4月3日(日)、第41回チャレンジサイクルロードレースが、静岡県の日本サイクルスポーツセンターで行われた。落車により中断を挟むレースとなった男子エリートのA-Eクラスは、宇都宮ブリッツェンの堀孝明が優勝した。その他クラスの結果と併せてレポートする。



所々に桜が咲く日本サイクルスポーツセンター5㎞サーキット所々に桜が咲く日本サイクルスポーツセンター5㎞サーキット photo:Satoru KATO
国内レースに春の訪れを告げるチャレンジサイクルロードレース。以前は3月に開催されていた時期もあったが、4月開催に移行し、新年度最初のレースとして定着して久しい。この時期、ヨーロッパでは「春のクラシックレース」が開催されているが、チャレンジサイクルロードレースは日本版春のクラシックレースと言ったところだろうか。

小学校低学年から参加できるクラスがあるのもチャレンジサイクルロードレースの特色小学校低学年から参加できるクラスがあるのもチャレンジサイクルロードレースの特色 photo:Satoru KATO会場は日本サイクルスポーツセンター。5㎞サーキットのコース沿いには桜の木がいくつかあるが、まだ朝晩は冷え込む事もあってか七部咲きといったところ。この日も朝の気温は10℃を下回り、午前中は曇り空から雨が落ちてくる事もあった。それでも路面を濡らすほどにはならずに済み、午後にかけて多少日差しが出た事もあり、気温は16℃台まで上がった。

メインレースである男子エリートのA-Eクラスと、アンダー23のA-U、女子のA-Fは、予定通り午後2時から時差スタートした。しかし、A-Eクラスが4周目、A-UとA-Fが3周目に入ったところで、ホームストレートで単独落車が発生。救急車が入る事態になり、レースが一時中断される。約1時間の中断の後、レース距離を変更の上、中断前の集団とタイム差で再スタートする事になった。



A-Eクラス スプリントにチャレンジした堀孝明が優勝

A-E スタートA-E スタート photo:Satoru KATO
A-E レース序盤 集団の先頭に立つ堀孝明(宇都宮ブリッツェン)A-E レース序盤 集団の先頭に立つ堀孝明(宇都宮ブリッツェン) photo:Satoru KATOA-E レース再開 中断直前に単独先頭だった才田直人(レモネードベルマーレレーシングチーム)がまずスタートA-E レース再開 中断直前に単独先頭だった才田直人(レモネードベルマーレレーシングチーム)がまずスタート photo:Satoru KATO


A-E レース終盤に残った4人A-E レース終盤に残った4人 photo:Satoru KATOA-E 先行する4人を追うジョン・アベラストゥリ・イザガ(チーム右京)と平塚吉光(愛三工業レーシングチーム)A-E 先行する4人を追うジョン・アベラストゥリ・イザガ(チーム右京)と平塚吉光(愛三工業レーシングチーム) photo:Satoru KATOA-E ゴール前登りのスプリント 堀孝明(宇都宮ブリッツェン)とオスカル・プジョル(チーム右京)が競り合うA-E ゴール前登りのスプリント 堀孝明(宇都宮ブリッツェン)とオスカル・プジョル(チーム右京)が競り合う photo:Satoru KATO59㎞だったA-Eクラスは、5㎞サーキット5周+4㎞で再スタート。中断直前に単独で飛び出していた才田直人(レモネードベルマーレレーシングチーム)が吸収され、新たに6人の逃げ集団が形成される。

メンバーは、中根英登(愛三工業レーシング)、オスカル・プジョル(チーム右京)、山下貴宏(シエルボ奈良)、吉岡直哉(那須ブラーゼン)辻本尚希(スミタ・エイダイ・パールイズミ・ラバネロ)、堀孝明(宇都宮ブリッツェン)。

「中断前の展開を見て、主要チームが乗った逃げが形成されれば、集団のアシが止まると思った」と、レース後に堀が話した通り、メイン集団との差は一気に30秒以上に開く。残り2周、辻本と吉岡の2人が遅れ、逃げ集団は4人に。タイム差は40秒まで広がる。

