ベルギーで5日間の「バロワーズ・ベルギーツアー」が開催され、ステージ1勝のドリス・デヴェナインスが総合優勝。レースモトを発端とした大事故に巻き込まれたスティグ・ブロークスが重体となっている。



プロローグ 最速タイムで優勝したワウト・ファンアールト(ベルギー、ファストフードサービス)プロローグ 最速タイムで優勝したワウト・ファンアールト(ベルギー、ファストフードサービス) photo:www.sport.beプロローグ リーダージャージを着用したワウト・ファンアールト(ベルギー、ファストフードサービス)プロローグ リーダージャージを着用したワウト・ファンアールト(ベルギー、ファストフードサービス) photo:www.sport.be第1ステージ エドワード・テウンス(ベルギー、トレック・セガフレード)が登りスプリントで勝利第1ステージ エドワード・テウンス(ベルギー、トレック・セガフレード)が登りスプリントで勝利 photo:www.sport.be第2ステージ 逃げグループのゴール勝負を制したドリス・デヴェナインス(スイス、IAMサイクリング)第2ステージ 逃げグループのゴール勝負を制したドリス・デヴェナインス(スイス、IAMサイクリング) photo:www.sport.be第3ステージ 集団落車でステージキャンセルに第3ステージ 集団落車でステージキャンセルに photo:CorVos第4テージ 雨に濡れた石畳を走る第4テージ 雨に濡れた石畳を走る photo:www.sport.be5月25日から29日までの5日間で開催されたバロワーズ・ベルギーツアー。自転車競技大国ベルギーを舞台に毎年5月下旬に開催され、レースカテゴリーはHC。ジロ・デ・イタリアと会期を重ねるが、地元のロット・ソウダルやエティックス・クイックステップなど8つのワールドチームに加え、ワンティ・グループグベルト、トップスポートフラーンデレンら地元を代表するプロコンチネンタルチームらが顔を揃えた。

ジロとは打って変わって、このレースに登場するのは難関山岳ではなく、クラシックレースでおなじみのパヴェや短くも破壊力のある急坂たち。そのためラース・ボーム(オランダ、アスタナ)やエンリーコ・ガスパロット(イタリア、ワンティ・グループグベルト)、シルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー)らクラシックハンターが多く集った。

第4ステージ 雨のスプリントを制したジーコ・ワイテンス(ベルギー、ジャイアント・アルペシン)第4ステージ 雨のスプリントを制したジーコ・ワイテンス(ベルギー、ジャイアント・アルペシン) photo:www.sport.beまた、世界王者のワウト・ファンアールト(ベルギー、ファストフードサービス)や、トム・メーウセン(ベルギー、テレネット・フィデア)、ラース・ファンデルハール(オランダ、ジャイアント・アルペシン)ら、シクロクロスを本業とする選手たちも出場。別府史之もトレック・セガフレードのメンバーとしてスタートラインに並んだ。

オランダと面したベーフェレンで行われた6kmのプロローグでは、CX世界王者ファンアールトが2012年から大会3連覇を遂げているトニ・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ)を下して優勝するというサプライズが起きる。テクニカルコーナーが用意された市街地コースながら、ファンアールトの平均スピードは52.427km/hで、マルティンは2秒差でリーダージャージを逃してしまう。

続く第1ステージでは残り1.5kmで落車が発生する中、ゴール前で列車を組んだトレック・セガフレードのエドワード・テウンス(ベルギー)がスプリント勝利。別府史之はレース後に「チーム全員でサポートして勝ったので嬉しい勝利だった。ラスト1km手前で発生した落車に巻き込まれそうになったけど、何とか避けきれてホッとしている」とTwitterに投稿している。

レベルグやファルケンベルグといった急坂や計8kmの石畳が組み込まれた第2ステージでは、ゴール20km手前からドリス・デヴェナインス(スイス、IAMサイクリング)やステイン・ヴァンデンベルフ(ベルギー、エティックス・クイックステップ)、ガスパロットらを含む9名が飛び出し、追いかける集団を振り切ってゴールへ。残り1kmで飛び出したヴァンデンベルフにはデヴェナインスがジャンプし、2名でのスプリントを制して勝利。集団は39秒差でフィニッシュしたためデヴェナインスが総合首位に浮上した。

