日常的にスポーツバイクに親しむヨーロッパでは、ウエアも大切なエキップメントのひとつ。様々なアイデアを盛り込み、確実に進化するアパレルの世界をリポートしよう。

ドイツの街では整備された自転車道を走る多くのサイクリストを見かけた。多くは高級バイクよりも、むしろ安価なバイクに乗ったサイクリストが多かったが、バイクジャージとパンツ、ヘルメットにグローブというスポーティなウェアを身にまとっている姿が印象的だった。

アパレルが充実しているのは欧州、そしてショー会場のドイツならでは。会場で目に留まったアパレル類をレポートしよう。

話題を呼ぶX-BIONIC話題を呼ぶX-BIONIC X-BIONIC

日本では高機能ソックス「X-SOCKS」が有名なメーカー、X-BIONIC。ウエアに関しても得意の編み分け技術を応用したジャージとパンツ、それに見た目も新鮮なレインウエア(右の赤い長袖)をアピールしていた。
共通しているコンセプトは、最適な体温に保つ機能。パンツはメッシュや厚みのある部分を縫製を行わずに変化させ、放熱と保温をコントロールする考えだ。

レインジャケットは、胸の部分にベンチレーション用のパーツを大胆に装備している。レインウエアなので、内側は水の侵入を防いで空気の流れを確保するような工夫が施されていた。
見た目にもかなり強烈なインパクトを放つこのジャケットは、2009ユーロバイクアワードを受賞。「X-SOCKS」で「高機能ソックス」というジャンルを切り開いて来た同社だけに、このウエアが新たな波となるのか?







SPECIALIZED グローブが充実

自転車だけでなく、アクセサリーにも定評があるスペシャライズド。中でもグローブの完成度は高いものがある。来期の新作もフィットの良いモデルが揃っていたので、フルフィンガーグローブを中心に見ていこう。

BG GEL
SPECIALIZED BG GEL グローブSPECIALIZED BG GEL グローブ

薄手で各指がストレスなく動かしやすいことが印象的。指の股に使用している伸縮素材が、手甲のくるぶし部分まで伸びていることが、ストレスの無い動きに貢献していた。
以前より同社のグローブに見られた特徴だったが、更に完成度が上がった印象を受ける。

ENDURO
SPECIALIZED ENDUROSPECIALIZED ENDURO

BG GELよりも、しっかりとした素材を用いて、ヘビーユースにも使えるグローブ。
くるぶしには、ネオプレーン系の厚手素材を使用してパッドの役目を持たせているが、穴あけ加工を施して通気性と伸縮性を確保。人差し指と中指の関節にも、伸縮素材を使用して、軽いフィットを実現していた。

BG RADIATOR
SPECIALIZED BG RADIATORSPECIALIZED BG RADIATOR

手平のGELパッドとハードな作りの手甲が印象的。手甲側はネオプレーン系素材を多く使用して、より厚みを持たせたグローブである。全体に十分な伸縮性があり、縫製も間接部分を避けた作りのため、見た目のハードな作りとは裏腹に、軽いフィットを実現していた。
手平の厚みのあるパッドも、動きを妨げない絶妙な位置にあり、これも軽さに貢献している。


ドイツのグローブ専門ブランド Roeckl
グローブ専業ブランドのRoeckl(リックル)。日本ではミズタニ自転車が扱うグローブ専業ブランドのRoeckl(リックル)。日本ではミズタニ自転車が扱う

ドイツのグローブ専門メーカー、Roeckl(リックル)。当然のようにブースは表も内側もグローブ一色。その種類もかなり多くのラインナップを誇る、まさにグローブをリードするブランドだ。。各モデルの正式商品名は正式発表を待つとして、各モデルの特徴を簡単に紹介しよう。

GELパッド採用グローブ
手平にGELパッドを用いたグローブ。パッドの種類と厚みも、部分的に変えていて、プリントは滑り止めも兼ねる。凝った作りのグローブだが、多くのモデルに同様の構造がみられ、Roecklにとっては標準的な仕様である。

Roeckl gel グローブRoeckl gel グローブ

ベーシックモデルのグローブ
パッドの作りは簡素になっているが、その分通気性を考慮した作りのモデル。手甲の素材もとても薄いメッシュ素材で、とても軽いフィットであった。汗ふき用のフリース素材も最小限で、潔い作りが印象的。

Roeckl air controlRoeckl air control Roeckl(リックル)ベーシックモデルのグローブRoeckl(リックル)ベーシックモデルのグローブ


メッシュグローブ
グレーに見える部分は、全てGEL素材のパッドである。パッド自体に六角形の穴が開いていて、それをメッシュ素材で覆っている。パッド部分からも通気性を確保しようという狙いの構造だ。これらをみても、Roecklの理想主義的なモノ作りが伺える。

グレーに見える部分は、全てGEL素材のパッド。パッド自体に六角形の穴が開いていて、それをメッシュ素材で覆っているグレーに見える部分は、全てGEL素材のパッド。パッド自体に六角形の穴が開いていて、それをメッシュ素材で覆っている


CASTELLI BODY PAINT BIBSHORT

CASTELLI body paintCASTELLI body paint

CASTELLI body paint 最小限のパーツと縫製で仕上げられるCASTELLI body paint 最小限のパーツと縫製で仕上げられる 開発に3年半の歳月を掛けたという、カステリの最新ビブショーツ。パンツ全体の形状を徹底的に見直し、最小限のパーツと縫製で仕上げられる。
肩のストラップや、ショーツの裾は縫製自体を排除して、素材の自然な伸びを妨げない工夫がみられる。
縫い目の無い最新パッドは、部分的に厚みと固さを調整したものだった。
その名の通り、まるで体にペイントを施しているような、着ていることを感じさせない着心地ということらしい。はたしてどのような着心地を示すのか?楽しみなパンツである。

ボディペイントのようにフィットすると謳うパッドボディペイントのようにフィットすると謳うパッド


AERO RACE GLOVE

サーベロ・テストテームからの要望で作成した、エアロ効果の高いグローブ。手首が長いことで、空気抵抗を減らす効果があるという。同じようなグローブがMAVICからもリリースされていたことから、今後のトレンドとなるのか?

CASTELLI 最高級グローブ RossoCorsaCASTELLI 最高級グローブ RossoCorsa


SCOTT
スコットのグローブ 手首はやや長めの仕様スコットのグローブ 手首はやや長めの仕様

手平のパッド部分が特徴的な、スコットのグローブ。SCOTTの文字が浮かび上がる部分が、やや固めのラバー素材のため、フィットはやや損なわれるが、面白いアイデアを盛り込んでいた。形状からして、エアロ効果を狙ってはいないだろうが、このグローブも手首はやや長めの仕様。

手平のパッド部分が特徴的なスコットのグローブ手平のパッド部分が特徴的なスコットのグローブ


MAVIC

MAVICアパレルのブースMAVICアパレルのブース MAVIC アパレル 凝った造りだMAVIC アパレル 凝った造りだ

シューズとウエアを大々的にアピールするMAVIC。ホイールも隣り合わせたブースに並んでいたが、ウエア類のほうが展示に力を入れている印象が強い。
ジャージ、ジャケット、そしてアクセサリーもよく考えられたディテールを盛り込み、高級感は相変わらずだ。しかし、全てのモデルが新しくなったグローブは、以前の理想主義的な作りから一新され、一般的な作りに変更されたようだ。


MAVIC グローブの掌部MAVIC グローブの掌部 MAVIC グローブ「M」が踊るMAVIC グローブ「M」が踊る

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