最終周回に入り、ジョン・アベラストゥリ・イザガ(チーム右京)と平塚義光(愛三工業)がの2人がメイン集団から飛び出して追走。先行する4人に合流する。メイン集団に追いつく気配はなく、勝負は6人に絞られた。

ゴールの秀峰亭前の登りに、中根とプジョル、堀の3人が競り合って姿を現す。残り数十m、堀のスプリントが伸び、プジョルを差して優勝した。

「自分はクライマーだけれど、今日はレース中に足があると感じていたので、スプリントにチャレンジしてみようと思ってやってみた。レース距離が短くなって、まったく別のレースになってしまった。再開後は周回数が少ないのですぐに決まるだろうと考えていたところに、理想的なメンバーでの逃げに入れた。それで自分で勝負するつもりでレースを進めた」。と、堀はレースを振り返る。

雄たけびと共にゴールする堀孝明(宇都宮ブリッツェン)雄たけびと共にゴールする堀孝明(宇都宮ブリッツェン) photo:Satoru KATO
A-E 表彰式A-E 表彰式 photo:Satoru KATOこの日は特に指示を出していなかったという宇都宮ブリッツェンの清水監督。「今日は特に決めずに、それぞれがチームメイトの動きを潰さないようにしてレース展開を磨いていこうという方針だった。その中で堀は中断前からよく動いていた。動きすぎを心配したがそれでも勝てたので、これまでやってきた事が形になった証だと思う。ブリッツェンとしては増田成幸や鈴木譲が中心だったので、堀でも勝てるというところを見せられたのは大きい。新たなチームの武器が出来た事は良かったと思う」。と、この日の成果を語った。

A-E結果(34㎞)
1位 堀 孝明(宇都宮ブリッツェン) 46分44秒57 43.64km/h
2位 オスカル・プジョル(チーム右京) +0秒
3位 中根英登(愛三工業レーシングチーム) +1秒
4位 山下貴宏 (シエルヴォ奈良ミヤタ・メリダレーシングチーム) +2秒
5位 ジョン・アベラストゥリ・イザガ(チーム右京) +8秒
6位 平塚吉光(愛三工業レーシングチーム) +17秒



A-U チーム右京の中井唯晶が、兄・路雅のアシストを受けて優勝

A-U 再スタート後、単独で飛び出した中井唯晶A-U 再スタート後、単独で飛び出した中井唯晶 photo:Satoru KATO
A-U U23日本チャンピオンの中井路雅(チーム右京)その前は弟の唯晶 A-U U23日本チャンピオンの中井路雅(チーム右京)その前は弟の唯晶  photo:Satoru KATOA-U 表彰式A-U 表彰式 photo:Satoru KATO39㎞だったA-Uクラスは、2周+4kmで再スタート。中断前に20人ほどに絞られた先頭集団から、最終周回に中井唯晶(チーム右京)が単独で飛び出す。しかし登り区間で吸収され、最後のスプリント勝負へ。ここで再び中井が先行してゴール。「遅れたA-Eクラスの選手に混じってしまったので、自分が勝ったと気づかなかった。」とゴール後に話す。

「自分が吸収された後、シマノの選手がアタックしていたが、チームメイトで兄の路雅が集団をペースアップさせて吸収してくれたので、自分はスプリントに備えた。チーム右京に加入して最初のレースでこのような結果が出せて良かった。これからもチームの一員として動けるようにしたい」と、喜びを語った。

A-U結果(14㎞)
1位 中井唯晶(チーム右京) 20分26秒79 41.08㎞
2位 武山晃輔(日本大学) +3秒
3位 岡部祐太(日本体育大学) +5秒
4位 草場啓吾(日本大学9 +6秒
5位 渡邉雄太(駒澤大学) +7秒
6位 小林泰正(日本体育大学)