第3ステージではレースモトが停止していたもう一台に衝突し、そのまま選手たちに突っ込む大事故が発生してしまう。すぐさまニュートライズされたレースはそのままキャンセルとなり、この事故によって11名が病院搬送される事態に。中でもスティグ・ブロークス(ベルギー、ロット・ソウダル)は脳内出血を負っており、現在も治療下で昏睡状態にある。ブロークスは今年2月のクールネ〜ブリュッセル〜クールネでもメディカルモトと接触し、右鎖骨と肋骨を骨折していた。

事故を受けたロット・ソウダルが出走を取りやめる中で開催された最終ステージ。雨に濡れるアップダウンコースでは残り10kmでファンアールトのアタックに反応したシャヴァネル、ダヴィデ・ヴィガノ(イタリア、アンドローニ)、ディラン・ファンワールレ(オランダ、キャノンデール)という4名が逃げたものの引き戻され、最後はジーコ・ワイテンス(ベルギー、ジャイアント・アルペシン)がスプリント勝利。落車を避け、集団内でフィニッシュしたデヴェナインスが4秒差で総合優勝に輝いた。

優勝したデヴェナインスはロットやクイックステップ、ジャイアント・シマノを渡り歩いてきた32歳。キャリア最大の勝利だが、「嬉しい気持ちとブロークスを心配する気持ちがごちゃ混ぜ。彼が早く回復してほしい。こんな状態では手放しで喜ぶことなんてできない」とコメントしている。



総合表彰台 ドリス・デヴェナインス(スイス、IAMサイクリング)が中央に立つ総合表彰台 ドリス・デヴェナインス(スイス、IAMサイクリング)が中央に立つ photo:www.sport.be


5月25日(水)第1ステージ ベーフェレン〜ベーフェレン(6km)
1位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ファストフードサービス)
2位 トニ・マルティン(エティックス・クイックステップ)
3位 レト・ホレンシュタイン(スイス、IAMサイクリング)
4位 ニキ・テルプストラ(オランダ、エティックス・クイックステップ)
5位 イヴ・ランパート(ベルギー、エティックス・クイックステップ)
6’52”
+02”
+04”

+05”




5月26日(木)第1ステージ ブヘンハウト〜クノック=ヘイスト(177.3km)
1位 エドワード・テウンス(ベルギー、トレック・セガフレード)           4h14’03”
2位 ダニエル・マクレー(イギリス、フォルトゥネオ・ヴァイタルコンセプト)
3位 ケニー・デハース(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)
4位 バプティステ・プランカート(ベルギー、ワロニー・ブリュッセル)
5位 ティモシー・デュポン(ベルギー、ヴェランダス・ヴィレムス)



5月27日(金)第2ステージ クノック=ヘイスト〜ヘルゼーレ(200.4km)
1位 ドリス・デヴェナインス(スイス、IAMサイクリング)
2位 バプティステ・プランカート(ベルギー、ワロニー・ブリュッセル)
3位 ステイン・ヴァンデンベルフ(ベルギー、エティックス・クイックステップ)
4位 ティエシー・ベノート(ベルギー、ロット・ソウダル)
5位 ピーター・ヴァンスペイブロック(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)
4h32’26”
+01”







5月28日(土)第3ステージ ヴェルヴィエ〜ヴェルヴィエ(206.9km)
ステージキャンセル



5月29日(日)第4ステージ トレーメロ〜トンヘレン(174.2km)
1位 ジーコ・ワイテンス(ベルギー、ジャイアント・アルペシン)          3h34’08”
2位 ダニエル・マクレー(イギリス、フォルトゥネオ・ヴァイタルコンセプト)
3位 ティモシー・デュポン(ベルギー、ヴェランダス・ヴィレムス)
4位 バプティステ・プランカート(ベルギー、ワロニー・ブリュッセル)
5位 シェーン・アークボールド(オーストラリア、ボーラ・アルゴン18)



個人総合成績
1位 ドリス・デヴェナインス(スイス、IAMサイクリング)
2位 レト・ホレンシュタイン(スイス、IAMサイクリング)
3位 ステイン・ヴァンデンベルフ(ベルギー、エティックス・クイックステップ)
4位 セルゲイ・チェルネツキ(ロシア、カチューシャ)
5位 バプティステ・プランカート(ベルギー、ワロニー・ブリュッセル)
12h27’30”
+04”

+16”
+18”


ポイント賞
1位 バプティステ・プランカート(ベルギー、ワロニー・ブリュッセル)

チーム総合成績
1位 IAMサイクリング

text:So.Isobe


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