+3’01”
+3’17”
+3’22”
+3’45”
+3’47”
+7’22”
-2Laps


女子エリート結果
1位 アニカ・ラングヴァド(デンマーク)
2位 レア・ダヴィソン(アメリカ)
3位 エミリー・バッティ(カナダ)
4位 マーヤ・ブロジェゾフスカ(ポーランド)
5位 キャサリン・ペンドレル(カナダ)
1h30’13”
+1’12”
+1’44”

+2’53”


男子U23結果
1位 サムエル・ゲイゼ(ニュージーランド)
73位 平林安里
75位 前田公平
1h17’57”
-1Lap



男子ジュニア結果
1位 トマ・ボネ(フランス)
66位 上野蓮
83位 江越昇也
DNF 北林力
+11’36”
-1Lap
DNF


text:So.Isobe