A-F 齋藤望が4名のスプリントを制する

A-F 逃げる4人の先頭集団を引く福本千佳(東洋フレーム)A-F 逃げる4人の先頭集団を引く福本千佳(東洋フレーム) photo:Satoru KATO
A-F 針谷千紗子(ライブガーデン・ビチステンレ)を先頭に下り区間を行く女子の集団A-F 針谷千紗子(ライブガーデン・ビチステンレ)を先頭に下り区間を行く女子の集団 photo:Satoru KATOA-F 表彰式A-F 表彰式 photo:Satoru KATO19㎞の予定だった女子のA-Fクラスは、中断時に最終周回に入っていたが、1周+4kmでの再スタートとなった。
中断前、後続に49秒差をつけて4人が先行。メンバーは、細谷夢菜(浦和工業高校)、福本千佳(東洋フレーム)、渡部春雅、齋藤望(日本体育大学)。再スタート後も4人はばらけないままレースは進行し、最後のスプリント勝負へ。「前に男子の集団が見えたので、本当は早がけしたかったのだけど、詰まって追いつかれないようにギリギリまで待った」という齋藤が優勝。2位に細谷、3位に福本が入った。

「中断した時は残り1周で、もう足に疲れが溜まっていたのに止まれと言われたのでとても辛かった。再スタート後も足が重くて、慣らしながらなんとか行けた」。と齋藤。2週間後にはトラックの全日本選手権を控えているが「練習はしっかりしているので、自分の力を見せられるようにしたい」と、気持ちを切り替えた。

一方、3位に入った福本は、レース活動を再開したばかり。今日の結果はまずまずだと言う。
「まだレースに復帰して1か月くらい。これから徐々に上げていくので、全日本までにはもっと上げられると思う。来週の伊吹山ドライブウェイヒルクライムで、今の自分がどこまで出来るのかをしっかり把握できるようにしたい」。と、手応えを語った。

A-F結果(9㎞)
1位 齋藤 望(日本体育大学) 16分57秒66 31.83㎞
2位 細谷夢菜(浦和工業高校) +2秒
3位 福本千佳(東洋フレーム) +6秒
4位 渡部春雅 +13秒
5位 酒井美有 +41秒
6位 針谷千紗子(ライブガーデン・ビチステンレ) +44秒



A-Y優勝 津田悠義(EQADS)A-Y優勝 津田悠義(EQADS) photo:Satoru KATOA-J 優勝した奥村十夢(榛生昇陽高校)と2位の曽我部厚誠(京都産業大学)A-J 優勝した奥村十夢(榛生昇陽高校)と2位の曽我部厚誠(京都産業大学) その他結果

A-Y(29㎞)
1位 津田悠義(EQADS) 49分18秒68 35.28㎞/h
2位 山内渓太(Team-DADDY) +1秒
3位 服部泰之(伊豆総合高校) +5秒
4位 八代隆靖(学法石川高校) +14秒
5位 寺田吉騎(vivace-掛川 周南中)
6位 小野寺慶(ブラウ・ブリッツェン) +19秒

A-J(39㎞)
1位 奥村十夢(榛生昇陽高校) 1時間5分0秒65 35.99㎞/h
2位 曽我部厚誠(京都産業大学) +0秒
3位 谷 和也(市立堺高校) +5秒
4位 尾形尚彦(東北高校) +28秒
5位 三好憲士郎(榛生生昇陽高校) +31秒
6位 鵜沼利久(白河実業高校)

A-M(39km)
1位 半沢雄高(Link TOHOKU) 1時間7分15秒44
2位 西谷雅史(チームオーベスト) +22秒
3位 加納 篤(VC Fukuoka サイクルフリーダム) +1分34秒
4位 山下博人(Team YOUCAN) +1分57秒
5位 岩波信二(CORSA YAMANASHI) +1分58秒
6位 小田裕喜(oreodacci)

text&photo:Satoru KATO